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3、出会い

 月明かりで足を確認すると、両足の膝裏が切れていて、そこから血がたくさん出ていた。そのせいで、足に力が入らず足を動かすことができなくなっていた。その傷跡はなにかに切られたような跡をしていた。自分は、視線を足の膝裏から上に上げていくと、月明かりとランタンの明かりでほんのり照らされた、大きな何かが自分の後ろに立っていた。足は何本かわからないけど、たくさん、2本以上は見えて、体の大きさは、天井より少し低いぐらいに見えた。そして何より、暗闇の中で、赤い光が8個輝いていた。自分は大きな何かを唖然としながら見ていると、大きな何かは、足を天井ギリギリまで高く振り上げた。


「あ、」


 それを見たとき、自分はもう無理だな、もう逃げれないなという気持ちになった。大きな何かの足が徐々にこっちに向かってくるのがわかる。死ぬ前は、時間がゆっくりと進むように感じるというけど、本当だったんだな。足はだんだんこっちに近づいてくる。体を動かそうと思っても全く動かない。自分は今何もすることができない。自分は覚悟を決めて、目を閉じた。...


「ホーリーライト!」


 すると、後ろから急に女の人の声が洞窟に響いた。自分は驚いて目を開けると、真っ白な光が自分の後ろで輝いていた。目の前にいた大きな何かは、急に真っ暗な場所で朝かと疑うほどの光がおきたことで、怯んでいるようだった。そして、今まで暗くて全く見えなかった大きな何かの姿があらわになった。自分の目の前にいたのは、大きな蜘蛛だった。自分が驚いていると、視界の端で何か動いたような気がした。


「神の剣!」


 すると、自分の右側から黄金に輝く大きな剣を持った人が、大きな蜘蛛の頭目掛けて飛びかかった。大きな蜘蛛はまだ怯んでいるのか、男の人に気づいていなさそうだった。男の人は、黄金に輝く剣を頭の上に持ってきて、思いっきり振り下ろした。その攻撃は、大きな蜘蛛の目を半分叩き切った。切った場所からは大量に血が吹き出して、蜘蛛は耳を塞ぐほど大きな奇声を上げた。しかしすぐに蜘蛛は立ち直り、黄金の剣を持った男の人目掛けて大きな前足で攻撃した。男の人はすぐさま後ろにバックして攻撃を避け、逆に攻撃してきた前足を剣の横振りで切り落とした。蜘蛛が怯んでいると、自分の後ろから炎の球が5発か6発速いスピードでとんで行き、蜘蛛のお腹に全て命中した。当たった場所は焼けて、黒くなりジュージューという音が出てる。見る感じ蜘蛛も相当弱ってきてると思ったら、蜘蛛が急に口を開けだし、紫色の光が口に集まっていく。そして紫色の光が十分な大きさになると、蜘蛛は剣を持った男の人に顔を向けた。紫色の光が輝き始め、今にも打ちそうなその瞬間、別の男の人が自分の左側を通っていった。男の人は流れるように蜘蛛の頭の真下まで行って、思いっきり上にパンチをして蜘蛛の開いていた口を無理やり閉じた。蜘蛛が打とうとしていた紫色の光は、行き場をなくしたからか、蜘蛛の口の中で大爆発を起こした。蜘蛛の頭は瞬く間に弾け飛び、蜘蛛周辺の洞窟の壁に飛び散った。蜘蛛の体はというと、頭を無くして、最初はピクピクしながら立っていたが、すぐに力尽きるように前から倒れていった。自分がこの一瞬のことに驚いていると、後ろから女の人が近づいてきた。


「大丈夫ですか!」

「いや大丈夫じゃないですよ。なんでゲームなのに足から血が出てるんですか?めっちゃ足も痛いし、これなんなんですか?」

「大丈夫ですから落ち着いてください。今からヒールしますから」


 女の人は自分の血が出てる膝裏に手を置いて深呼吸をした後、「ヒール」と発した。すると、傷口から緑色の光がほんのり灯り、大きく裂けた傷口が段々と閉じていった。完全に閉じきると、心なしかさっきまでの痛みが弱まった気がする。


「終わりました」

「ありがとうございます。あの、すみません。それでこの血と痛みは何ですか?」

「私もどういう仕組みかははわからないんですけど、リアリティーを求めた結果らしいです。それでこんな仕様になったらしくて。はじめはみんな驚きますよ。私もそうでしたし...」


 女の人は興奮してる自分にちゃんと丁寧に血や痛みの使用について自分に教えてくれました。教えてもらった後、自分は足を動かそうと思うと、さっきまで動かなかった足がちゃんと動いた。自分はその場に立つと、足を振ってみたり、触ったりして、足が治ってることを確認した。自分が治してくれたことにお礼をすると、女の人は体の前で右手を横に振って、「いえいえ」と謙遜した様子を見せた。その後蜘蛛の死体の方から、剣を持った人と、さっき蜘蛛を殴ってた人がこっちに歩いて来た。


「おい大丈夫か!」

「はい。ほんとにおかげさまで」

「運が良かったな。にしてもなんでこんなところにいたんだ?」

「あ、私もそう思ってました」

「えっと、自分はここでただ普通に鉱石を掘ってて」

「鉱石?」

「え、ここって採掘場じゃないんですか?」


 3人組にここについてのことを詳しく教えてもらうと、どうやらここは最初からそこまで大きい採掘場ではなかったらしく、他にもたくさんの採掘場があったらしい。だけど、最近になって珍しい鉱石がでることがわかったらしく、大勢のプレイヤーがこの採掘場に集まったらしい。その影響で、元々そこまでたくさんあったわけでもなかったここの採掘場は、すぐに鉱石が取れなくなったらしい。逆に、鉱石がでなくなった分、モンスターがたくさん発生するようになったらしい。そのため、一定のプレイヤーからは隠れレベル上げスポットになったらしく、3人組もレベル上げをするためにここに来たらしい。


「え、じゃあ...どこで採掘したらいいですか?」

「そうだなー...もしお金集めをしたいだけなら、地道だけど街の近くの森に生えてる薬草とかを取って売ったほうが、初心者のうちはいいよ」

「そうなんですか?攻略サイトだと鉱石でのお金集めが1番いいって」

「そうなんだけどね。鉱石集めは採掘場に行くしか方法はないんだけど、その採掘場が街から少し遠いんだよね」

「遠いってどれくらい...」

「2時間ぐらい...」

「あー」


 女の人が申し訳無さそうに言うと、自分はその時間の長さを聞いて、遠い目になった。


「街まで送ってくよ」

「え、だけど」

「おい、油断してるとその体じゃあすぐに死ぬぞ。夜の森を装備無しで行くのは自殺行為だからな」

「・・・」


 自分は3人組と一緒に街を目指しました。途中モンスターが出てきたけど、全く焦る雰囲気も見せず3人は一瞬でモンスターを倒していきました。流石に夜の森だと、行きのときよりも、道を気にしないといけないので、街につくともう真夜中になっていました。3人組と街の入口でお別れをすると、流石に歩き疲れたので、自分は街の入口のすぐそばのベンチに座って休憩しました。流石に時間が遅いのでログアウトしようと思うと、


「あれ?これってどうやってログアウトするんだ」


 自分がどうやってログアウトしたらいいか、3人組に聞けばよかったと後悔しながら、色々と試行錯誤していると、後ろから女の人が声をかけてきた。


「あのー、大丈夫ですか?」


次回1週間後になると思う

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― 新着の感想 ―
楽しみです
三話目を読み終わったのでこれから2話目、1話目を読むよ。
2025/05/23 22:51 山本 犬郎
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