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夕食は狼と

50ユニークアクセスならびに250PV突破させて頂き感謝しております、今回は主人公とスコルが一緒に食事をします。なお、本作品は百合作品ですので閲覧については自己責任でお願いします。


あたしはスコルに名前を告げた後にもう一度焚き火を起こし、あたしとスコルはそのその傍らへと並んで腰を降ろした。

「宝積寺裕香、珍しい名前だね」

「……あー、うん、確かにそうだね」

(何しろ国どころか世界が違うもんね)

スコルの告げたあたしの名前への感想を受けたあたしは苦笑しながら相槌を打ち、それを聞いたスコルは柔らかな笑顔を浮かべながら言葉を続けて来た。

「……でも、お姉さんにとってもよく似合ってる名前だと思う、あたしは好きだよ、その名前」

「……あ、ありがとね、スコル、さん」

スコルの笑顔と言葉はお店であたしが目にして来た笑顔や言葉と違い表裏の無い真っ直ぐな物で、それを受けたあたしが自分の頬が仄かな熱を帯びるのを感じながらそれに応じると、スコルは照れた様に笑いながら口を開いた。

「……あたし、見ての通りの感じだからさんなんてつけられて名前呼ばれるのに馴れてないんだ、だから呼び捨てで全然平気だよ、それと、あたしもお姉さんの事、裕香って呼んでいい?」

「……勿論だよ、そう言えば御礼がまだだったよね、さっきはありがとう、スコル」

スコルの提案を受けたあたしはそれに応じつつ先程助けて貰った事に対する礼も併せて行い、スコルは笑って頷きながら言葉を返してくれた。

「御礼なんていいよ裕香、あの時は散歩中に黒狼が騒がしくなってるのに気付いてたまたま見に行ってみただけなんだよ、そしたら裕香が黒狼に襲われそうになっている所に出会したんだ」

「……黒狼、それがさっきの狼の名前なの?」

スコルの説明を聞いていたあたしはその言葉の中にあった単語について質問し、スコルは頷いた後に更に詳しくその単語について話してくれた。

「黒狼はこの黒いシュワルツ・ワルトにいる狼だよ、少しだけど魔力を宿しているから普通の狼よりも頑丈なんだ、マスケット銃とか猟銃でも数発当てなきゃ倒せないから裕香の持ってた短銃じゃ口の中に直接撃ち込むくらいしなきゃ倒せないよ」

「……そう、なんだ」

スコルの教えてくれた黒狼の情報を聞いたあたしは自分がいかに詰んでいたのかを再確認しながら呟き、それから改めてスコルを見ながら言葉を続けた。

「その話を聞いたらますますスコルに御礼を言わなきゃいけないね、スコルはあたしの命の恩人なんだから、本当にありがとう、スコル」

「……そんなに御礼言われちゃうと何だかこそばゆいよ裕香、でも、ありがとね」

あたしが改めてスコルに御礼を言うとスコルは少し照れた様子だったがそれでも嬉しそうに尻尾をゆっくりと大きく振りながら返事をしてくれて、あたしはセクシーで可愛らしいスコルの姿に頬を緩ませていたが、鞄に入っている干肉と燻製肉の事が頭に浮かんだので頬を緩ませたまま言葉を続けた。

「ねえ、スコル、この鞄の中に干肉と燻製肉があるんだけど、受け取ってくれる?」

「えっ?だってそれって裕香の食糧でしょ、そんな事して大丈夫なの?」

あたしの言葉を受けたスコルは戸惑いながら返答し、あたしは躊躇う事無く頷きながら更に言葉を重ねた。

「確かにここに入ってる食糧はあたしにとって大事な物だよ、だけどスコルに助けて貰え無かったらこの鞄も、その中に入ってる物もあたしには何の役にも立たなくなる所だったんだよ、スコルは御礼なんて良いって言ってくれたけど、あたしは何か御礼をしないと気が済まないんだよ、だから受け取って欲しいんだよ、スコル」

あたしは戸惑い顔のスコルを見詰めながらあたしの思いを伝え、それを受けたスコルは嬉しいそうに尻尾を振りながら口を開いた。

「うん、分かった、ありがとね裕香」

スコルはそう言った後に嬉しそうに笑みを浮かべ、あたしはスコルの素敵な笑顔を堪能しながら鞄から干肉と燻製肉の入った包みを出すと包みを解いて干肉と燻製肉の塊を取り出した。

「はい、先ずは干肉だよ、さっきはありがとねスコル」

あたしはスコルに声をかけながら干肉を差し出し、スコルは嬉しそうに頷いてくれたがその直後にあたしの予想の斜め上を行く行動を取り始めた。

スコルは干肉を持ったあたしの手を取ると自分の顔の前へと持って行き、小さく「いただきます」と言った後にあたしが手にした干肉を食べ始めてしまったのだ。

「す……スコル」

あたしは思わず声をかけてしまったがスコルはそれを聞き流して干肉を齧って行き、干肉を齧り終えると同時にスコルの柔らかな唇があたしの指先に触れてしまった。

あたしの指先に触れたスコルの唇はとても柔らかであたしがその柔らかな感触にどきまぎしていると干肉を食べ終えたスコルはあの素敵な笑顔と共に声をかけてきた。

「とっても美味しいよ、ありがとう、裕香」

「……う、うん、喜んでくれて、嬉しいよ」

スコルの笑顔と言葉を受けたあたしは指先に残るスコルの唇の感触に心臓の鼓動を早めながら返答し、スコルが頷いたのを確認すると燻製肉の塊を示しながら言葉を続けた。

「……次は、燻製肉、だよ」

あたしがやかましく感じられる心臓の鼓動と指先に残るスコルの唇の感触に微かに声を上擦らせながらスコルに声をかけると、スコルが頷きながらあたしの手を離し、あたしは世話しなく鼓動する心臓を抑える為にゆっくりと呼吸しながら燻製肉の塊から一部を剥ぎ取り、剥ぎ取った燻製肉の肉片をゆっくりとスコルの前に差し出した。

