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5. 二天一式

 春風に、揺れるバルーン、街照らす。


 翌日、歌舞伎座を出た直人達は、みなもの勧めで洋食屋へ向かう。

 パスタが安く食べられると、雑誌で紹介されていたらしい。


 明治からあるというその店は煉瓦造りの洒落た外観で、内装はモダンな雰囲気だ。


 席に着いた直人は早速メニュー表を広げる。


「これは……ア・ラ・カルトメニュー、でいいのか?」

「たぶん」

「どういう意味だ?」

「……一品料理ってことじゃないかしら」

「左様でございます」


 直人達のテーブルに水を持ってきた女給が答える。


「本来コース料理の一部だった料理を、個別に選んで注文することをア・ラ・カルトと言います」

「ふーん。じゃあこのオムライスやロールキャベツも?」

「左様です」

「ひたすらメインを食い続けられるってわけか……」

「ご注文はお決まりでしょうか」


 女給の問いに対する答えは決まっていた。

 直人達は最近話題だという『スパゲッティナポリタン』を注文する。


「パスタをこの値段で提供するのはなかなか凄いことだと思うのよね」


 みなもの発言に直人は頷く。良い値段がするといえばするが、高級というほどではない。

 そもそも直人はパスタというものを食べるのが初めてだった。


 むかし絵本で見た時は、イタリー料理のコースの一部という扱いだったので、高級なイメージがある。


 十五分も経たないうちに、三人分のナポリタンが運ばれてくる。


 ソースは赤く、具はハムとマッシュルームのみ。パセリのみじん切りと粉チーズがかかっている。

 このシンプルさがリーズナブルな価格の理由か。


 さっそく口に運ぶと、食感はプヨプヨしていた。


「少し甘いな」


 直人は味を口に出す。


「値段もさることながら、提供までの速度が異様だわ。パスタってそんなに早く茹で上がるものなのかしら」

「他にもナポリタン食べてるお客さんいるのにね」


 茜の言う通り、話題になっている影響か客の過半がスパゲッティナポリタンを食べていた。


「ナポリタンっていうのは、ナポリ風ってことなのか?」

「そうだと思う。雑誌にはそれについては書かれてなかったけど」


 雑誌のそのページは電車の中で読んだ。


 高級食であるパスタを大衆化させようとするシェフの発想が秀逸だ。

 筆者の感覚ではイタリア料理は日本人の舌に合う。

 パスタ、ピザの原料である小麦やリゾットの原料である米は日本でも自給可能であるため、いずれ洋食の中でイタリアンはポピュラーなジャンルとなるだろう。

 と、筆者が力説していた。


 食後にカップッチーノを飲んだ三人は店を後にし、百貨店柏屋銀座へと向かった。


 柏屋銀座は昔の名前を柏屋呉服店といい、みなも曰く衣服の品揃えは帝都一らしい。


 みなもと茜のリクエストに従い、直人は二人の服を選ぶ。


 と言ってもファッションに関する知識が皆無なので主観かつ割と適当だ。動きやすければいいんじゃなかろうか。


「茜もミニスカートでいいんじゃないか?」


 スカートを試着して出てきた茜に直人が言うと、茜が顔を赤らめて首を振った。


「そ、それは恥ずかしいよ……」

「いや普段の制服もミニスカートだろ」

「制服はいいの! 決まりだから」


 茜のこだわりがよくわからない。みなもは平然とミニスカートを履いているし、夏には涼しくて良いと思うが。


「……直人君はミニスカートの方がいいと思う?」

「まぁな」


 ビジュアル的にも、茜のしなやかな脚が見えるのは良いことだ。


「直人君が言うなら、着てみようかなぁ。あ、でもお父さんが怒るなぁ……」


 結局茜はふんわりしたロングスカートに決めたようで、今度はそれに合う上衣を探しに行く。これまたあれこれ試着を繰り返すので時間がかかる。直人は一抹のめんどくささを感じていた。


