巡るは星々の輪廻
ユイたちが帰ってから数日の時がたった頃の岩波家の屋敷の別館。
静けさと月の光がアトリエの輝きを作り出している。
そんなアトリエの扉が開いた。
扉は異界へと繋がり、生まれ変わった主を導いていた。
「はぁ~。ここにようやく来れるようになった。」
白銀の短髪に、明るい葡萄色の瞳の少女。
容姿は少し異なるが、魂は間違いなくこのアトリエの主である。
「やっぱり銀河鉄道に乗ってもフィンランドから日本までは遠いね。」
新たな故郷から距離に少し落胆したものの、まあそれはそれでいいかと少女は楽観的に済ませた。
「元気にしてるかな~?。ユイ。」
かつて置いていってしました前世の娘に想いをはせながらアトリエの本棚を撫で歩く。
「それにしても。娘と同い年に転生してくるなんて、悪趣味じゃありませんか神様。」
不本意な因果に実体無き存在に少女は嬉しくも余計なお世話な文句を言う。
「まあ、でも。またあの子に会えるのは正直嬉しいかな。娘と同い年かぁ~。来年には会えるといいな。」
決して早くないが、かといって遅い再開は望まない。
少女はそう感じている。
「お誕生日おめでとう。ユイ。今度はちゃんと迎えに行くからね。待っててね。」
銀河鉄道の思い出。それが残る写真が入っている写真立てを片手に少女は月に誓った。