転生
世界が……時間が……ゆっくり流れていく……。
ガラガラと金属のなにかが崩れ落ちていく音……。
僕はその時に悟った……。
もうダメなのだと……。
目の前についさっき、突き飛ばした青い髪の2桁もいかない幼い少女がいる……。
あぁ……。大丈夫そうで……良かった……。
僕の意識は深く沈んだ……。
深く……。深く……。
ブォーォ……。と逞しくも激しい蒸気の音がこだましていく……。
ピッ……。ピッ……。ピッ……。
電子のメトロノームが、僕の生存を保証している……。
ここは病室……。
身体が縮んだような感覚と妙に重たく感じる布団の重み……。
「あっ……。」
可愛げな声がこだまする。
これが僕の声。
慣れない身体を起こして、鏡のようになった窓に写る自分を見る。
半透明のように、発光するように、透き通る青白い髪。
人形のような綺麗な白桃色の瞳。
優しく身体に指が触れると、その感触、実体が僕そのものであると証明してくれた。
しばらくしてから父親と見られる男性と、母親と見られる女性。
それに兄と思う少年と、妹だと思う少女が僕の元に駆けつけた。
「お父さん……?。お母さん……?。」
そう発した僕の言葉に一同、驚いていた。
……?。
僕自身も疑問に思っていた直後、父親?が僕に抱きついた。
それから母親?。それに兄?と妹?。
それからは慣れない身体。
混濁していく記憶に翻弄されながらも早、中学卒業後の春休み。
【岩波ユイ】として生を受けた僕は、5歳の頃に亡くなったお母さん【岩波レイ】の墓参りと僕自身の療養のために帰省することになった。
罪悪感を胸の奥底に抱えながら……。