バレンたい、ン?
以前にやってたブログで書いたモノの再編です…
基本的に、印章のよい人付き合いの仕方。
それは文句は心の中で極々小さく呟き、喜びを伝えるのは大きな声でハッキリと。
デモ、さ?
ンなの、素でやれる人間なんかそう簡単に居るワケない。
分かりやすい様に例えるなら、自分はどっちかというと文句がハッキリで喜びを伝える方が心の中だ。
そもそも。
喜びって、嬉しいとかって……どう表現するものなのだろうか。
ねぇ、どう言えば相手に伝わるの?
本当に心の底から喜んでいると、どうすれば伝わるんだろう?
己の手元にある物質を、ジィッと見詰めて考えた。
考慮の材料としては、先ず第一条件として大好きな人から渡された物とする。次の条件は、その人が目の前に居るコト。
正直、メチャクチャ嬉しい。嬉しくない訳なんかない。ってか、嬉しくないヤツいたら出て来い!
でも。
困ったコトにひねくれた己の思考が弾き出す考えは、からかわれているのかな?と、云う考えだ。
嬉しくて嬉しくて、できるなら気を失いたいくらい。でも、頭の片隅で根性の悪い悪魔が嘲笑いながら小さい突っ込みを入れる。
おいおい、そんなに上手い話があるもんか。だって高校に入ってからのこの二年間、ずっと好きだった相手なんだぞ?俗に言うベタな罰ゲームとか、嫌がらせなんじゃねーの?なんて、そんな無粋な言葉が脳裏に浮ぶも、今回ばかりは文句よりも喜びの言葉が先だった。
「あ、ありがとう」
ところが決死の死の思いで絞り出した喜びの声を聞いた相手は暗く沈んで……。
「ご……ごめん。迷惑……だったよ、ね……」
や、待ってよ!違う、違うんだって!!コレは生まれつきで……!!
心の中でそう叫ぶも、実際はきっと不機嫌な顔をして相手を見ているだろう自分に腹が立つ。
見る間に相手のその大きな瞳から大粒の涙が零れ出そうだ。
あぁ…心の声をスピーカーで相手に伝えられたらどんなに素晴らしいだろう!!
『うれしい、うれしいよ、すっごく!!』
そんなたった一言を、相手に伝えられればどんなにいいか。
なのに顔も唇さえも、固く強張って一向に動こうとしない。
好きな相手を泣かしてしまいそうな、そんな絶望的な事態に己の気持をどう伝えていいのか分からなくて……頭が真っ白になった。
けど、そんな自分に奇跡が起きた。
ぎゅっ。
ぎゅぅぅぅぅっと、無意識に相手の体を抱き締めていた。抱き締めている今も、そのまえも、まったく記憶がない。
えぇい!こうなりゃこの際、そんなモノがあろうがなかろうが、どうでもイイ!!
今、自分の腕の中で大好きな人が『居る』と云うだけで十分。
耳まで熱くなった真っ赤な顔で見上げた自分より大きな相手。しかもそいつは泣きそうな顔でこれでもかって小さくなろうと体を縮めやがる。
ちきしょう、カワイイじゃねーか!!
嬉し悔し紛れに力づくで回しきれない腕を渡されたチョコで補う。
バレンタインは普通…女の子からの愛の告白がメイン。
でも。
どんな時であれ、告白されて嬉しくない女の子が居るだろうか?
「…あっと。その…忘れてた…ケド」
口の中でもたついたセリフをつっかえながら、ずうっと制服の内ポケットに隠していた小さなチョコを相手の手の平に握らせた。
「へ、返品は不可だっ……!い、いいいい…いらなきゃ、す…棄てろ!」
渡されたモノの大きさから比べると、余りにも貧弱で情けない代物だ。
でも。
必死で火傷しながら作った力作…まぁ形は軽く流してもらえたら嬉しい状態だけど。
「は、恥ずか死ぬッ…」
そう言いながら逃げ出そうとすれば、今度は逆に信じられない力で抱き締められた。
「行かないで……コッチこそ嬉しくて、死にそう」
「ば、ばか!!縁起でもない!!」
自分から言い出したとはいえ、先行き暗い発言に柳眉を逆立て拳を振り上げるも好きであるコトには変わりなく……好きになってしまった相手も変りはない。
唸るように相手の胸へ額を押し付けて目を閉じた。
いつか。
ちゃんと好きだって伝えるから。
お願い……素直じゃないこの気持ち、呆れないで待っていて……?
休筆中とはいえ…なんか、いろいろスミマセン(汗)