第17話 紗奈先輩と文化祭の話
「ようやくこの日が来た」
僕はこの日が来たことがうれしかった。昨日までは文化祭準備で忙しかったが、今日は午前中は部活があり、午後からは紗奈先輩と久しぶりに話せるので、今日が来てとても嬉しかった。
午前中の部活動を頑張って自転車置き場でしばらく待っていると、紗奈先輩もこちらにやってきた。
「あやちゃん、どこに行く?」
「できればお金使いたくないな~」
「それじゃあ近くの公園とかにする?」
「とりあえず公園にしよう」
9月とはいえまだ外は暑いのでもし熱いのが耐えられなくなったら、ほかのところに行こうと思っていた。
しかし、耐えられないほどの暑さではなかったため、公園で紗奈先輩と話すことにした。
「紗奈ちゃんはクラスの出し物何やるの?」
僕がそう聞くと、紗奈先輩は少しうつむいた。
「それがさ~ お化け屋敷になっちゃったんだよね」
「紗奈ちゃんは何の役なの?」
「男の子と一緒にゾンビ役をやることになったんだ」
紗奈先輩はただでさえ怖いものが苦手なので、ゾンビの役をやることは、とても大変だと思った。
「紗奈ちゃんはゾンビ役で大丈夫なの?」
「大丈夫なわけないよ!」
紗奈先輩が口調を少し強くしていった。
「どんな感じのゾンビ役なの?」
「今の時点ではまだ決まってないけど、とても怖いと思う」
「あまり怖くないゾンビの役にしてもらったらいいんじゃない?」
「多分無理だと思うけど、一回お願いしてみる」
「あと、あやちゃんはクラス企画は何の役やるの?」
「僕のクラスは迷路をやるけど、当日の役割はまだ決まってなくて、準備では迷路の壁を作る係になったよ。しかも、たった二人で作ることになったよ。」
「あやちゃんはあやちゃんで大変だね」
「紗奈ちゃん、お互い頑張ろう」
「うん、そうだね」
紗奈先輩の元気が少しずつ戻っていった。
そのあとも、しばらくの間は文化祭の話をした。
そして話が終わるころにはもう夕方になっていた。
「それじゃあまたね」
「紗奈ちゃん、またね」
僕たちは挨拶をして家まで帰った。
お風呂に入っているときに、僕は紗奈先輩と今日話したことについて思い出した。
そして、僕も元気が湧き出てきた。
「明日から頑張ろう!」
僕は小さい声でつぶやいた。
お風呂から出ると、紗奈先輩とラインで連絡を取った。
そして、また来週紗奈先輩と今度は二人きりでカラオケに行くことにした。
そして、明日に備えて今日は11時までには眠りに落ちた。