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第五十八話 時を游ぐ

「……イサナ、そのバケツは?」


「え? 前がそうだったし、またおぇーってするかなって思って……平気なの?」


 カプセルの蓋が開き、ぼんやりと目を開けた俺の視界に映ったのはバケツを抱えるイサナの姿だった。

 首を傾げ、想定外といった表情を浮かべている。


「平気だよ、今回は対策してきてるし……そうそう何度も吐いてる姿を見せてたまるかってんだ」


「ちぇー……久しぶりに看病したかったのにさぁ?」


 お手本のような「つまらない」という表情を浮かべながら手に持ったバケツを床に置くイサナを見ながらカプセルから勢いをつけて飛び降りる、色々と対策をしたつもりではあったが床に足がついた瞬間少しフラついてしまった……やはり転移なんていう異質すぎる現象の完全解明にはまだまだ程遠いようだ。ともあれ……今は体が動けばそれでいい。


「あれ? シュー……わっ……!?」


 振り向いたイサナを思いっきり抱き締める、耳元で驚いたような声が響いたがそれもすぐに小さな笑みを携えた息に変わり、俺の背中にも細い腕が回る。


「……おかえり、シューゴ」


「ああ……ただいま、イサナ」


 唇に触れる感触、鼻孔をくすぐる匂い……そのどれもが俺が地上の日々を過ごしながら求め続けてきたものであり、二度と手放すまいと誓ったもの……ようやく取り返す事が出来た。




「何か食べる? 簡単な物なら作れるけど」


「いや……空腹感はあるけど今食べるのはマズい気がする、何か温かい飲み物をくれるか?」


「はーい、じゃあ少し待っててね」


 昇降機を降り、すっかり慣れ親しんだ俺達の部屋が視界に広がる……長さで言えば研究所のあの部屋の方が圧倒的に長く過ごしている筈なのに、この部屋こそ自分の帰るべき場所だという気がしてならない。


「それにしても主任研究員になってた時はビックリしたよ、出世したんだねー」


「あんなの……自然と上がるものらしいぞ、俺の場合はここでの経験が実績扱いになってるしな。三年も過ごせば、まぁそうなるさ」


「そっか……地上ではもうそんなに経ってるんだ、こっちじゃまだ半年ぐらいなのに」


 いつも座っていた椅子に腰掛けようかとも思ったがどうにも落ち着かず部屋の中をうろついてみる、シャワー室への道をチラ見し二段ベッドの布団に手を沈め……どうやら俺がいない間にも綺麗に洗ってくれていたようだ。

 改めてイサナの愛情を感じながら深海が見渡せる大きな窓の前に立ち、黒と青と緑色が混ざり合う底知れぬ景色をぼんやりと眺める……三年、ああそうだった……俺が地上に引き戻されてから三年も経ってしまったのだったか、ここへ帰る為に色々な事に必死になり過ぎてすっかり忘れていた。


「……はい、シューゴ」


「ん? ああ、ありがとう」


 ハッとして横を向くとイサナが温かな湯気を上げるマグカップを二つ手に持っていた、その内の一つを受け取り何度か息を吹きかけるが……俺が飲めるようになるにはまだかかりそうだ。


「そういやここへ降りる時にチラリと見えたけど……アレ、かなり不格好だな」


「あはは! 仕方ないよ、殆ど急ごしらえだもん。それでもちゃんと繋がって良かったね」


「だな……いや、ホントに良かった」


 『アレ』とはこの観測所の屋上に設置された一台の大型通信機の事だ、あれの製造に成功した事がそのまま今に繋がったと言っても過言ではない。


「耐久性に関しては保証できるが……デザインは専門外でな、エイトは警戒してなかったか?」


「大丈夫だよ、シューゴとお話出来るものだって分かってからは気にもしてないみたいだし」


「なら良かった、一応予備の部品とかマニュアルなんかも持ってきたが……俺でもなんでそんな構造にしたのか分からないところがあるんだよな」


「あはは! なにそれ、シューゴが考えたのに?」


「いやそれがマジなんだって、マジでこう……勘でやったらできた、みたいな?」


 ケラケラと笑うイサナに顔をしかめて見せながら飲み物に口をつける。俺の好きな甘い香りを漂わせる紅茶だ、カプセルの中に新たに持って来たものもあるが……残しておいてくれたようだ。


