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エリザ・シュトレーリッツの御佐機講座

Bf109G-6

所属:在日ドイツ軍航空隊

魔導士:テレサ・クラウゼ

武装:MG151/20mm機関銃

発動機:DB605A (遠心式1段流体継手式無段階変速スーパーチャージャー)

速度 加速力 上昇力 横転性 旋回性 機体出力 耐久性

 4  5   4   4   2    4   3


 ドイツ空軍の精霊機と言えば、bf109でしょう。一九三七年から八年にわたり生産され、現時点では御佐機として最も量産された機体ではないでしょうか。

 設計コンセプトは、小さくて軽いに機体に強力な発動機を積み、高い空戦性能を確保して敵機の背後を取る、というものです。従って機体出力や地上戦は重視されていません。

 開発会社はBalwin fabrik de werkzeugmaschine(バルウィン工作機械工場)。この会社は史上初の精霊機であるbf108を土木作業用の重機と偽って開発・生産するために創設された半官営企業であり、開発時点で既に生産拠点が整っていたことが、bf109がドイツ空軍に採用された理由の一つだと言われています。

 その設計は非常に先進的。E型以降は高度な技術が多用されたDuisburg-Bochum Produktionsstatte(デュイスブルク・ボーフム製作所)製の発動機を積んでおり、大戦中期までは性能面で優位を誇っていました。

 本機を含めG型はbf109シリーズの決定版とも言える機体であり、大戦後期の主力となりました。機体出力向上のために機体各所に出力増強装置が取り付けられており、同時に発動機の強化も行われています。

 ただし、同時に重量が増えてしまった点はマイナスでもありました。

 Bf109は機体軽量化のため脚が独特の構造となっており、高い翼面荷重と相まって生産当初から着陸時の脚部破損が目立つ機体でした。G型投入の時期には未熟な魔導士も増加しており、この欠点は無視できないレベルになってしまいました。

 機体出力の強化を外装式に頼っている時点で本機の性能は設計限界に到達していたと言うむきもありますが、このG型が大戦後期になってなお一線級であった速度と上昇力を生かして敵の護衛機をかいくぐり、爆撃機を墜としてドイツの空を守り続けた名機であることは疑いようのない事実なのです!


京香の補足

 空軍主力精霊機の製造権を勝ち取ったbf社だったが、実はその開発チームはMe社(Magier engineeringbau)から出向してきた技術者が大半を占めており、bf109の生産が軌道に乗った三八年にはMe社によって吸収合併されている。これにより公式名称はMe109に変更された。ただし実際にはbf109とMe109の呼称は混在して使われていたようだ。

 なお、bf109の設計主任であったバルウィン技師はMe社を去っているが、これ以降のMe社技術者達の独善的な設計がbf109の後継機開発を失敗させたとの意見もある。




Bf109K-4

所属:在日ドイツ軍航空隊

魔導士:エリザ・シュトレーリッツ

武装:MG151/20mm機関銃

発動機:DB605DC(遠心式1段流体継手式無段階変速スーパーチャージャー)

速度 加速力 上昇力 横転性 旋回性 機体出力 耐久性

 5  6   6   4   2    4   3


 私の愛機の一つ、bf109のK-4です。Bf109の後継機開発の失敗が決定的となったことで開発された、bf109シリーズの最終形態です。G型の発展型に留まらないような大規模な改造を受けています。

 胴体は再設計され、機体出力増加装置が全て装甲内部に収納されました。加えて脚部を補強しつつ形状を変更し、空気抵抗を減らしています。そのうえ発動機も改良され、速度と上昇力が更に向上しました。

 ただし、大戦末期のドイツでは発動機の品質低下が発生しており、カタログスペックを発揮できない機体が存在したことも事実です。

 なお、速度・重量が増しても機体強度はそのままなので高速域で引き起こすと簡単に主翼がもげるという欠点があります。そもそもbf109の主翼は根元から取り外し可能で、翼の付け根に力が集中する構造になっているのです。そう。あの空中分解は私だけのせいではないのです!


京香の補足

 Bf109の後継機開発が失敗したことはドイツ人にとっては悲劇であっただろう。しかし、それは同時にbf109の設計がいかに優れていたかを示す証左でもある。試作機の飛行は今から十年も前であるにも関わらず、次々と登場する高出力発動機に対し常に性能向上の余地を見せ続けたことは称賛に値する。

 まだ精霊機という兵器が普及する前にこれだけの完成度の機体を作り出し、複雑な機構が使われているにも関わらずそれを大量生産してみせたドイツの技術力には感心するばかりだ。




Fw190A-8

所属:武装親衛隊

魔導士:オスカー・フックス

武装:MG151/20mm機関銃

発動機:BMW801D-2(遠心式1段2速スーパーチャージャー)

速度 加速力 上昇力 横転性 旋回性 機体出力 耐久性

 4  3   3   6   1    5   5


 元々はbf109の補助をする精霊機として開発された本機ですが、その卓抜した性能から補助機の枠に収まらず、第二の主力精霊機として大規模な量産体制がひかれました。

 開発はFlugzeugtechnik werke(航空技術会社)。元は研究機関に過ぎなかったこの会社は僅か十一人の技術者でこの傑作精霊機を完成させました。発動機はドイツの御佐機では珍しい空冷で、開発はあの名門企業Berlin Meisters Werkstatt(ベルリンマイスターズ工房)です!

