新たな出逢い…紅の戦士…
主人公が二人目のURキャラと出逢います。主人公が転位した異世界はだいたいナポレオン戦争時のヨーロッパが基本ベースの世界で都市名及び距離感は実在のヨーロッパの地図と同一となっております。国名は一部の国を除きオリジナルの国名となっていてこの話に出てきた神聖ドイッチュラント連邦帝国はドイツ第一帝国とも呼ばれた神聖ローマ帝国にあたります。
後書きに「キュイラシェ」でのスコルのキャラ紹介文を載せておきます。
お互いに食べさせ合うという冷静になって考えてみると何ともこっ恥ずかしいシチュエーションで夕食を摂ったあたしとスコルだったが、食べ終えて確認してみると恐ろしい事に包みに入っていた干肉と燻製肉が三分の一程消えてしまっており、あたしは平然とした面持ちをしながら若干後悔していたりした。
「……ごめんね、裕香、食べ過ぎちゃったよね」
干肉と燻製肉の減り具合を確認したスコルは狼の耳をぺたんっと倒しながらしょんぼりとした面持ちであたしに謝罪し、その様子を目にしたあたしは慌てて首を左右に振りながら口を開いた。
「……気にしないで良いよ、スコル、元々これはあたしが言い出した事なんだから、それにスコルと一緒に食べられてとっても楽しかったよ」
あたしはスコルを優しく見詰めながらゆっくりと語りかけ、あたしの言葉を受けたスコルは倒れていた耳をピョコンッと立てると嬉しそうに微笑みながら口を開いた。
「……ありがとね、裕香、裕香って優しいね」
「そうかな?」
スコルの言葉を受けたあたしは少し首を傾げながら呟き、その様子を見ていたスコルは笑顔で頷いた後に更に言葉をかけて来た。
「ねえ、裕香、良かったら今夜はあたしの家に泊まらない?」
(……スコルの家)
スコルの口から出た中々に提案を受けたあたしの脳裏にスコルには非常に申し訳無いが洞窟の映像が浮かんでしまい、スコルもそれを何と無く察した様で苦笑と共に言葉を続けて来た。
「……裕香、今、あたしの家が洞窟か何かだと思ってるでしょ?」
「……ソ、ソンナコトナイヨ」
スコルの言葉に図星を指されてしまったあたしは思わず視線をそらしながら怪しいイントネーションの言葉を返し、その様子を目にしたスコルは笑いながら更に言葉を重ねた。
「心配しなくてもちゃんとした家だよ、それに住んでるのもあたしだけじゃ無いしね」
スコルの説明を聞いたらあたしの脳裏にある事が浮かび上がって来た、「キュイラシェ」のキャラクター紹介文にはそのキャラクターの台詞が掲載されていたのだが、スコルの台詞ではスコルとあたしのデッキにも所属しているあるURキャラとの関連性が示唆されていたのだ。
「スコルだけじゃ無い?」
あたしは脳裏に浮かんだ考えを確かめる為にスコルに問い掛け、あたしの問い掛けを受けたスコルは笑顔で頷きながらそれに答えてくれた。
「あたしはね、この森の奥にある小屋で女戦士のカミラと一緒に住んでるだよ、カミラはとっても優しくてとっても強い女戦士なんだよ、だから裕香にもカミラの事紹介したいし、カミラにも裕香の事を紹介したいんだ」
(やっぱり)
スコルの口からはあたしが予想した通りURキャラのカミラの名前が告げられ、あたしは胸の中でそう呟いた後に笑顔を浮かべながらスコルに向けて言葉を返した。
「……うん、分かった、スコルの家に泊めて貰うね、ありがとね、スコル」
「……良かった、裕香もカミラの事絶対に気に入ってくれると思うよ」
あたしの返答を聞いたスコルは嬉しそうに笑い、あたしはその素敵な笑顔を見ながら大きく頷いた。
約一時間後
今夜の予定を決定したあたしは焚き火を消した後に荷物を入れた鞄を背負い、スコルはあたしの準備が整ったのを確認するとあたしを促して鬱蒼と立ち並ぶ木々の中へと入って行った。
スコルはあたしが歩き易い様に下生えの少ない所を選びながら歩いてくれたが、重い鞄を背負ったあたしの歩みはお世辞にも捗っているとは言えず、スコルは一時間程歩いた所であたしに休憩を提案してくれた。