「そっかそっか……お疲れ様だったね、シューゴの指たちー」


 自分のカップを近くのテーブルに置き、イサナの手が俺の手を包み込む……微笑ましいが、何とも気恥ずかしくて顔を逸らしてしまう。

 ──俺とドローンが地上に引き上げられた事によりこのマントル海域の情報を得るという点では十分すぎる程だった、最初はこれを公表して注意を促し認識をもってもらえれば目的は達成出来ると……そう思っていた、しかしその目論見は脆くも崩れ去る事になる。

 一言で言えば俺達は人間の懐疑心を甘く見ていたのだ。俺達の公表した情報は一瞬で広まり、興味を引いたのは間違い無いが……まるで都市伝説のような扱いを受けたのだ、ネットのオカルトページでは祭りのような議論が行われニュースでは真っ赤な嘘や勘違いだと否定された……人が円形の情報を見ても自らの中にある三角形の枠の中に押し入れようとするものだという事をすっかり忘れていたのだ。

 これでは意味が無いと悟った俺達が次に求めたのは……一切の否定のしようが無いインパクトの強い真実を見せつける事だった、もちろんそんな事は理想論であり通常なかなかあるものではない……だが幸運にも俺達の状況は通常ではない。

 二つ目の海、そして巨大深海魚……この二つを見せつければ後から反論は湧いてこようが初見のインパクトは相当の筈だと信じた俺達が次に提案した作戦は、この海と地上を電子的に繋ぐ事だった……しかしそれは用意では無い事はとっくに分かっている、メッセージなどの電子情報は転移地点で大きなダメージを受けて大半が破壊される、これでは繋ぐなど夢のまた夢……しかし俺には一つだけ希望があった、かなり乱暴な希望ではあるが。

 トリトンスーツにも使われているレドの皮や鱗は転移地点で発生するダメージを受けない……それだけを頼りにした単純な作戦だ、まずは人を送るよりもコストの安い小さなメッセージカプセルをイサナの元に射出しあの遺跡の底で見たレドの死体……あれからドローンを用いて皮や鱗を剥いでもらう、それらを詰めたコンテナを新たに製作した周防研究所の捕獲機で引き上げ、加工が終わった皮を地上でひたすら通信機のアンテナや回線コードに巻き付ける……ただそれだけだ、地味も地味だし長いし少しの油断も許されないし……あの時の事はもう思い出したくもない、ちなみに捕獲機にコンテナを取り付けたのはエイトだと後から聞かされ青海研究所の皆で驚いたのはいい思い出だ。


「あ……そういえばシューゴ、肩見せて?」


「肩?……ああそう言う事か、ほれ」


 イサナのマグカップの隣に俺のカップも置き、椅子に座りながら服をずらして肩を見せる……あの時、地上に引き上げられた際にトリトンスーツが損傷していたせいで時間のダメージを受けてしまった部分だ、すぐに処置したお陰で酷くなる事も無く……まぁ縫合の影響か少し皮が張るというか突っ張る感じはするが、それだけだし激しい動きをしたところで何の問題も無い。


