第19話 段ボールの壁
月曜日の朝起きると、今週の文化祭準備が大変なことを思うと、僕は一気に疲れたような感じがした。
今日の授業は、5分短縮なはずなのに、いつもの1.5倍くらいの長さに感じた。
今日の授業が終わると、早速壁の設置方法について陽子さんと二人で相談した。
「陽子さん、机を使って壁を固定してみよう」
「うん。一回やってみよう」
二人で、机に段ボールを固定してみたが、安定感がいまいちだった。
「やっぱり安定感がないね」
「陽子さん、机を積み上げて、そこに段ボールを張り付けてみよう」
今度は、机二つを積み上げてそこに段ボールを張り付けてみた。しかし、机が倒れてくると危ないので、この案は却下された。
しばらくの間二人で考えていると、陽子さんが何かひらめいた。
「武道場の梁に吊り下げるのはどうだと思う?」
陽子さんの考えに、僕はすごいと思った。
「これならさっきよりも安全だね。しかも、こっちのほうが材料も使わないからね」
試しに、梁から段ボールを吊り下げると、今までの中で一番安定した。
「陽子さんすごいじゃん!」
「ありがとう」
「あと、デザインどんな感じにする」
「私は、真っ白とかでもいいと思うけど」
「僕は個人的にカラフルにしたほうがいいと思うけど」
「一回ほかの人に聞いてみよう」
「でも、あと5分で文化祭準備終了だよ」
僕は武道場にある時計に指をさした。
そのためみんなには、明日聞いてみることにした。
そして、翌日は授業後にほかの人に聞いてみると、みんなはカラフルにしたほうがいいと言っていた。
「あやちゃん、塗料とかどうする?」
「壁の予算あと4000円はあると思うから、それでスプレー塗料を買おう」
「確かに、まだガムテープしか買っていなかったからね」
「とりあえず今週は壁の形を作ろう」
「分かった」
そうして、翌日は壁の形を8枚ずつ作ることができた。
しかし、壁は200枚くらい必要なので、このペースで作っていたら全然出来上がらない。
そのため、ほかの係りの手が空いている人にも手伝ってもらって今週で100枚近く完成させることができた。
金曜日の部活後に帰ろうとすると、陽子さんに呼び止められた。
「あやちゃん、このペースで間に合うと思う?」
「ちょっと厳しいと思うよ。もう少しお手伝いが必要だと思うよ」
「やっぱりね~もう少しお手伝いしてくれるようにお願いしよう」
「あと、材料の段ボールも足りなそうじゃない」
「あ、段ボールのことすっかり忘れていた」
「あやちゃん、今度の土日空いてる?」
「日曜日は予定があるけど、土曜日は大丈夫だよ」
「それじゃあ部活後にまたあのスーパーに行って段ボールもらいに行こう」」
「あと、ついでに壁を吊り下げるためのひもも買いに行こう」
「うん」
「それじゃあまたね」
「また明日」
そう言って、僕たちは各自の家に帰った。
そして、今日は紗奈先輩とラインをして、11時までには部屋の電気を消して、眠りに落ちた。