「裕香、ちょっと休憩しようよ」
あたしはスコルの提案をありがたく受け入れると手近な所にあった大木の根元に腰を降ろして背負っていた鞄を下に降ろし、あたしは背負い紐が食い込んでいた肩を解す為に小さく肩を回しながら安堵の息を吐いた。
(軍服みたいな物を着てるだけあって流石にキャバ嬢してた頃よりは体力あるみたいね、と言ってもスコルとは全然比較にならないけど)
あたしは今までスコルと歩いて来た道順を思い起こしてそんな風に考えながら鞄から出した水筒で喉を湿らせ、その様子を見ていたスコルはあたしの隣に座るとフワッとした笑顔と共に声をかけてきた。
「……大丈夫、裕香?もう三分の二くらいは行ったから、もう少しの辛抱だよ」
「そっか、それじゃあ後少しだね」
あたしはスコルの言葉に安堵の声をあげながらもう一度水筒で喉を湿らせ、水筒を鞄へと戻しながら自分の置かれている状況に思いを馳せた。
(今あたしがいるのは、携帯RPG「キュイラシェ」の世界、若しくはその世界によく似た世界、そしてあたしは身形を考えるにフリーの傭兵って所かしら、「キュイラシェ」の地名や国名なんかは革命戦争からナポレオン戦争時のヨーロッパに準じてるから、スコルが言ってた黒い森の話から考えてあたしのいるのは神聖ドイッチュラント連邦帝国の中部と言った所かしら)
あたしがそんな事を考えているとスコルが立ち上がって一本の木の根元へと歩み寄り、あたしが首を傾げながらスコルを見詰めているとスコルは素晴らしい跳躍力で頭上(たぶん5、6メートルはある)の枝に飛び上がり、両手で太い枝をがっしりと掴むと腕の力だけで枝の上に登った。
スコルが枝に登りきると枝がかすかに撓んだが、スコルはそれを気にする様子もなく手近な枝の幾つかに手を伸ばしてそこから何かを取った後に枝から飛び降りた。
飛び降りたスコルは軽やかに着地(この動きをみると、改めてスコルが獣人なのだと感じられる)し、その後に再びあたしの所に戻ってあたしの傍らに腰を降ろして笑顔を浮かべて手を差し出しながら口を開いた。
「疲れたでしょ、裕香、これ食べて」
そう言いながら差し出されたスコルの手の中には10個くらいの桜桃があって、あたしがそれを目にした後にスコルに視線を向けるとスコルは笑顔のまま大きく頷いてくれたのであたしは笑顔で頷きながらスコルに声をかけた。
「うん、ありがとう、スコル」
あたしはそう言うとスコルは嬉しそうに尻尾を振りながら頷き、あたしはスコルが手にする桜桃に手を伸ばそうとしたがスコルはそれを制する様に桜桃を摘まみあげると笑顔でそれをあたしに向けて差し出した。
「はい、あーんして、裕香」
「……あ、あーん」
スコルの声を受けたあたしは夕食の時に指先に触れたスコルの唇の感触と唇に触れたスコルの指先を思い起こし、思い起こされたスコルの唇と指先の柔らかな感触に頬が淡い熱を帯びるのを感じながら口を開けた。
あたしが口を開けるとスコルは尻尾を大きく振りながら桜桃をあたしの口へと運び、あたしが差し出された桜桃を少し齧りとると口の中に甘酸っぱい桜桃の味が広がり、あたしは疲れた身体に桜桃の味が沁みるのを感じながら笑顔でスコルに声をかけた。
「美味しいよ、スコル」
「よかった」
あたしの言葉を受けたスコルは嬉しそうに笑うとあたし齧った桜桃をあたしの口の中へと入れてくれ、あたしは唇がスコルの指先に触れるのを感じながら口の中に入れられた桜桃を味わった後に種を出して近くの下生えに捨てた後にスコルに声をかけた。
「……ありがとう、スコル、とっても美味しいよ、スコルも食べてみて」
あたしがそう言いながらスコルの手にした桜桃を一つ摘まみ上げるとスコルは笑顔で頷いた後に口を開け、あたしは手にした桜桃をスコルの口の中に入れた。
スコルはあたしの指先に唇を触れさせながら桜桃を受け取るとじっくりとそれを味わい、それから種を近くの地面に捨てた後に笑顔で尻尾を振りながら口を開いた。
