魅惑の騎士達
御都合主義な展開と思われますので閲覧は自己責任でお願い致します。
起きて寝ぼけ眼で時計をみたら時間は12時を越えていた、世間一般では休みでもない日のこんな刻限に眼を覚ますなんて言語道断だなんて言われてしまうかもしれないがあたしにとってはこの時間に起きるのは当たり前の話、仕事が終わり食事したりなんやかんやした後に深夜営業のタクシーでこのマンションに帰るのがおおよそ3〜4時、シャワーを浴びたりなんやかんやして布団に潜り込むのが5〜6時で目覚めるのが大体この刻限と言う訳だ。
あたしは宝積寺裕香年齢は24歳で独身、スリーサイズは上から90の59の88で胸はFカップ、所謂出る所は出て引っ込む所は引っ込んでる体型ってやつで顔も寝起きで乱れてる黒髪を整えてポニテにして寝惚け顔にちょいちょいっと手を加えれば美人の中に入る範疇の面立ちをしていると思う。
そんなあたしの職業は夜の蝶、と言えば大層な様に聞こえるが様はキャバ嬢、都内の一般的なキャバクラである「スワロウテイル」でキャバ嬢として働いている。
人並みより上の身体とまあ美人と言える範疇の容姿のおかげで店の人気ベスト5は常にキープ出来てるから収入も比較的ある方で現在の所、生活も安定している。
性格はいたってのんびりしていると思うが知り合いに言わせると意外に頑固な面もあるらしい、店ではまあ、それなりに仕事に励んではいるが店のナンバー1になってやろうとか言う大それた野望なんかは持たずにやっている。
趣味は映画や歴史にアニメ、ゲーム、ゲームは最近は携帯で出来るRPG「キュイラシェ」が好きで、ちょいちょい課金しては遊んでいたりする。
そんな訳で目覚めたあたしは大あくびをした後にもそもそと起き上がり、キッチンに移動して作りおきしていたハヤシライスの鍋を置いたコンロに火を点した後に携帯を開いて早速ゲームを開始した。
「キュイラシェ」はまあよくあるタイプの携帯RPGでプレーヤーはガリア帝国の軍団長として部下達を率いて他国の軍勢やモンスター等と戦っていくと言う典型的なタイプの携帯RPGだ。
部下はデイリーガチャを回して集める他、課金ガチャやイベント等でも集める事が出来る、キャラクターの種類は豊富で特に綺麗で可愛い女の子キャラが沢山いるのがあたし的にはツボだったりする。
そんな訳であたしがこのゲームを始めて最初にやる事はガチャを回す事よりも何よりも先に他のプレーヤーとのバトルやボスキャラと戦う際に使用するデッキを確認する事だったりする。
あたしの携帯の画面にはメインデッキとそれに所属する九人のキャラクター達が映し出されていて、あたしは頬を緩めてお気に入りの女の子キャラ達を見詰めた。
あたしのメインデッキは容姿と能力(能力がほぼ同じ場合は容姿で決定)を重視していて、本格課金勢とのバトルは論外としてもイベントならばそれなりに楽しめる程度には強力なデッキとなっている。
デッキの中央にいるのは現在のあたしの軍団のリーダーで名前はアイギス・アウステルリッツ、レアリティはゲーム内で最も高いSLRなんだけど課金ガチャで得たキャラでは無くてイベント配布された特別ガチャチケットを回して出てきたキャラ(あの時は飲んでたアイスティー吹き出すかと思った)だったりする。攻撃力2万7千、防御力3万7千を誇る強力なキャラで、容姿はサラサラロングの金髪に綺麗な蒼水晶の瞳の美貌にどう贔屓目に見てもGは間違いない美巨乳が印象的なワガママボディを覆うのは所々から滑らかな白磁の御肌を露にさせた純白の鎧と言う典型的な姫騎士タイプの美人キャラクターだったりする。
中央にいるアイギスの右側が一番最初に敵と戦闘する前衛になっていて、そこには突撃隊を形成三人の女の子キャラクター達が凛々しい姿を見せてくれている。
一番上にいるのがLR(レジェンド・レア・SLRの次にレアリティが高い)のエウレーネで攻撃力3万2千に防御力2万4千、黒髪のストレートロングにアメジストの瞳の妖艶な雰囲気の美貌にアイギスに勝るとも劣らない兵器(こちらも明らかにG以上)を持った魅惑的な肢体にピッタリとフィットした薄布の衣服を纏まった妖しい魅力満載のお姉さんでつい最近イベント配布ガチャを回して獲得したキャラクターだったりする。
エウレーネの下にいて突撃隊の中央にいるのはUR(アルティメットレア・LRの次に高いレアリティ)のマリーカ・ヴァイセンヴェルガー、緩やかなウェーブを描く薄紫のフワフワロングヘアとエメラルド・グリーンの瞳の穏やかな雰囲気の美貌と、薄い蒼のライトアーマーに包まれた均整のとれた肢体(アイギスやエウレーネには若干劣るけどそれでも十分素晴らしいモノをお持ちだったりする)が印象的な彼女は攻撃力1万9千、防御力2万8千と防御力に秀でている為、突撃隊の中央に睨みをきかせつつ軍団リーダーのアイギスを護衛する役目(携帯ゲームなのでそこまで細かい行動は出来ないので、あたしの設定だけど)をこなすキャラクターだ。
