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第七話



「ごちそうさまでした」

「美味しかったぞ」


 惣菜と米を買ってきて、夕飯を済ませた。


 ゲーム、飯ときたら次はもちろん。



「よし行くぞユウジ」


「はいよー」


 

 廃人とまでは行かないが、中々の浸かりっぷりになりそうな感じになって来ている。


 しかしそれも悪くないと思う俺は、無骨なヘッドギアを装着する。


「じゃあ向こうの世界でーー」 


 そして一度意識を手放す。


「あなたに旅のご加護があらんことを」


 そしてグリードライフオンラインの世界でまず俺を出迎えたのは豊かに白い髭を蓄えた司祭風の男だった。本日二度目の遭遇になる。


『街なかでログアウトしたため、教会に保護されました。100Gを消費しました』


 そして直後にそんな機械的な音声が流れる。この街では宿以外のどこでログアウトしても教会で目覚めるという親切なんだか不親切なんだかよくわからない設計をしている。


 しかしそんなことは気にせずに外に出ると、昼間と変わらぬ熱気が迎えてくれる。しいて違いを上げるとすれば、現実世界と同じく日がなくなり赤いお月様が出ていることと、酔っぱらいのようなやつが多少見受けられるくらいだ。


「なんだかすごいの」


「ほんとにな。なんか祭りみたいになってるよ」


 なんて広場で再び落ち合ったアデルと会話を交わしながら、東にある門を目指す。


 向かう先は『始まりの草原』と呼ばれるフィールドで、初心者向けの簡単に倒せるモンスターが集まるエリアだ。


 そして到着。さすがにこの街で積極的に狩りを行う人もそこまで多い訳ではなく、ずっと広がる鮮やかな緑の草を連ねさせるこの土地には、まばらに人かげがあるだけだった。


「まずはどれから殺る?」


 戦闘というものをすることだけのために生を受けたはずの魔王様。当然アデルも目の前に倒していい敵がいるとなれば血も騒いでくる。じゃあなぜ俺と戦おうとしないのかという点には疑問が残る部分もあるが。


「とりあえず、ベビーゴブリンってのを三体倒せば開拓者補助ギルドから報酬が貰えるみたい」


 なんていうのは道中に通った開拓者補助ギルドの掲示板を確認して期限のないクエストを請け負ったからだ。


「じゃあそいつから行くぞ」


「ええと確か容姿の特徴が……」


「小さくて角が一本あって緑色の人間みたいなやつか?」


 もしかしてと少し自信なさげな表情でアデルがそう聞いてきた。


「なんでわかった?」


「あそこに一匹いるぞ」


 なんていってアデルの視線が示す先には、間抜けヅラして障害物もなにもない草原をまったりと歩くベビーゴブリンの姿があった。


 






 


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