「……うん、美味しい、ありがとね、裕香」
スコルはそう言うと新たな桜桃を摘まみあげてあたしの口へと運び、あたしはスコルを見詰めながら桜桃を受け取る為に口を開いた。
それしてあたしとスコルが互いに桜桃を食べさせ合っていると、スコルの手の中にあった桜桃はあっという間に残り2つとなり、スコルはその内の一つを摘まみながら口を開いた。
「……これを入れて後2個だね、これを食べ終わったら出発しよっか裕香?」
「……そうだね、だったら一緒に食べさせ合いましょうスコル」
スコルの言葉を受けたあたしは指先と唇に残るスコルの唇と指先の感覚に誘われる様に提案しながら最後の桜桃を摘まみ、あたしとスコルは頷き合った後に手にした桜桃を互いの口へと運びながら口を開き合った。
「裕香、あーんして」
「スコルも、あーんして」
スコルとあたしは互いに言葉をかけ合いながら互いの唇に桜桃を入れ、その際にあたしの指先とスコルの指先が互いの唇と触れ合った。
同時に桜桃を食べさせ合ったあたしとスコルは互いを見詰め合いながらゆっくりと桜桃を味わい合い、食べ終えた後に種を下生えへと捨てて微笑みを交わした。
「ありがとう、スコル、スコルってとっても優しいんだね」
あたしは微笑みながらスコルに向けて声をかけたが、スコルは微笑みながらゆっくりと頭を振り、その後にあたしを見詰めながら口を開いた。
「あたしが優しいのは、あたしが信頼した人だけだよ、裕香」
「……じゃあ、どうしてあたしを信頼してくれたの、スコル?今夜初めて出会ったばかりのどこの誰かも分からないあたしを?」
スコルの答えを聞いたあたしは戸惑いを覚えながら言葉を返し、あたしの言葉を受けたスコルは返事の代わりにあたしに身体を近付けて来た。
「……す、スコ……ル?」
身体を近付けて来た事によってスコルのワイルドな美貌とセクシーな衣装に包まれたはち切れんばかりに瑞々しい肢体、その肢体の中でも目を惹く豊かに隆起した二つの膨らみとそれが形成する魅惑の谷間があたしの間近に迫り、あたしは頬に熱が帯びるのを実感しながらスコルに声をかけたがスコルは無言のままあたしの首筋に鼻が触れてしまうのでは無いかと言う程に顔を近付け、そのまま暫く静止した後に少しを顔を離すとゆっくりと頷きながら口を開いた。
「……うん、やっぱり良い匂い」
「………え?」
ゆっくりと頷いたスコルは満足げな笑みと共に呟き、それを聞いたあたしが戸惑いの声をあげると柔らかく微笑みながら言葉を続けた。
「……あたしはね、匂いで人を信頼出来るか判断してるんだよ、裕香はカミラみたいにとっても良い匂いがするの、だからあたしは裕香の事を信頼してるし、裕香の事をカミラに紹介したいんだよ」
「……ありがとう、スコル」
スコルの微笑みと言葉は真っ直ぐにあたしの胸へと届き、あたしはスコルの微笑みと言葉をしっかりと噛み締めながら言葉を返した。
あたしが返した言葉を受けたスコルは優しく微笑みながら頷いたがその瞬間に狼の耳が何かを捉えた様にピクンッと震え、スコルは満面に笑みを浮かべて立ち上がりながら口を開いた。
「カミラが来てくれてるよ、裕香」
「……えっ!?」
スコルの言葉を受けたあたしはスコルを見上げながら驚きの声をあげ、スコルはあたしに向けて頷いた後に視線を立ち並ぶ木々の奥へと向けながら大きく口を開いた。
呼び掛ける様な形で開かれたスコルの口だったがその口からは何も音が出ず、あたしが戸惑いながらスコルを見詰めているとスコルは笑いながら口を開いた。
「今、カミラの足音が聞こえたからカミラに向けて合図を送ったんだ、あたしは仲間の間でだけ交わす事が出来る特殊な咆哮をあげる事が出来てるんだけど、カミラは研ぎ澄まされた精神であたしがあげた特殊な咆哮を察知出来るんだよ」
「そ、そうなんだ、凄いね」
(流石は獣人の能力よね、そしてカミラも凄いわね、流石はURキャラね)