「……はい、燻製肉だよ、スコル」

「うん、ありがとね、裕香」

微かな期待を込めながらあたしが声をかけると、スコルは頷きながら応じた後に先程と同じ様にあたしが手にした燻製肉の肉片に齧り付き、あたしは頬が火照るのを感じながら燻製肉を食べるスコルを見詰めた。

スコルが燻製肉を食べ終えた瞬間、あたしが仄かに期待していた通りにその柔らかな唇があたしの指先に触れ、あたしが再び指先に感じたスコルの唇の柔らかな感触に収まりかけていた心臓の鼓動が再び早まるのを感じていると、燻製肉を食べ終えたスコルは嬉しそうに尻尾を大きく振りながら声をかけてきた。

「干肉も燻製肉もとっても美味しいよ、ありがとね裕香」

「……喜んでくれて嬉しいよ、こちらこそありがとね、スコル」

あたしは頬を仄かに火照らせながらスコルに言葉を返し、あたしの言葉を受けたスコルは頷いた後に身を乗り出してあたしの膝の近くの地面に手をついた。

スコルが地面に手を着くとそれに伴って地面についていたスコルの下半身が競り上がり、その結果としてあたしは四つん這いになったスコルの身体をまともに見てしまう事になった。

サラサラの銀糸のロングヘアと鳶色の瞳のワイルドでナチュラルな美貌とビキニの水着の様なセクシー衣装によって大胆にさらけ出されたはち切れんばかりに瑞々しい肢体と狼の耳と尻尾、下手なグラビアアイドル等全面降伏してしまいかねないスコルの魅惑的な肢体は四つん這いという姿勢によって更に扇情さを増していて、あたしはその扇情的な姿に身体を硬直させてしまった。

あたしが身体を硬直させていると、スコルは四つん這いの姿勢のまま燻製肉の塊へと手を伸ばして小さく肉片を剥ぎ取り、剥ぎ取った肉片をあたしの前に差し出すと笑顔と共に口を開いた。

「とっても美味しいから裕香も食べて、はい、あーん」

スコルの言葉を受けたあたしはそれに従ってゆっくりと口を開け、スコルは小さく頷いた後にあたしの口元に燻製肉の肉片を持った手を移動させた。

あたしはスコルが差し出してくれた燻製肉の肉片を少し齧りとった後にゆっくりとそれを噛み砕いき、口内に拡がる燻された肉の旨味を噛み締めた後にゆっくりと喉を鳴らしてそれを咀嚼した。

「……うん、美味しいよ、スコル」

燻製肉を咀嚼したあたしはそう言いながらスコルに声をかけ、スコルは嬉しそうに頷いた後にあたしの口元に燻製肉を持った手を近付けた。

あたしはスコルが差し出してくれた燻製肉の肉片を少しづつ齧りとって咀嚼していき、スコルは嬉しそうに尻尾を振りながら燻製肉を食べるあたしを見詰めていた。

あたしはスコルに見詰められながらスコルが差し出した燻製肉を食べていき、最後の欠片を食べ様とした時にスコルの指先とあたしの唇が一瞬触れ合った。

あたしの唇に触れたスコルの指先はあたしの指先に触れたスコルの唇の感覚と似ていて、あたしは頬が熱を帯びるのを感じながら唇を離して最後の燻製肉をゆっくりと味わって咀嚼した。

燻製肉を咀嚼したあたしは指先と唇に残るスコルの唇と指先の感触に頬を仄かに火照らせながらスコルを見詰め、スコルは四つん這いの姿勢のまま嬉しそうに尻尾を振りながらあたしを見詰め返した。

「……もっと、食べる、スコル?」

「……うん」

あたしがスコルを見詰めながら声をかけるとスコルはフワッとした笑みを浮かべながら頷き、あたしはその姿に心臓をやかましく鼓動させながら干肉に手を伸ばした。

あたしとスコルは互いに干肉と燻製肉を食べさせ合い続け、喉が乾いた際には水筒の水を飲ませ合って乾いた喉を湿らせ合った。

あたしとスコルが干肉と燻製肉を食べ終える度に互いの唇が互いの指先に触れ合い、あたしは指先に重なるスコルの唇の感触と唇に感じるスコルの指先の感触に心臓をやかましく脈打たせながらスコルとの夕食を味わっていた。


異世界に訪れて初めての夕食、その夕食の御伴を務めてくれたのはとってもセクシーで可愛らしい狼さんだった。



作者も予想外な程いきなりスコルと主人公がイチャイチャしてしまいましたが本作品のメインヒロインはまだ決めておりません、ですので最初に紹介した九人のキャラクターの中で誰をメインヒロインにするかについて御意見がありましたら、感想等でお知らせ下さい。

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