らくらくスマホで3年かかってメールとLINEしか使えない母親にiPadを渡したら、3ヶ月で◯◯◯ことを覚えた件
昨日、ちょっとした出来事があったので、記してみようと思う。
昨年末、実家の母親が「家にこもってばかりでストレス溜まるし、テレビもコロナばっかりでうんざり」とLINEで愚痴っていたので、メルカリで中古のiPad miniを買ってプレゼントしてみた。
アマゾンプライムビデオで、母が好きな韓国ドラマや洋画でも見たら楽しいんじゃないかと思ったのだ。
母はものすごい機械音痴なので、ホーム画面1ページ目は「メール」「LINE」「アマプラ」、そして一応「Google(Safari)」、これだけにし、使わなそうなアプリは全て削除。
本当は帰省して使い方を教えたかったが自粛したので、こちらでアカウント設定も全部済ませて実家に送り、テレビ電話で使い方を教えた。
最初はホームボタンと電源ボタンの操作にも手惑い、「こんなのいらないよ~」と乗り気ではなかったのだが、韓国ドラマが山ほど見れるアマプラに興味を示すと、「画面が綺麗ね〜」などと段々心を開いてきた。
そこで、Googleについても「調べたい言葉を入力すれば調べられるよ」と一通り教えたのだが、「アマプラを覚えることで精一杯!」と言われてしまい、道半ばで断念した。
しかし、アマプラがあれば今後暇つぶしには事足らないだろうと思い、とりあえずの目的は果たせたと、満足したのだった。
その母から昨日、こんなLINEが来た。
「持病に悩む友達に、Googleで病状と対策を調べて、教えてあげた!」
その一文を目にした自分は、感動で打ち震えた。
なんと、あの機械音痴の母親が、「ググる」というIT社会の奥義を手に入れたのだ!
同じことを妹にも報告したようで、妹も「奇跡だ!」と仰天したそうだ。
例えるならばまるで、「スラムダンク」で桜木花道が普通のジャンプシュートを決めた時の、神奈川県勢の驚き具合とでも言おうか。
海南大付属の牧に、「そりゃ驚くぜ、仙道家の奴なら誰だってな」と言われた気がした。
それぐらいの衝撃だったのだ。
(余談だが、自分のなろうペンネームの「仙道」はスラムダンクの仙道彰から拝借した)
それもそのはず、ウチの母はスマホを持って3年も経つというのに、「メール」と「LINE」しか使えない。
しかもメールを使い始めた時なんて、毎回毎回「題名」の所に本文を打ってきて、文字数制限でいつも途中でぶつ切れ。
それでいつも「メールは文字数が少なくて不便!」と勝手に憤っていて、「題名」と「本文」という概念を理解するまでどれだけかかったことか......。
母のスマホでも当然ネットに繋げるが、今まで自分でググるということはせず(できず)、わからないことがあれば他人に聞く、これが当たり前だった。
自分にも当然聞いてくるのでその度に、「スマホで自分で調べたら?」と返すのだが、「やり方がよくわからない」の一点張り。
それが、iPadを渡して3ヶ月で「ググる」ことを覚えた、これには本当に驚いた。
「3ヶ月とか逆に長すぎじゃない?」と思われるかもしれないが、自分の母は「変な操作をして壊したらいけない!」という恐怖感がかなりあって、今回もそれが邪魔していたのだと思う。
なぜググれるようになったかと言うと、アマプラがある程度使えるようになったことで自信がついて、その勢いでGoogleに文字を入れて確定を押してみたら青い文字がたくさん出てきて、それを押してみたらページに飛べた!ということだった。
そろそろ高齢者の域に足を突っ込みつつある母親が、まるで未知の世界を知った子供のように喜ぶことに、自分も嬉しくなった。
同時にこの出来事によって、自分の中のある認識が誤りだったのではと考え始めた。
今まで自分は、母が機械音痴だからスマホをあまり扱えないんだと決めつけていた。
確かに母は機械が得意ではないが、それだけが理由ではなく、
使っている端末にも原因があるのでは、と思ったのだ。
母親が使っているのはとある大手キャリアの「らくらくスマホ」などと呼ばれているタイプのスマホだ。
これを読んでくださっている方の中でもし、らくらくスマホタイプのものを愛用されている方がいたら非常に申し訳ないのだが、自分にはあのスマホはちっとも「らくらく」ではなく、正直使いづらくてしょうがなかった。
まず、ホーム画面がごちゃごちゃして見づらいし、ちょっとした設定を変えるにもメニューが入り組んでいてわかりづらい。
iPhoneのRetinaディスプレイに慣れていると、画面のドットの荒さがどうにも気になる。
セキュリティアプリが沢山入っているのに迷惑SMSは普通に受信するので、その度に母に「どうして迷惑メールが来るのか」と聞かれる。
そしてこの端末が5万円ほどしたらしいのだが、5万円もあれば自分は迷いなく中古iPhoneを選ぶ。
(2万円以下の中古iPhoneを使い、キャリアでなくMVNO(格安スマホ)を使っている自分からすると、もったいなくてしょうがない)
購入に立ち会ってないので想像だが、「機械が苦手だから、らくらくスマホ」にしたんだと思う。
が、実際は思ったよりもらくらくではなく、対してiPhoneやiPadは「説明書なしで使えるわかりやすさ」をモットーにしていて、現に機械が苦手な母でもすんなり使えるようになり、今後はGoogle検索だけはなく地図やヘルスケアなど他のアプリも触っていきたいとさえ言っている。
この、らくらくスマホが「あんまりらくらくじゃない」件について調べると、「スマホ教室に通わせて、有料のサポートサービスに加入させるのが目的」だとか、「頑張って使えるようになったから次も同じスマホにしよう!と思わせて囲い込みをするのが目的」などと諸説書かれていた。
数年前は「PCデポ」という会社が、主に高齢者相手にえげつないサポートサービスをしていたことが問題になった。
IT革命と言われてからそろそろ四半世紀、日本はネットによって激変する人々の価値観に対応することよりも、企業ブランドへの信頼などを盾にして、値段ほどの価値が本当にあるのかよくわからないもので稼ごうとし、人々が本当に使いたいと思えるような製品やサービスを作ってきたのだろうかと、ちょっと疑問に思ってしまった。
だからこそ、「スマホは難しいもの」「ネットはわからない、危険」などと、初期に比べれば遥かに使いやすく安価になったIT技術に対して、過剰な恐怖意識を持つ人が未だにいるのかもしれない、自分の母のように。
日本にも魅力的な製品やサービスはもちろんあるが、まだまだ数が少ないと感じる。
ことIT関連に関しては、アメリカのもの、海外製のものがとても多い。
残念ながら使いやすいし、便利だからだ。
今後は日本にも、積極的に使いたい、利用したいと思えるようなものがもっと増えていってほしいと、そう願っている。