「直人君これどう? 可愛いかなぁ」

「ああ。可愛い」

「え、本当?」


 直人の生返事に茜は嬉しそうに顔を輝かせる。


「そうね。私もいいと思うわ」

「そっかぁ。ちょっと袖が短いけど、これにしよう」


 茜は柔らかい生地の白い服を選んだようで、スカートと一緒にレジに持っていく。みなもも一緒に会計を済ませ、三人は買い物を終えた。


「直人。そのズボン、いいじゃない」


 新しく買ったズボンを履いて歩く直人にみなもが言う。


 直人が買ってもらったのはスラックスと呼ばれるズボンで、スーツ同様中央に折り目がついていないカジュアルよりのデザインだ。


「貴方に合うサイズがなかなか無くて大変だったけれど、足が長く見えるいいシルエットだわ」

「そもそも長いんだよ」

「外人さんみたいだよね」


 直人は自分が履いていたズボン(国民服)が入った袋の他、みなも、茜の着ていた服がそれぞれ入った袋も持っていた。


 そのため人通りの多い銀座で人とすれ違うのに少し気を使っている。そんな直人の前に立ちふさがるようにして一人の青年が足を止めた。直人もやむを得ず足を止める。


「お前が、水無瀬直人だな」


 その青年に見覚えは無い。直人としてはあいまいな返事を返すしかない。


「何か用ですか?」

「お前よりも、そちらの二人かな」


 その青年は日本人にしては背が高く、切れ長の目とやや中世的な顔立ちを持つ、いかにもモテそうな男だった。年齢は二十歳くらいだろうか。


「じゃあ二人に話しかけろよ」

「だがお前にも興味がある」


 そう言うなり、青年は歩き出し、すれ違ったまま去って行った。


「直人君知り合い?」

「全く知らん。お前らの知り合いじゃないのか?」


 直人の問いに二人は首を振る。


 じゃあ一体何者だったのだろうか。身体に軸が入ったような綺麗な歩き方。ただ者じゃない雰囲気だったような気もするが、視界に入っていた時間が短すぎてなんとも言えない。


 最後に不可解なものに出くわし、三人は休日の買い物を終えて地下鉄に乗り込んだ。




 その夜。直人が寝付いてしばらくした頃、魅乗りの気配に直人は跳び起きた。


 間違いない。そう遠くない場所で魅乗りが活動している。


 直人は着替えると寮を出て校舎の方へと向かう。京香を呼びに行くためだ。


 二階の宿直室は明かりがついている。まだ教官はまだ起きているらしい。


 階段を一段飛ばしで登った直人は、宿直室のドアを勢いよく開ける。


「教官!」


 丁度京香は服を着ようとしているところだった。


 直人の耳に小さな悲鳴が聞こえ、一拍置いて状況を理解する。


「失礼しました!」


 瞬時にドアを閉めた直人は胸を撫でおろす。


 ……上半身は何も着てなかったな。


 しばらくして、ドアが開き、顔を赤くした京香が出てきた。


「いきなり入ってくるな! 馬鹿者がぁ!」


 やばい。これは本気で怒っている。


「なんで着替えてるんですか!」

「シャワーを浴びた後だったんだ!」

「あ、そういうことっすか」

「退学にしてやろうか!」

「事故ですって、事故!」

「ま、まぁ貴様に見られて動揺する私ではないがな。気にせずさっさと忘れることだ!」

「はい! ところで、魅乗りが現れました!」

「さっさと言え! よし。出るぞ!」


 そう言って京香は室内で軍刀を手に取り、直人の後に続く。


「……教官もスカートとか履くんですね」

「殴られに来たのか貴様は!」


 二人は揃って離陸し、魅乗りの気配を感知している直人が先導する。


「水無瀬。貴様が長機だ」

「え、俺ですか?」

「好きに飛べ。援護してやる」

「了解」


 なんつー頼もしさだ。鳴滝教官なら俺が無茶な機動をしてもついてきてくれるだろう。後方警戒も任せていい。存分に俺の腕前を発揮できる。


 西に飛ぶこと数分。月明かりに照らされた機影が見えてきた。恐らくはあれが魅乗りだろう。夜間ではあるが満月であり、なんとか戦闘は可能だろう。


「敵機発見。攻撃を開始します」

「地面が暗い。墜落に注意しろ」


 敵機二。優位高度。


 直人が太刀を抜いて降下を開始して数秒、魅乗り達は左右に展開し回避する。


 早衛では追従できない。ここは一度上空に抜ける。


 上昇に転じた直人の眼前に別の機影が一つ見えた。


「敵は三機います!」


 そう言って直人は再度降下に転じる。三機目は地表近くを低速で飛んでいる。あの状態から鋭い軌道は不可能だ。あれなら撃墜できる。


 直人の接近に魅乗りも気付いたようで、旋回を始める。その魅乗りは何やら袋のようなものを持っており、もう片手を見せつけるように掲げた。


