束の間の休息
またやってしまった・・・・
旅は、まだまだ続く。まだまだつづくけれど、一度、終わりが見えてきた。
一度、荷物を解いて、少し水を飲み、眠りにつこうと思う。
色々なことがあった。歌い手の娘と話したことがあった。
天の国の踊り子と話したこともあった。
どこにもない、幻を見たこともあった。
恐ろしい岩の姿を見たこともあった。
「お前はどこから来て、どこまで行くのか・・・」
「・・・・・・・」
「お前の旅は長い、誰よりも」
「・・・・・・」
「今度の旅は、少し長くなる。今までと違う土地になるだろう・・・・・」
「僕の希は・・・・・・」
「なんだ?」
「少しの幸せと、大きな栄光です」
「そうか・・・・・・」
「歌い手の娘のことはもういいのか?」
「ええ・・・・もう・・・・」
「そうか・・・・・」
「よし、君にあだ名をつけよう」
「あだ名?」
「そう・・・・そうだな・・・・君は空が好きだったね。だから・・・・・ソアラ」
「ソアラ・・・・女の子のような名前ですが・・・」
「うん。そろそろ僕は行くよ。では。よい旅を」
そうして旅人は束の間の休息を得た。
嘘のような真のような話は、まだつづく・・・・