「……んっ」


「うわっ!……い、イサナさん?」


 肩の傷痕に生暖かい温度と柔らかい感触が走る……押し当てられたイサナの唇の感触に思わず背筋がムズムズとしてしまう。


「……痛かった?」


「いや、痛みは無いよ。手術した直後は熱出したり色々あったけどな、今は万全も万全さ」


「そっか……ごめんね、その場にいられなくて」


 イサナの両手が首筋を通って俺の胸元にだらりと垂れ下がる、たった一言二言の言葉で人はこんなにも心が温まるのかと思わずにはいられない。


「イサナは悪くないさ、あの時油断した俺が悪いんだから」


 肩の傷は誰が悪いでも無くワイヤーを押さえきれなかった俺の責任だ。確かに痛みを伴いはしたが、地上で過ごしている間にあの時間は夢だったんじゃないかという思いが掠めた時にこの傷を見て間違いなく現実だと自分に言い聞かせるいい手段になっていた。

 それでも何か言いたげなイサナを見つめていると更に愛しさが膨らみ……再びゆっくりと顔を近付けていくと不意に胸元で不躾な電子音が鳴り響いた、イサナの手がするりと俺の服の内ポケットに入り込み……取り出されたマグフォンには『青海研究所』と表示されていた、屋上の通信機は問題無く稼働しているらしい。


『やっほー!……あれ、もしかしてお取込み中だった?』


 画面に表示されたのは満面の帆吊の笑顔、しかしそれもすぐに悪戯な色に変わり後ろから抱き着いたままのイサナと俺の顔を交互に見比べている。


「いや、別に……それより、何か緊急の用事ですか? 定期連絡の時間はまだですよね?」


『用事って程でもないけど一応確認の為にねー、今はまだその専用のマグフォンでしか連絡出来ないから勝手がイマイチ掴めなくてさー』


「確かになんていうか……最近のものとは思えないくらいゴツいですよね、このマグフォン。やっぱり衛星電話みたいにまだ小型化は難しいんですかね?」


『いやぁ……これは多分、いや間違いなく恵ちゃんの趣味だねきっとー……後で文句言ってやろ』


「あはは……まぁ俺は結構こういうのも好きですけどね、軍隊っぽくてカッコよくないですか?」


 小さいのは確かに収納や様々な点で利便性に長けているが、今手にしているマグフォンのように多少高い所から落としても傷一つつかず水中でも使える……みたいな耐久性に優れたものもロマンがあって悪くない、というか帆吊側はともかくこっちは殆ど海なのだから海中での使用を想定しているのかもしれないと思えばこちらの方がいい気がしてきた。


『何してるんですか! 修吾に連絡するなら私にも教えてくださいよ!』


 画面の奥から聞こえる悲鳴のような大声に俺と帆吊が思わず苦笑し、イサナは驚いたのか体がピクリと跳ねた……俺に触れる手にも少し力が入っている。


『修吾! 今回は体調を崩しませんでしたか? 何か不調は起きませんでしたか?』


「大丈夫だよラブ、ラブが色々調整してくれたお陰で見ての通り今回は無事に着けたよ」


『それなら良かったです……って何修吾に抱きついてるんですかイサナさん!』


 安心したと思えば背後のイサナに気付いたのか再び悲鳴を上げる……最初から感情豊かではあったが、最近はさらに拍車がかかっている気がする。


「……ねぇシューゴ、ヒトデが喋ってるよ……最近向こうにはああいう玩具があるの?」


『ウミウシです! 誰がヒトデですか! 久しぶりとはいえ失礼じゃないですか!?』


「……久しぶり?」


 ぷりぷりと怒っているラブはひとまず置いておきイサナにラブの事を説明する、討論会での打ち合わせの際は人型だったので分からないのも無理はない。


「あの時の……? ふぅん、なんだかトコロテンみたいだね」


『もっと可愛い表現は無いんですか!……いいえ、それよりも! 貴方が修吾の事を好いているのは知っていますが、少しベタベタしすぎではありませんか!? 私だって修吾のパートナーなんですよ!』


「……へぇ?」


 背後からのイサナの声に思わず顔をしかめる、そういえばあの問題に関しては明確な答えを出していなかったのだったか……助け舟を求めて帆吊の方へ視線を送るがあのいやらしい笑みでは助けてはくれないだろう。