スコルの説明を受けたあたしはそんな事を考えながらスコルに声をかけ、スコルは笑顔で頷いた後に再びあたしの傍らの根元に腰を降ろしながら言葉を続けた。
「カミラがこっちに来てくれてるから、ここでカミラが来るのを待とうよ」
「……そうだね」
スコルの言葉を受けたあたしは頷きながらその提案に同意し、それからあたしはスコルと共に木の根元に腰を降ろしてカミラが到着するのを待つ事にした。
あたしとスコルが腰を降ろして暫くするとスコルが笑顔で木立の奥を指差し、あたしがスコルが指し示した方向を凝視していると、木々の合間から差し込む月光の中を此方に向けて近付いてくる美女の姿が確認された。
ワインレッドのセミロングヘアにトパーズ色の瞳の野性味溢れる美貌とスコルに匹敵する引き締まった魅惑的な肢体をスコルの様な衣装(つまりはビキニ水着みたいな衣装)で包んだワイルドな美女、URキャラ、カミラはゆっくりとあたし達の方へと近付き、スコルは立ち上がると笑顔で手を振りながらカミラに向けて口を開いた。
「カミラ、こっちだよ」
「散歩にしては随分遅かったなスコル」
あたしはスコルの言葉を受けたカミラが右手を掲げて応じている間に立ち上がり、あたしの姿を目にしたカミラは戸惑いの表情で首を傾げながらスコルに話しかけた。
「スコル、彼女は誰なんだ?」
「彼女は宝積寺裕香、黒狼に襲われかけていた所を助けたんだ、野宿しようとしてたから家に案内していたんだ」
「宝積寺裕香です、宜しくお願いします」
あたしはスコルが紹介してくれたのに続いてそう告げながら頭を下げ、それを目にしたカミラは興味深げな眼差しになりながらスコルに話しかけた。
「珍しいな、お前が人を助けるなんて、それにすっかり彼女に心を許しているな」
「うん、だって裕香はカミラと同じとっても良い匂いがするんだし」
「フフフ、そうか、お前がそう言うなら間違いは無いな、初めまして宝積寺殿、私はカミラ、スコルと一緒にこの奥で暮らしている」
「はい、改めまして宜しくお願いします、カミラさん」
スコルの言葉を受けたカミラは優しげな笑みを浮かべて応じた後に視線をあたしに向けて話しかけてくれ、それを受けたあたしは丁寧に一礼しながら言葉を返すとカミラはスコルみたいに柔らかな笑みと共に言葉を続けた。
「宝積寺殿、そこまで畏まらなくても構わないぞ、私もスコルも余りそう言う調子の会話が得意では無いからな、だから私にもスコルの様な調子で会話してくれて構わないぞ」
カミラはそう言うと柔らかな微笑みを見せ、あたしは最初に感じたワイルドで野性味溢れる雰囲気からはだいぶ印象の異なるカミラの素敵な笑みに頬を緩めながら言葉を返した。
「ありがとう、あたしもあんまりああ言う会話は得意じゃ無いから助かるよ、宜しくね、カミラ」
「うん、そういう会話の方が私も気が楽だ、宜しくな、裕香」
あたしの言葉を受けたカミラは柔らかく微笑みながら応じ、あたしとカミラの会話を聞いていたスコルは嬉しそうに笑いながらあたしに声をかけてきた。
「ねえ、あたしが言った通りだったでしょ」
「ほんとにそうだね、スコルの言う通りだったよ」
スコルの言葉を受けたあたしは笑顔で言葉を返し、カミラはその様子に笑顔を浮かべながら更に言葉を続けた。
「それでは家に戻るとしよう、大したもてなしは出来んが歓迎するぞ、裕香」
「ありがとう、カミラ、それにスコル、貴女達に出逢えて良かったよ」
あたしはカミラの言葉に応じた後にカミラとスコルに向けて御礼を言い、カミラとスコルは少し恥ずかしげにはにかみながらしっかりと頷いてくれた。
異世界で二人目に出逢った女その女はセクシーでワイルドでそしてとても優しい紅の戦士……
スコル
レアリティ・UR
攻撃力・2万6千
防御力・1万6千
台詞・あたしと一緒に戦いたいの?うーんあなた、嫌な人じゃなさそうだから構わないよ、ところであなたの部隊にカミラは居る?もし居ないなら彼女も仲間にして欲しいな。