 主任技師がbf109のようなサラブレットではなくあらゆる酷使に耐えるワークホースを目指したと語ったように、操縦しやすく、生産性の高い構造で整備性も高くしかも頑丈という長所を持ちます。これは余談ですが、Fw190が日独の御佐機の中でも特に直線的なフォルムをしているのは、Fw社に魂鋼装甲板を丸く成形する設備がなかったからだそうです。

 本機A-8はそのFw190シリーズでも最多の生産数を誇る、事実上の決定版です。機体出力は更に強化され、対地支援を重視したF-8の母体ともなりました。

 しかしながら、重量増加により空戦性能は低下。発動機の出力向上は上手くいかず、敵精霊機に後れを取るようになってしまったのも事実です。結果的に大戦後期には、F190Aシリーズは迎撃または地上攻撃任務に充てられるようになりました。


京香の補足

 Fw190はbf109に比べると手堅い設計というイメージがあるが、実際にはドイツ機らしい工夫と高い技術が凝らされた機体だ。特筆すべきは発動機に搭載されたコマンドゲレートと呼ばれる制御機構だろう。コマンドゲレートは魔導士が発動機の出力を調整すると、瑞配の流量や空気との混合比、プロペラピッチから過給機の切り替えまで自動でやってくれるというとんでもない代物だ。

 それ以外にも、大戦中期の主力となったA-4には水メタノール噴射装置が、大戦後期に主力となったA-8では亜酸化窒素噴射装置が装備されている。これらは多段過給機が実用化できなかったことによる苦肉の策であるが、水メタノール噴射装置の量産化にすらてこずっていた私達日本人から見れば羨ましい逸品だ。




G.55 Centauro

所属:武装親衛隊

魔導士:ルーカ・マンチーニ

武装:MG151/20mm機関銃

発動機:RA1050RC58(遠心式1段流体継手式無段階変速スーパーチャージャー)

速度 加速力 上昇力 横転性 旋回性 機体出力 耐久性

 4  4   3   4   4    5   3


 イタリア王立空軍最優秀と評される精霊機。開発はイタリア最大の企業、Firenze industria arti trattativa(フレンツェ工業ギルド商会)です。

 英米の新型精霊機とも互角に渡り合えたと言われていますが、我が国の発動機を使っているのだからまぁ当然です。ただ生産数があまりに少なすぎて、戦況にはなんら関与していません。寧ろイタリア王国降伏後にサロ共和国で運用された分の方が多いみたいです。これでも同じ発動機を積んだ他二つの精霊機よりは生産数が多いのですが……。


京香の補足

 FIAT社はその名の通り、『フィレンツェのギルド』の末裔を自称する企業だ。まぁそんな事実は無いがな。ただその実力は本物で、「陸に、海に、空に」のスローガンのもとあらゆる乗り物を生産し、イタリアの産業分野全般を掌握している。

 イタリア本国に対する経営規模があまりに大きいため、「フランスはルノーを持っているが、フィアットはイタリアを持っている」と評されるほどだ。




Me262 Schwalbe

所属:武装親衛隊

魔導士:ジェシカ・シューマッハ

武装:MK108/30mm機関銃

発動機:JuMo004B(軸流式コンプレッサー8段)

速度 加速力 上昇力 横転性 旋回性 機体出力 耐久性

 6  1   5   2   1    6   5


 ドイツ空軍が採用した史上初のジェット精霊機です! 開発はドイツの名門企業、Magier Engineeringbau(魔導技術工業)!

 一九四四年九月から実戦投入が始まり、当初は精鋭魔導士にのみ憑依が許されました。機体の先進性と魔導士の高い技量により圧倒的な戦闘能力を発揮しました。

 ただし、シュバルベには数多くの欠点が存在したのも事実です。そしてその殆どが時代を先取りしたが故に未熟であったJung und Mozart(ユング&モーツァルト)社製のジェット発動機に起因します。

 発動機推力自体不足気味ではありましたが、発動機の出力を急激に上げられない欠点があり、離陸直後や低速域での加速力は絶望的に低いものでした。そのためドッグファイトは不可能であり、直線飛行と上下の移動のみが許された空戦機動でした。また、機体を横に滑らせたり、急激な機動を行うと、コンプレッサーストールを起こし、発動機がフレームアウトする危険性がありました。発動機の寿命も極めて短く、戦闘中に停止、爆発するのは日常茶飯事でした。ただし、こうした弱点を補う為に双発とした点は英断だったと思います。

 このような機体特性から、シュバルベは速度と装甲を生かして敵御佐機の護衛網をかいくぐり、爆撃機を狙う邀撃任務が中心となりました。勿論敵精霊機に対しても優位であり、撃墜スコアを積み上げたエースが存在します。

 敵の魔導士に残された対抗策は、デリケートな離着陸中を狙うくらいです。……余談ですが、シュバルベも脚の強度が不足気味で、しかも発動機出力の調節が難しいため着陸時の故障が頻発していたそうです。

 最終的に戦局に影響を与えることはできなかったシュバルベですが、開発があと一年早ければ歴史が変わっていたと言われるほどの不滅の金字塔を打ち立てた傑作機なのです!


京香の補足

 Me262はもっと早く量産に移行できたという意見もある。量産化が遅れた理由としては以下の三つが挙げられる。

①大戦前期は既存の精霊機でも敵精霊機に対し優位であり、優勢な戦況では信頼性の高い精霊機を大量に作る事が重要で、ジェット精霊機開発のモチベーションが低かった。

②途中までランチャー装備の対地攻撃機型というジェットエンジンには明らかに不向きな用途が優先されていた。

③老舗企業Me社技術者陣の悪癖とも言えるこだわり。

 ただし、史実より早く量産化していたならば、初期不良もより深刻なものとなっていただろう。

 結局活動期間は一年に満たなかったシュバルベだが、シュトゥルムフォーゲルと呼ばれる対地支援型と五センチ機関砲を装備したパルツァーシュテーラーと呼ばれる狙撃型が存在する。悠紀羽を撃墜したのは多分この型だろう。

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