 ……人型? いや……人か! くそっ。


 直人は攻撃を中断し、ハイ・ヨーヨーの機動に入る。


「人が、人が捕まってます!」

「人質か……こっちに戻ってこい!」


 京香に言われ、直人は止むなく進路を変更、低空の魅乗りから遠ざかるように飛ぶ。それより少し上空にいる京香に対し、二機の魅乗りが突き上げるように攻撃を仕掛けた。


「こいつ……ソロモンの魔女か!?」

「神妙にすることや。人質が惜しかったらな!」


 だが京香は大人しくはせず、斜めの旋回で敵機を振り落とすと、緩やかなシザーズで敵機との距離を保ちつつ高度を上げていく。


「水無瀬。人質を持つ魅乗りの上空に陣取れ」

「教官、援護は!」

「いらん」


 京香は更に斜めの旋回を行い、降下に転じる。そして一度大きくバレルロールを行い、危なげなく敵機とすれ違う。


「待て! 人質がどうなってもええんか!」

「一人投げ捨てますよ!」


 だが京香は止まらない。置き去りにした敵機に問いだけをくれる。


「何故だ。何故魅乗りになった! ラバ女の魔導士達!」


 もしやと思ってはいたが、こいつら、やはり先日のラバ女だったか。


「そのような問いを投げるお前が憎い!」

「なんで助けに来てくれなかったんや!」


 逆に返された問いに、京香は答えなかった。


「水無瀬。人質を持った魅乗りに同時攻撃を仕掛ける。人質の回収を優先しろ」

「了解!」

「私の隣につけ!」


 直人は可能な限りの急旋回を行い、京香の方へと近づく。


 結構な難題を言ってくれる! だが、俺と早衛なら可能だ!


 降下に入った直人はラダーを操作し京香の隣に近づく。だがやや前方に位置してしまった。これでは同時攻撃にならない……。


 魅乗りが左手で持っていた人質を投げ捨てる。


「水無瀬! そのまま行け!」


 助けて! 直人は人質の叫びが聞こえた。機体を横転させ、魅乗りに腹を見せる形で人質に接近。右手ですくうように回収する。


 一方京香は魅乗りに斬撃を仕掛ける。京香の太刀が魅乗りの縦翼の片方を吹き飛ばした。


 京香の背後を二機の魅乗りが追い、袋を持っている魅乗りはスピンを始める。


 あの袋の中にも人間が入っている可能性は高い。なんとか回収したい。



 人間を持っているため無茶な機動はできないが、とにかく接近する。


 右上を見上げれば、京香が斜めの旋回から降下に転じているのが見える。


 太刀と太刀がぶつかる音が聞こえる。だが京香も魅乗りも墜落する様子はない。京香はそのまま袋を持った魅乗りへと接近していく。


 なんとかスピンから脱した魅乗りは袋を投げ捨て、抜刀して両手で京香の斬撃を受け止めた。投げ捨てられた袋はギリギリのところで直人が回収する。


 縦翼の片方を失った魅乗りは東へと離脱を始め、残りの御佐機もそちらの方に向かって行く。一方京香は太刀を右上段に構え、片方の縦翼を失っている魅乗りへと接近していく。


 その時だった。京香の機体へ赤い光の軌跡が殺到する。咄嗟に京香は機体を捻り、回避運動を取った。


「流石はソロモンの魔女」


 新手。四機目の魅乗りの声が無線に入ってくる。


「高城! かけがえのない敵だ。宣戦布告といこう」


 そう言って新たな魅乗りは、開けた野原へと降りたった。


 これなら一方的に攻撃できる。何を考えている……!?


 驚く直人などお構いなしで、その魅乗りはこちらを見上げて話を続ける。


「降りてこい、ソロモンの魔女よ! こいつらが戦う理由が、知りたくはないか!」

「教官! 相手は魅乗りですよ!」


 直人はそう引き留めたのだが、京香はその言葉に応じ地上へと着陸する。直人は残ったもう一機の魅乗りを警戒していたのだが、その魅乗りも着陸してしまった。


 魅乗りと話し合うつもりか。そんなことは無意味だ。それを知らない教官ではあるまい。なにか考えあっての事だとは思うが……。


 判断しかねた直人は周囲に危険が無いのを確認し、自分も着陸する。

 こちらにも捕まっていた人達を逃がせるというメリットはある。


 袋から出した人質達が逃げていくのを確認しつつ、直人は太刀の柄に手をかける。


 いざとなったら白兵戦だ。


 臨戦態勢を崩さない直人と対照的に、新手の魅乗りは憑依を解いた。袴を着た女性が姿を現す。長い髪をポニーテールにまとめたその姿は女侍という表現がしっくりくる。


「お初にお目にかかる。ソロモンの。私の名は宮本朱里。またの名を夜行という」


 御佐機に憑依した俺の前で憑依を解いただと!? この女、豪胆すぎる!


