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果たしてギャル系ヒロインとはアゲマンなりしや? ‐1‐

 気が付けば、ギャルいJKがメインヒロインのラブコメ漫画をよく見かけるようになった。

 ジメリとした荒野、その暗夜の只中、TENGAを握りしめ唯一人立ち尽くす神亡き巡礼者な彼らにとって、ギャル系ラブコメとは一握の望みであり、守護天使といっても過言ではない。


 後世の歴史家も、四大天使であるミカエル、ガブリエル、ラファエル、ウリエルに加え、ギャルリエルが、美少女戦隊ものの追加キャラみたいに加えられることを、妥当と評価するだろう。

 俺、バチカンに殺されるかもしんない。


 でも、俺個人としては、ギャルというシニフィアンに良い印象が無いんだよな。

 だって、俺が物心ついてた頃のギャルといったら、コギャルとかゴングロとかヤマンバギャルで、厚底ブーツにルーズソックス、シャネルのバッグに、ストラップやプリクラでゴチャゴチャのPHSをひねもす弄り、サロンで焼いた肌に変な化粧をして、ブリーチした髪で都心を練り歩く。

 とんでもねーのが魔都トウキョウに現れたと思ったのも束の間、今度は汚ギャルとかいう、風呂に入らなければ着替えもしないような謎の上位者が匂い立ち、オマケにギャル男(センターGUY?)なんてのも現れた。世はまさに、大ギャル族時代。


 90年代っつったら、ノストラダムスで、V系で、チーマーで、エヴァで、バブル崩壊で、就職氷河期で、肩叩きで、ガンダムがヒゲで、修学旅行で東京の地下鉄乗ったら、腰帯に般若の仮面を飾り付けた極道の女っぽいのがいて、雪印とかがやらかして、ブルセラにノーパンしゃぶしゃぶだったワケだけど、確かにギャルの恰好はマッドマックスのエキストラで紛れ込ませても「違和感そんなにねえ」ってぐらいに世紀末だった。


 人生の先輩にこういう言い方もナンだけど、あのカッコ、マジでなんだったの?

 イミフすぎる。


 青幻舎の「日本のファッション 明治・大正・昭和・平成」を見てみたら、00年代後半あたりからフェミニン系ファッションが流行りはじめたらしく、それって俺たちが成人ちょい前くらいからのモードであって、「萌え」とかも含めて「カワイイ」に重点がおかれ、ギャルという様式を目の当たりにした若輩者にも、それなりの反動があったんだじゃないかと邪推してしまう。


 ラブコメ漫画のギャルは、さすがにその辺をスポイルさせていて、派手さはありながらも健康的で、冴えない男をやんわりリードする歯切れの良い強引さとフランクさ、前向きで拗ね者の心を解きほぐすコミュニケーションの能力の高さ、青春時代を大事にしている様などが、概ね共通した特徴のように思う。

 「その着せ替え人形は恋をする」の喜多川海夢も「やんちゃギャルの安城さん」の安城アンナも、コンプレックスを抱えた主人公を立て、自分が自分を信じるべきという「自律」を促す。

 ひと昔前、苦境に喘いだ各出版社が味を占めて濫立させたラノベレーベル経由のラブコメは、どっちかといえば「我が強い」ヒロインが多かった印象があるが、そこから今までの変遷を鑑みるに、男の自尊心の喪失の度合いが高まっているのかもしれない。


 だとすれば、世の男どもは本能的にアゲマンを求めていて、それがギャル系ラブコメとして具現化しているのであれば、やっぱ世相の暗さは深く濃い。

 けれども嘆くことなかれ。

 世の中が暗澹たればたるほど、ギャルは一層、赫奕と輝くのだから。

 何も問題ない(問題しかない)。

 どうでもいいけど、「その着せ替え人形は恋をする」の主人公、五条新菜ごじょーくんって、ひな人形づくりに没頭し、将来は人形職人として生きていくことを決めている時点で、昨今のラブコメ主人公特有の陰気臭さや拗ね者臭さがどうも感じられない。


 というか、ひな人形職人とかシブいし、普段着も作務衣で、進路もキチっと決めていて人間性カッコよくね? と感じてしまう。なんかペルソナ5に出てきそうで、喜多川祐介と唐草模様の幾何学的美点について語りあってそう。

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