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時空ノ陰陽師は全てを変える  作者: 狐の剃刀
全ての始まり
8/10

其ノ七

ーーーーそれから二日後。




今日は剣術の先生がくる日だ。


(ワクワクが止まらないな…それにしてもこんな気分にもう一度なれるなんて…嬉しいな)


剣術の先生が来るという高揚感ともう一度高揚感を味わえているのだ。こんなに素晴らしいことはあるのだろうか?

今の俺には贅沢すぎる時間だったのだ。









朝餉を取り終わり自室にて護符の呪印の勉強をしていた時、襖がノックされた。


ーーーコンコン


「白夜様。剣術の先生がいらっしゃいました。

どうぞ客間へいらして下さいませ。」


きた!やっと来た!


「分かった!直ぐに向かう!」


俺は高揚感を隠しきれない声音で返事をした。


(いよいよだ…今の俺の力が試せる!)


軽い足取りで客間へと行くのであった。

ーーーこれの出会いが俺の運命をまた大きく変えたのだったら。

















ノックを二回し客間の襖を開ける


ーーーコンコン


「失礼致します。白夜です」


「あぁ白夜。入りなさい」


先に剣術の先生をもてなしていたのか父様の優しい声が聞こえた。


「失礼致します。」


襖を開ける。まず一番に目に入ったのは剣術の先生のオーラだ。


(何だ…この存在感…存在感だけで圧倒される)


未来にいた時でも感じられなかった研ぎ澄まされた雰囲気に少しだけ気圧された。


(まるで抜き身の刀のようなお方だ。)


俺がそんな事を思っているのを知っているのか父様は安心させる様な笑みを浮かべ此方に声をかける。


「紹介するね。此方は剣聖と呼ばれる源聡様だ。」


長い黒髪を一つに結び戦い抜いたあかしなのか右頬に縦長く傷が刻まれている。その瞳は透き通っており吸い込まれそうだ。


(この方が源聡。)


源聡。前の俺でも知っている刀の達人だ。

何でも陰陽師では無いのに最上位階に限りなく近い上位階の妖相手に単身で撃破した英雄。その命絶えるまで妖と戦い続けた人物だ。

…まぁ前の俺はこの頃は引き篭もっていた為噂でしか聞けなかったが…噂は正しかったらしいこの雰囲気ならば納得だ。



「源聡だ。早速だが手合わせをして欲しい。」


(は?何で?俺一応剣術は初めてとつたえられているよね…)


「まさかその雰囲気で剣術は初めてだと言うまいな?足運びからその眼差し。全て歴戦の剣士に匹敵する。隠蔽はしていただきようだが我の目は誤魔化せないぞ?白夜とやら。」


(…凄い。見抜かれた。)

正直心の何処かで侮っていたのかもしれない。

この人は…きっと俺の運命を変える人だ。


「で?我の申し出に乗るのか?…まぁ乗らないのならこの話は無かった事にするが。」


(絶好の機会だ…)


今の俺の剣術の力量を測れる最高の機会だ。


(乗らない手はない…ッ!)


「是非宜しくお願い致します!」


そうして俺たちは庭に出た







































(久々の感覚だ。)


この時代に来てから木刀を握った日は今まで無かったからな…


「では私が審判を務めるけど…白夜本当に平気?」


父様からしたら俺の行動は異常に見えるだろう。

だってこの時代の俺は剣術の才が無いと分かった瞬間学ぶのを辞めたからな…つくづく思う。俺は雑魚だ。才能の有無で諦めてしまうのだからな。

俺は笑みを浮かべながら父様の方を向く。


「ご心配頂き有難う御座います。ですが大丈夫です。」


まだ心配なのか父様の顔は晴れない


「無理だと思ったら直ぐに父様につたえるんだよ?良いね?」


…過保護過ぎる…だが心配して貰えるのは嬉しい

前の俺は心配などされなかった。


「そろそろ話は終わったか?手合わせを始めたいのだが」


おっとついつい待たせてしまった。失敗失敗。


「すみません!此方の準備は整いました!」


「そうかなら始めようとしよう。緋月殿合図を」


「分かりました…」


父様は一瞬心配そうな目線を此方に向け


「両者構え!」


(始まりの合図と共に動かないと…)


「では…始めッ!」


刀は下段にもち俺は一直線に源に向かう。


(先手必勝!)


