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「スーサイドスクワッド”極”悪党、集結」を見た。

 本当にひと昔前のハリウッド映画という感じ。


 エログロナンセンス、プロパガンダ、ガバガバシナリオ、民主主義最高、血しぶきと薬きょうが飛び出て、なんかゴタゴタしてたらハッピーエンド、そしてクレジット後に、続編を匂わせる驚きの展開――うん、やっぱステレオなハリウッド映画だわ。


 スーサイドスクワッドって、要は懲罰部隊というか、服役している凶悪犯を超法規的に徴用するという、民主主義も人道主義もへったくれもない方法でかき集められた吹き溜まりだ。

 当然、人間としても扱われていない。オペレーターたちが、彼らがいつ死ぬかで賭博やってるとか、もう不良社会人の集まりじゃんコレ。


 本編開幕10分足らずで部隊の半数が「独裁国の兵隊」に殺されまくり、最終的にはやっぱりメーンを張るハーレー・クィンと、バットマンの宿敵らしいラットキャッチャー2世(低血圧っぷりが可愛い)と、黒人枠のカッコいいコンバットギアを纏うブラッドスポートしか残らない、ボトムズ並みの生存率だ。


 でも、コテコテのハリウッド映画のわりに、なんかシナリオが込み入りすぎている。

 南米にある、宇宙生物の研究をしていたナチスの研究所を破壊するためにスーサイドスクワッドを組織する。

 悪い冗談交じりに大半の仲間を失いながらも南米にたどり着いたら、独裁国家の反政府組織のリーダーと手を組む。(しかも反政府組織を勘違いで皆殺しにしてしまう)

 捕まったハーレークィンは独裁国家の王様とロマンス。

 時系列が前後しまくる。

 なんやかんや、宇宙生物の研究はアメリカが黒幕で、しかも非人道実験をしまくっている――ってな具合がずっと続く。

 130分でゴタゴタした小難しいシナリオを描き切るより、90分くらいでまとめても良かったように思う。

 前作の方がまだ分かりやすかった。


 スーサイドスクワッドは前作も見たけど、この手の作品にありがちな、悪役だったハズの連中が「相対的に、正義の味方側、道徳的になってしまう」という点(ジャイアン症候群)も健在で、やっぱり悪党というよりは問題児にスポイルしてしまっている。

 コレは致し方ない話で、じゃあメンバー全員がガチのサイコパス揃いで軍隊やったら、シナリオなんて進まないどころか、最悪世界を滅ぼしかねないw

 初代ドラッグオンザドラグーンを超える暗黒シナリオを目指すならアリだろうけど、もうソレ商業エンタメとしては成立しないだろ、って話で。

 それに、この作品ではやたら「子」にフォーカスをしていた。この点は見逃せない。

 アメリカでは、やっと高齢者よりも若者の人口が増えてきたし、あの国は犯罪者だって多い。

 いわゆる毒親に育てられてロクデナシになったりアダルトチルドレンにもなれば、避妊もしくじって毒親にもなったりもする。

 無能もいれば、才覚があった人もいたろう。

 けれど、一度罪を犯せば、自分がどんな人間だろうが誰も許しはしない。ましてや尊敬の念だって持たない。

 檻から出られたと思ったら、更に広大で理不尽な社会の檻が待っている。

 この作品は「ロクデナシだってヒーローになりたいし、なりたかった」、そんな慚愧の念を表したように思う。

 カッチリとした名作かといわれれば微妙、でも個人的に惹きつけられたのは、ハンパ者のマトモな部分、マトモであろうとする部分との相克があったからじゃないか。

 日本には、荒魂、和魂という考え方があるが、そういう面では日本人の方が親和性が高い作品なのかもしれない。


 つっても、善悪に対する相克がある描写があんまりないから、唐突感は否めないけどな! 


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