第5話
昨日更新するはずが、少し遅れましたね、ごめんなさい。…とはいっても気にする人なんていないか。
コロナウィルスが世間を騒がせておりますが、読者の皆さんは大丈夫ですか?
体調管理に気を付けながらこの作品を読んでくれますよう、お願い申し上げます。
「だぁぁぁぁぁぁあ!?聞いてはいたけどなんだこれ、キリがない!」
カランコロン、カタカタカタと骨を鳴らしながらボロ剣を振り回すスケルトンが、視界を埋め尽くすほどいる。わずかにかかったキリの向こうからくるガイコツ共を牛車と並走しながら相手にしだしてから20分が経過、涼太はたまらず叫んだ。
「リョータ~!ポーションいるー?」
「いやいらない!それよりリネアはオルトロスの方を守ってくれ!」
「はーい!」
ここは涼太が受けた依頼にあった場所、スカルロード。スケルトン(という雑兵)をはじめ、スケルトンジェネラルだかロードだかなんとかかんとかがとにかく大量に出てくる道である。商人たちは隣町のスリーラントに火急で届けなければならないものがあったらしく、危険を冒してここを通ることを決めたそう。だけどやっぱり護衛が必要だったようで、ギルドのクエストボードに依頼書を貼って護衛をしてくれる人を探していた。そこに応じたのが俺とリネアだったということ。最近になってようやく剣に慣れてきた俺と、レベル2のステータスを持って重斧を振り回すリネア。練度に偏りがあるこのパーティーではじめは内心大丈夫かと思ってたけど、リネアの強さが俺の想像以上だった。なので多少俺がへマしてもリネアが全部何とかしてくれているっていう若干人任せな考えを持ちながらこの護衛に当たっている。たまに危ない、と少し思うときが2、3回あったが、それでも牛のような見た目をしたオルトロスが引く牛車は快調に進む。…が
「…(ハァ、ハァ)……なんか霧が(ハァ、ハァ)濃くなって、(ハァ、ハァ)来てないか?」
息を切らしながらの俺のつぶやきが、牛車の反対側にいたはずのリネアの耳にも届いた。
「ねー、確かに濃くなってきたかも…普通の霧みたいだし、スカルロードは一本道だから迷う心配はないけど…なんか不安だなー」
言ってることとは裏腹にのんきな声が返ってきた。
「スカルロードは出口に近づくにつれて霧が濃くなります。この霧の濃度からして、もう少しで出口です!」
牛車に乗って御者をしている商人さんが二人の疑問に答える。
「えー、本当!?やったー!これでこのホネ地獄から抜け出せる…!」
今度は内容と違わず安堵した声が上がった。だけど俺はそれを聞き流しながら、大分濃くなった霧を──正確には霧に浮かんでいる、俺達と並走する影をじっと見つめていた。
「……リネア、ちょっとこっち来て」
「はいはーい」
牛車の上を飛び越えてリネアがこっち側に来た。すでに辺りには、今まで相手していたホネ敵はいなかった。
「なになにー?急にどうしたのー?」
「見える?アレ」
そう言って霧を指す。
「うん、見えるけど…名にあれ?骨の音はしないけど……ごめん、わかんない」
「たぶん敵だろ。骨の音がしないってことは今までの奴とは違うかもしれないけど、こっちに殺意を向けてきてるから敵だろ。なんのかはわかんないけど」
「うーん…ごめん、私リョータみたいに勘とか鋭くないからさ…」
「まあ、しょうがないだろ。……あれ、消えた」
消えたと思って前を向いたら、牛車の進行方向上数メートル先に、影の正体が立っていた。今までの敵に比べて整った装備を備えた……やっぱりホネだ。
それを認識して牛車が止まった時にはそいつは既に霧の中に隠れた。
「スケルトンアサシン…」
商人さんの、ほんの僅かに焦燥を含んだ声が聞こえた。沈黙が五秒程続き、そして。
ピシャリッ
「走ってください!」
鞭を打った商人さんがそう叫ぶのと同時に牛車は再び動き出した。たぶん、今のホネ敵から逃げることを第一に考えた判断ではないだろう。今は荷物を早急に届けなければいけないからあいつを相手している暇がない、と考えての判断だろう。
そこそこの速度を出す牛車に、スケルトンアサシンとやらが追尾している気配はしたが、それでも俺たちは走った。