 京香からの指示があればすぐにも発砲するつもりで直人は銃を太ももから抜く。しかし京香は直人に指示を出すどころか、自らも憑依を解いた。


 それを見たもう一人の魅乗りも憑依を解き、人間の姿となる。これで御佐機に憑依しているのは直人だけとなった。


 相手が魅乗りとはいえ、これでは少し馬鹿らしくなる。何より教官の後ろ姿が俺の横やりを拒否している気がする。


 直人も戦意を失い、銃を太股に戻した。


 それにしても宮本朱里。最近どこかで見たような聞いたような……。


 直人の疑問に、京香が答えた。


「馬鹿な……二天一式だと!?」

「その通りだ。ソロモンの」

「先ほどの御佐機の色……魅乗りになったのですか、大尉殿!」

「うむ。今は元ラバ女の三人に飛び方を教えている」

「ラバ女も……何故……そもそも、全滅したはずでは……」

「言ってやれ、高城」


 そう言われ、傍らの女性が一歩前に進み出た。


「名乗るのは初めてやな。鳴滝中尉。あたしは高城ゆらり。あんたの後輩や」

「……高城。ラバ女は、本当はどうなった?」

「海軍の発表は間違うてへん。ラバ女は全滅した。ただ、生き残りがおったのも確かで、そこが問題やった」

「私が去った後、ラバ女は戦闘単位から外されたと聞いた。何故、全滅した」

「あたしらは皆新米やった。でも主な任務は取材を受けることだから、問題はないと言われよった。でも、あない急速な撤退は、お荷物部隊の存在を許してくれんかったんやな」

「戦わされたのか?」


 そう言われたゆらりは自虐的な笑みを浮かべる。


「奇襲を受けた。いつの間にか前線におった。あたしらは、録に戦えんかった。当たり前や。碌に訓練も受けてへんのやからな!」


 ゆらりの顔に怒りが滲む。


「それは……私達だって、多くの仲間を失った。軍人になった以上、戦友を失う覚悟もしておくべきだ!」

「あんたはええわ! 生きて帰って、二つ名まで貰えたんやからな! あたしはどうや。とっくに死んでないといけない人間になっとった!」

「……どういう意味だ」

「国のために勇敢に戦って全滅したはずの部隊の兵が帰ってきたらアカンのやとさ! あいつら、あたしらが最後まで精鋭部隊だったことにしてるんや。 そんで自分達の采配ミスを認めないために、罪状は敵前逃亡とまで言いおった!」

「それが、魅乗りになった理由か」

「はっ……、故郷に帰ったら、許嫁との縁談は破談になっとった。生き恥やとさ。でも、反乱に参加して勝利すれば、名誉を回復できると思った」


 京香は何も言わなかった。直人から見える後ろ姿も、何も語ってはいなかった。


「二度も敗残兵になったあたしらに、行き場なんて無い。あんたらの一人か二人でもラバに残って、瑞配を手に入れてあたしらを訓練してくれれば、こうはならなかったんとちゃうか!」

「それが、私を殺しに来た理由か」

「そうや! あんたの事は調べた! あたしらが戦死扱いされてる時、あんたは内地でぬくぬくと……戦ってすら、おらんかった!」


 ゆらりは一旦言葉を切る。


「同じラバ女なのに、どうしてここまで違うんや! あんたらが、あたし達を見捨てたから!」


 直人は聞いている。ラバ女にいた精鋭達が内地に戻ったのは、命令によってであると。京香においては、そもそも精神を病んでおり戦えるような状態ではなかった。


 教官達は軍人としての責務に背いてはおらず、責めるのは筋違いだ。


 だが、魅乗りになるほどに絶望に苛まれ、今や怨霊にも等しい魅乗りとなってしまった以上、理性的な考えなどできないし、しないであろう。彼女らはもう妖怪なのだ。


「帰る場所なんてない。魅乗りになったらおかしいか!」

「……では、私を斬ったら、満足できるか」

「あんたは殺す。でもそれでしまいやない。大殺界起こして、あたしらの世界にしたる! それこそが世界への復讐や」

「……貴様の話を、聞けて良かった。宮本大尉殿も、似たような境遇ですか」

「私はラバ女とは違う。故郷に凱旋した」

「ならば何故」

「生は儚し世は無情。私に勝ったら教えよう」

「大尉殿と戦えと……?」

「それとも貴公も魅乗りになって、今度こそラバ女の後輩達に指導してやっては如何か」


 その言葉を最後に、朱里とゆらりは憑依する。


 すわ戦闘か! 直人も即座に憑依し、半刻遅れて京香も憑依する。


 だが、魅乗り達は戦おうとはせず、そのまま背を向けて飛び去っていった。


 撃てば撃墜も可能だった。魅乗りと会話して見逃すのはこれが初めての経験だ。これでよかったのか……。


「水無瀬。人質は無事だったか」


 月明かりを背にその影を小さくしていく魅乗りを見送る直人に、京香が話しかける。


「はい」

「変わった点は?」

「全員、女でした」

「そうか……最近の婦女連続誘拐事件の真相かもしれんな」

「なんで女ばかり拉致るんでしょう」


 直人の問いに、京香は答えなかった。


「ああ、言い忘れていた。今夜の作戦は成功だ。よくやった」

「了解」


 それだけ会話をして、二人は離陸、神楽坂予科へ帰投する。


 直人は京香の態度に釈然としないものを感じていたが、それを問いただせる雰囲気でもなく、京香と別れた直人は寮へと戻って行った。

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