そして源の足を狙う。


(体制を先ずは崩さないと…ッ!)


しかし木刀が届く前に源は避ける。


(矢張りそう簡単には行かないか。)


「最初に我の足を狙うとは…普通の人は首を最初に狙う。矢張り其方実践向きの剣術の心得があるな?」


そんな事を言いながら源は俺に攻撃を仕掛ける。

狙いは俺の腕


(ーーーーッ!速い!)


俺は間一髪の所で攻撃を避けた。


(危なかった。一発でも受けていたら致命傷だ。)


俺が攻撃を避けた事が意外だったのか


「面白い」


源がニヤリと口角を上げ笑う。

俺は今の攻撃を避けるだけで息が上がっていた。


(はぁはぁはぁ…この身体は不便だな…もっと体力をつけねば)


そんな事を思っているうちにまた攻撃が来る。


「考え事とは随分と余裕なようだなぁ」


ーーーそんなわけあるかっ!今の動きだけでもう疲労困憊だよ!


源の攻撃を木刀で受け止める。


(一撃一撃が洗練されている…一攻撃が重い!腕が痺れる!)


俺は腕の力だけでは無く、足や腰。全ての体の部位を使い攻撃を受ける。


「ほう…これも受けるか…ならば…!」





剣技が来る!





『源月流・中段・半月』





(ーーーーッッ!なんて技だ!速い!速過ぎる!ギリギリ目で終える速さだ。)


半円を描くような無数の斬撃が俺を狙う。

受け流すので精一杯だ!

俺は斬撃を全て受け流し切った。更に息が上がる


「凄いな…この技をその体で全て受け流し切るとは…。だが我に攻撃を仕掛ける余裕は無いみたいだな。そしてもう動ける気力も無い」


ーーー全くもってその通りだ。今の身体の体力はもう限界だ


(だが!)


息を整え源を見据える。


(もう動けないと思っている…ならば俺が意外な動きを見せれば良い。今の俺には未来で培った技量がある!そうだ!あの剣技なら!)


一歩間合いを詰めて刀を構える。


「なんだ?その構えは?見たことがない」


そうだろ…だってこの構えは未来の俺しか使っていない技だ。



時流(じりゅう)・上段技・逆巻き』









時の乱れを表すような乱れた剣戟を一通りした後まるで逆再生の様に巻き戻り攻撃を反転させる。


「!こんな剣技はみたことない!」


源の顔が驚愕に染まる。


更に俺は技を使う










『時流・上段技・十二支』


一撃、一撃が変わる技だ。ある時は蛇の様な絡まる攻撃。ある時は兎の蹴りのように反発力がある攻撃など十二支に

なぞらえた技を繰り出す



「技を連続で出すだと!なんて滑らかな切り替え」



源が押されていく。


(いける!最後の技!)






『時流・下段技・時止め』





素早い突きの攻撃だ。単純な技だが連続技を出した後に使用すると強力な技になる。



(いけぇぇぇぇ!)
















技は源の溝内に届いた。



「ーーーー!」


源が驚愕で顔を染めその場に蹲る。



(勝った…!勝った勝った!)



「しゃぁぁぁッ!」


俺は喜びの余り思わず拳を天に突き上げていた。


誰もが俺の勝利に目を疑う。



「そ…そこまで!勝者緋月白夜!」


父様のだいぶ驚いている声で勝負は決まった



俺は源の側に行き未だ地面に伏している彼に手を差し出す。


「其方は凄いな…其方の剣は才能に恵まれなかった形をしていた。それにその冷静な判断。何百年も戦場で戦っていた様な気配を感じる。其方は…いや何でも無い。手を貸してくれて礼を言う。其方は我の教え子では無い。」


「えっ…では俺は如何なるのでしょうか?」


源は微笑みながら言った


「いずれこの国最強になる我の好敵手と認めた。我が其方に教えることは無い。」


「ーーーッ!」


認められた!あの英雄に


「だが、其方は先ず身体を鍛えるべきだな。身体が剣技に追いついていない。」



ーーーその通りだ。



「また刀を交わそう。その時は負けないからな!」


「はい!」
















こうして剣術の特訓は終わったのだった。

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