第10話 「別れと新たな始まり」
ここまでで第一部完となります。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます。
続きが気になるや作品へのご意見、ご感想あれば
是非、お願いいたします。
8つのチーム編成が決まってから三日後。
王城の訓練場では、それぞれのチームが最後の合同練習を行っていた。
ミナチーム(3人)、ユカ・サキチーム(4人)、ハルチーム(2人)、アオイチーム(3人)、エマチーム(2人)、リコチーム(2人)、カノンチーム(3人)、そしてセレナは王都残留で情報統括という編成が決定していた。
「みんな、最後の全体練習です」
ミナが全員に向かって声をかける。
総勢二十一人のチアダンサーたちが、一斉にフォーメーションを組んだ。
練習の後、セレナが重要な道具を取り出した。
「これが、魔法通信機です」
手のひらサイズの青い水晶のような道具が、8個並べられている。
「毎晩午後九時に、全チームで通信を行います」
セレナが使い方を説明する。
「この水晶に魔力を込めて『接続』と唱えると、他の全ての通信機と繋がります」
実際に試してみると、水晶の中に他のメンバーの顔が映し出された。
「すごい! 本当に顔が見える」
カノンが興奮する。
「これなら、離れていても安心ね」
エマが安堵の表情を見せる。
「それでは、各チームの担当地域を発表します」
宮廷魔術師が大きな地図を広げる。
「ミナチーム:北部の工業都市群(3都市)」
ミナが力強く頷く。
「ユカ・サキチーム:東部の農業地帯(5町村)」
双子が手を取り合う。
「ハルチーム:西部の山岳地域(3村)」
ハルが決意を込めて応じる。
「アオイチーム:南部の商業都市(2都市)」
アオイが冷静に受け入れる。
「エマチーム:中央部の学術都市(1都市)」
エマが緊張した面持ちで頷く。
「リコチーム:沿岸部の港湾都市群(2都市)」
リコが元気よく応じる。
「カノンチーム:国境近くの要塞都市群(3都市)」
カノンが真剣な表情で受け入れる。
「そして、セレナは王都で情報統制と緊急支援を担当します」
出発前夜、8人とセレナは宿舎の屋上に集まった。
星空の下、9人は輪になって座り、これまでの思い出を語り合った。
「初めて異世界に来た時は、何がなんだか分からなかった」
ミナが懐かしそうに話す。
「鑑定で『チアダンサー』って出た時の、あの困惑」
カノンが笑いながら付け加える。
「でも、今思えば、それが私たちの運命だったのね」
アオイが感慨深げに言う。
「セレナと出会えたのも、奇跡だった」
ハルがセレナに向かって微笑む。
「皆さんと出会えて、私の人生は大きく変わりました」
セレナが感謝を込めて答える。
「一人では決してできなかった夢を、皆さんと一緒に実現できた」
「みんな、聞いて」
ユカが立ち上がる。
「私たち、明日からバラバラになるけど」
サキが続ける。
「絶対に忘れないで。私たちは一つのチームだったこと」
エマが涙ぐみながら言う。
「どんなに離れても、心は繋がってる」
リコも頷く。
「困った時は、必ず助け合いましょう」
カノンが力強く宣言する。
「私たちは、この世界の希望の光。一人一人が大切な光なの」
ハルが優しく付け加える。
「そして、みんなが輝くことで、世界全体が明るくなる」
アオイが冷静に、でも温かく言った。
「効率的に世界を救う。それが、今の私たちにできる最善の方法」
「最後に、みんなで歌いましょう」
ミナの提案で、9人は立ち上がった。
♪離れていても~ 心は一つ~
それぞれの声が重なり合い、美しいハーモニーを奏でる。
♪光を届けよう~ 世界の果てまで~
歌声は夜空に響き、星たちも彼女たちの決意を見守っているかのようだった。
♪私たちの絆は~ 永遠に続く~
歌い終えると、9人は固く抱き合った。
「これで、お別れじゃないからね」
ミナが涙を拭いながら言う。
「毎晩、必ず話しましょう」
全員が約束を交わした。
翌朝、王城の門前で出発式が行われた。
国王陛下自らが、8つのチームを見送りに来てくださった。
「チアダンサーたちよ、君たちこそが我が国の希望の光だ」
国王の言葉に、全員が深く頭を下げる。
「必ずや、この世界に平和をもたらしてくれると信じている」
宮廷魔術師が最後の確認をする。
「各チーム、準備はよろしいですか?」
「はい!」
力強い返事が響く。
それぞれのチームが、異なる方角へと向かう馬車に乗り込んだ。
ミナは馬車の窓から、他のチームの馬車を見送った。
「みんな......頑張って」
心の中でつぶやく。
ユカとサキの馬車からは、双子の笑い声が聞こえてくる。
ハルの馬車は、堅実に真っすぐ進んでいく。
アオイの馬車は、効率的なルートを選んで進む。
エマの馬車からは、緊張しながらも決意に満ちた声が聞こえる。
リコの馬車は、元気よく駆け抜けていく。
カノンの馬車は、音楽に合わせるようにリズミカルに進む。
そして、王城に残るセレナが、全てのチームを見送っていた。
「皆さん、きっと成功します」
セレナが静かに祈る。
夕方、それぞれのチームが担当地域に到着した。
午後九時、約束通り魔法通信機が起動する。
「みんな、聞こえる?」
ミナの声が全てのチームに響く。
「聞こえてるよ!」
カノンが元気よく答える。
「私たちも大丈夫」
ユカとサキが報告する。
「全チーム、無事到着しました」
アオイが効率的に状況をまとめる。
「明日から、それぞれの戦いが始まりますね」
ハルが決意を込めて言う。
「でも、私たちは一人じゃない」
エマが心強く言う。
「みんながいる。だから大丈夫」
リコが明るく付け加える。
「頑張りましょう、みんな!」
セレナが全員を励ます。
こうして、チアダンサーたちの新たな物語が始まった。
8つの光が、それぞれ異なる場所で輝きながら、世界を照らしていく。
彼女たちの絆は、距離を超えて永遠に続いていく――。
――第一部 完――