「そうなのシューゴ? 僕の他にもシューゴにはパートナーがいるんだ?」


「いやっ! 俺はその、ちゃんとイサナがいるって説明したんだがな……!?」


『少なくとも最初にパートナーになったのは私です! ですから……』


 ラブが最後まで言い終わらない内にイサナの指が素早く通話を切りマグフォンの電源を落とした、初めてみる機種の筈なのに器用なやつだと思わず拍手したくなる。


「……最初のパートナー……か」


「いやまぁその、なんだ? 最初は俺も殆ど強制的に連れて来られて右も左も分からなかったからさ? 色々と教えてくれるラブが頼りだったってだけで、イサナの考えてるパートナーとはまた違う意味でな?」


 背後のイサナの方を向く事が出来ず壁に向かって言い訳を並べる俺の姿はさぞや滑稽な事だろう、そんな事は俺だって分かっている……が、それでイサナが機嫌を直してくれるなら安いものだ。


「……て?」


「え……? 悪い、今なんて……?」


 小さく呟かれた言葉が聞き取れず体ごと振り向くと顔を両手で掴まれた、突然の事で何が起こっているか分からず固まってしまう。


「舌、出して?」


「は……? ほ、ほうは?」


 脳が理解する前にイサナの指示が飛び反射的に半開きの口から舌をだらりと垂らす……すると俺の舌を飲み込むようにイサナの口が舌を包み込み、代わりにイサナの舌が口の中に入り込んできたではないか!


「っ……! っ……!?」


こういう時は鼻で息をするんだったか?……などと訳の分からない事を考えている間にもイサナの舌が口の中で、そして喉にも届きそうな程にのたうち回り、やがてゆっくりと引き抜かれたイサナの舌には最早どちらのものか分からない唾液が艶めかしく照明の光を反射している。


「シューゴは僕のだから、誰にも渡さないから……」


「……おう」


 息を切らしながら小さく返事をしてそっとと抱き寄せると今度は優しく唇を重ねる。

 深海の更に底、時間の流れからすらも外れた未開の海で漂う俺達の時は時計の針よりもゆっくりと進む……これからの事はこれから考えよう、今はただ……脳髄を蕩けるようなお互いの音にだけ耳を傾けた──


「……まぁなんだ、その。元気そうで何よりだよ、エイト」


 すっかり塩辛くなった口元を拭い、ぐっしょりと濡れた髪をかき上げながら顔を上に向けるとすっかり見慣れた我らが友……エイトが細かく鳴き声を上げながらこちらを見つめていた。普段よりもテンションが上がっているのかエイトの周りには既に数本の触手が待ちきれないとばかりに踊っている、それはいいのだが……いつも海面から飛び出すように現れるので、俺達は毎回水浸しになってしまう事だけはどうにかならないものか。


「あはは、これもなんだか久しぶりだね」


「だな……タオルか何か取りに……行けるわけ無いよなぁ」


 数歩と歩かない内に俺達は揃ってエイトの触手に絡めとられ、宙に持ち上げられる。俺の形を確かめるように顔にまで触手が絡みつき、当の本人は嬉しそうに喉を鳴らしている……少し間が空いたとはいえ最初の頃に感じていたエイトへの恐怖心はもはや微塵も無く、どちらかと言えば喜びのあまり舐め回してくる犬のような……。


「……あっ」


「どうしたの、シューゴ?」


「いや、今回は秘密兵器を持って来たのを思い出してな。エイト、掴んだままでいいから俺をあそこに降ろしてくれないか?」


 エイトに呼びかけ、舌を指差す……が、以前にも見たように首を振って拒絶されてしまう。


「嫌じゃないの、俺は掴んだままでいいから……な?」


 掴んだままで、とアピールする為に触手を自らの体に押し付けながら話しかけると首を傾げながら俺の声を聞いていたエイトがゆっくりと指差した先……乗って来たカプセルの近くへと降ろしてくれた。