そしてマリーカの下にいるのが同じくURのスコル、北欧神話に出てくる太陽を追いかけ喰らい尽くす狼の名が冠された彼女はその名の通り、狼の耳と尻尾を生やした獣人で銀髪のロングヘアに鳶色の瞳のワイルドな雰囲気の美貌、そしてアイギスやエウレーネにもひけをとらないはち切れんばかりに瑞々しい肢体を大胆なまでに露出させた装い(分かりやすく言うとビキニの水着の様な物)に包んだ野性味溢れる美女キャラクターだ。
防御力は1万6千と突撃隊の中(更に言えばあたしのデッキの中でも)では一番低いがその代わりに攻撃力は2万6千と高く突撃隊の中ではエウレーネと共に真っ先切って突撃する斬り込み隊長的(何度も言うがあたしの設定)な役目を担うキャラクターである。
突撃隊の後方に控えるのがアイギスを含めた中衛部隊であり、アイギスの上にいてエウレーネの後方に控えるのがカミラ、ギリシャ神話に出てくる女人国アマゾンの戦士にして狩りの女神ダイアナの寵愛を受けた戦士の名を冠する彼女はワインレッドのセミロングヘアにトパーズ色の瞳の野性味溢れる美貌、そして迫力あるナイスボディーをスコルの様なセクシー衣装に包んだワイルド系の美女キャラクターだ。
外見からスコルの様な攻撃重視キャラと思われがちだが実は攻撃力はあたしのデッキの中でも一番低い1万5千でその代わりにこの明らかに防御力が2万5千とかなり高いキャラクターだったりする。
そしてアイギスの下にいてスコルの後方に控えるのがURキャラでRPGの御約束とも言えるエルフのメルクリリス、金髪ロングに白磁の御肌と碧眼にエルフ耳を組み合わせた美貌と女性らしい曲線を有するスラリとした肢体をエメラルドに輝くライトアーマーで覆った彼女は攻撃力1万8千、防御力2万4千と防御に秀でたキャラクターであり、スコルのサポート役としてスコルの後方に配置している。
アイギスを吹くんだ中衛部隊の後方に位置するのが後衛部隊であり、そこにも三人の美女キャラクターがいてあたしの眼を楽しませてくれている。
カミラの後方に控えているのがURのブリュンヒルデ、北欧神話に出てくる戦乙女の中で一番有名とも言える名が冠された彼女はその名が示す通り純白の翼を背中から生やした戦乙女であり、艶やかな蒼髪のロングヘアとローズクォーツの瞳のアンニュイな雰囲気を宿した美貌と蒼のアーマーに包まれた魅力的な肢体を持った美女キャラクターであり、攻撃力2万2千、攻撃力2万と攻防のバランスが取れた万能型のキャラクターとして後衛部隊の一翼を担って貰っている。
ブリュンヒルデの下にいてアイギスの後衛に控えるのがシズク、その名が意味する様に黒髪ロングのストレートヘアと黒檀の瞳にしなやかな肢体を赤備の鎧を纏った和テイストの美人さんで、能力値は攻撃力2万3千、防御力1万9千、防御力に秀でたマリーカ、アイギスの攻撃力の補完を目的にしてこの位置に配置している。
そしてメルクリリスの後方に控えるのがURのイードゥン、北欧神話で神々の力を維持する為の黄金の林檎を見張る役目を果たした女神(厳密には違うけど女神としとく)の名を冠した彼女はその名が示す通り黄金の林檎が入った籠をしっかりと抱えている。
フワフワのセミロングの銀髪と淡いブルーの瞳の美貌にライトアーマーに包まれたしなやかで均整がとれた肢体が魅力的な彼女のステータスは攻撃力1万8千、防御力1万9千というバランス型の能力で、スコルとメルクリリスを合わせた数値を補完する為の戦力として配置している。
魅力的で凛々しいあたしのお気に入りの女の子キャラクター達の姿に頬を緩めていたあたしの耳にコンロに火を点した際にスイッチを入れていたキッチンタイマーの音色が届き、その音を聞いたあたしはお腹が鳴るのを感じながら立ち上がるとコンロの所へと移動して火を消した。
それからあたしはハヤシライスを皿に盛ってテーブルへと戻り、携帯の画面に映るお気に入りの女の子達の姿を堪能しながらハヤシライスをパクついた。
それは何時も何一つ変わる事の無い日常の一コマだった、実はこうして食べている御飯がこの世界で食べた最後の食事だったんだけど、あの時のあたしはそんな事に気付く筈も無くお気に入りの女の子キャラ達を見ながら呑気に御飯を食べていた。
今から始まるのはあたしが迷い込んだ世界のお話、この世界とは異なる世界、そんな世界で出逢ったあたしと凛々しい九人の乙女達とのお話……