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序章②

 六月某日の土曜日、東城凛は途方にくれていた。

 家を失くし、所持金もそこをつこうとしている。このままではもってあと一日と言うところだろう。さて、どうしてものだろうか。

 とりあえず、この梅雨時期に屋根がないというのは本当に困るので公園の屋根付きベンチをほとんど占領する形を取っているのだが、これも管理者がいつ怒鳴り込んでくるやら……。

 そもそも、どうしてこんな状況に陥ったのか目をつぶり、深く考えて見ることにしよう。

 そう、あれは一昨日の事――――。

 いつもどおり帰宅部の俺は学校が終わると一人暮らしをしているアパートに帰った。しかし、玄関には立った一枚張り紙があって、『家賃が払えないのなら出てけ!』と。

 俺もさすがに焦ったね。二ヶ月分の家賃を滞納しても何も言わないからてっきり、もういいのかと思ったんだけど……。

 そんで? どうして俺は家賃が払えなくなったんだ?

 …………。

 あ、親からもらった一年分の生活費を全部娯楽費として使ったんだっけ。そうだった、そうだった。まぁ、仕方ねえか……。

 ここで、誰かが突っ込みをいれてくれればこの東城凛も自分の金銭感覚の異様さに気がつくのであろうが生憎、ここには彼しかいないわけでそんな自分の異様さに気がつくのはもっとずっと後になるのだろう。

「にしても、困った。実に困った」

 さすがの彼も高校に入学して二ヶ月でホームレスを経験するなんて事は夢にも思わなかっただろう。どうやってこの先行きていくかを必死に考え始めた。……、

「今日のコ○ンはどうやってみればいいんだ?」

 と思ったが、このバカはどうやらどこまで言ってもバカのようだ。

 だがしかし、コナ○というのは某有名アニメであるわけで、あれはたいていが一話では完結しない。そういう時は二、三週間に渡って前編後編に分けているのだ。ちなみに先週はその前編だったので今日は予定通りならば後編を放送するはずなのである。

「ちくしょー。誰なんだよ、あのコンビニ強盗の犯人は誰なんだよ? おっちゃんの声変わっちゃって結構ショックだったけど、○ナンの推理めちゃくちゃ気になるやん!」

 一通り言いたい事をぶつくさ言ったら気が治まったらしく、冷静になった頭に現実的な危機感が迫ってきた。

「にしても、やっぱバイト探さないとやべぇよな。昨日は創立記念日で学校休みだったから良かったけど、月曜にはまた学校だし教師になんか察しられる前になんとかしねぇと……」

 そんな折に風に乗ってやってきた一枚の紙切れが俺の運命を大きく変えた。

『高給約束! 住み込みバイト募集中。学生、サラリーマン、中年……はダメですけど(笑)とにかく参加資格は中年以外(笑)。興味のある人はここで面接いたします…………』

 あからさまに怪しいが高給約束・住み込みバイトのふたつだけをみて即決判断した東城は記された会場へと歩き出した。


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