「いい子だエイト、ええと……確かあれはここに……あった!」


 エイトの触手を腰に巻いたままという何とも奇妙な恰好でカプセルの収納を漁り、取り出したのはマグフォンよりも一回りも二回りも小さい小型の機械……見せつけるように掲げるが、イサナもエイトも揃って首を傾げている。


「それが……秘密兵器?」


「ああ! これは『ワンニャン翻訳機』とかいう、犬とか猫の言葉を翻訳できるものらしいぞ。少し前に出かけた時に寄った玩具屋で買ってみたんだ」


 おっとイサナの表情を見るに半信半疑と言った様子だが、これを買ったのは世界的にも有名な玩具屋……もちろん完璧にとはいかずとも、より深い意思疎通のヒントぐらいは得られると俺は確信している。


「ふふん、見とけよー? エイト、ちょっとこっちにおいで?」


 手招きをすると考えているのか少し動きを止めたエイトがゆっくりと顔をこちらへと近づけた、竜のように長く伸びた口先が手の届くところまで近付き、撫でてやると四つの目がゆっくりと瞬きをした……ここへ来る直前まで食事をしていたのだろうか、吐息が少しだけ鉄臭い。

 更に撫で続けていると四つの目が全て閉じ、甘えるような音色で喉を鳴らし始めたではないか。これ幸いと翻訳機をエイトへと近づけると……何かを受信したかのような小さな電子音が機械から鳴り響いた。


「よしきた! ほら見てみろイサナ! これでエイトの言葉を少しは──」


『一緒に星を見に行こう!』


「……そもそもここは夜にならんだろうがっ!」


「ぷっ、あはははは!」


 画面に表示された何のヒントにもならない一文を前にあらんかぎりの声でツッコむと、とうとう耐え切れなくなったのかイサナが声を上げて笑い出した……突然声を上げた俺達にビックリしたのか当のエイトは目を見開いて俺とイサナを交互に見つめている。


「ほら見てくれよエイト、まぁやっぱ所詮玩具は玩具かー……って、あ!」


 見ても分かる筈が無いとは思っていたがふざけてエイトに向けて翻訳機を掲げる……すると次の瞬間にはエイトの口から長い舌が伸びて腕ごと絡めとられ、器用に翻訳機だけを食べられてしまった。


「……あーあ、そりゃエイトに機械を見せたらそうなるって」


「はぁ……まぁいいや、面白かったし」


 ため息をつき、ゴロンと触手の上に寝転がる……どんな姿勢をしていてもエイトが支えてくれているのでまるで空中全てがベッドになったかのようだ。




「……なぁイサナ」


「なーに?」


「……本当に良かったのか?」


 しばらくまったりとした沈黙が続き……それを先に破ったのは俺だった。姿勢を変えたイサナは静かに俺を見つめ……ふと口元に笑みを浮かべ、頷く。

 ──彼は、天ヶ瀬イサナは地上へ帰還させようとする研究所からの申し出の全てを拒否した。住居の手配や様々な手続き、あらゆるサポートの申し出に彼は一度たりとも首を縦には振らず……イサナが口にした願いはたった一つだけ、『今後もこの観測所に住ませて欲しい』というものだった。

 研究にも協力するというので研究所側としては断る理由も無く、彼は今もこうしてマントル海域観測所に住み続けている。


「いいの、こうしてシューゴもこっちに来てくれたしね。シューゴこそ、いいの? 気軽に行き来出来る場所じゃないんでしょ、ここ?」


「……いいんだ」


 悪戯っぽい笑みを浮かべるイサナ、そんな彼の伸ばした手を握り返し……指を絡める。


「ここにはイサナがいるからな」


「えへへ……うん!」


 雄大で、幻想的……そして同時にこの海が酷く恐ろしいものである事も忘れてはいけない。

 ただ……それら全てを理解した上で俺の気持ちは昂っていた、この海が次は一体どんな表情を見せてくれるのか……どんな変化が待っているのか、今はそれが楽しみで仕方ない。

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