意味づけしたい女たち
「小倉さんの彼女の話、Aといるとき定期的に挙がるんですよね。ほんとにうまくいってるのかな、って」と遠山は言う。
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ことの発端は、夏休み明けの研究室に遡る。
ぼくと遠山は夜まで研究室に残り、共同研究のデータを分析している。重たい分析が一段落し、ぼくは何か軽い話をしたくなる。ふと遠山と彼氏の関係について頭に浮かぶ。遠山にはイギリスへ留学中の彼氏がいた。
「彼氏には夏休みに会いに行ったの?」と率直に尋ねる。
「あ、彼氏とは別れました」と返ってくる。
そのような返事に対し多くの人は気まずくなるだろう。しかし、ぼくにはそのような傾向が不足している。
「そうなのか、知らなかった。他に知ってる人研究室にいるの?」誰とならその事実を共有しても許されるか、探りを入れる。
「Aだけです。Aには別れてすぐ伝えました」と、遠山は研究室でいつも2人ごはんを食べている同期の女子の名を挙げる。
これを聞きぼくは、そう簡単に他人に漏らしていけないことを聞いてしてしまった、という気持ちになる。
「なんとなく予兆はあったんですけどね。別れる一ヶ月前からは、ラインも3日に一度しか来なくなって。前は忙しくても毎日連絡くれたのに」
ぼくは自身と彼女との連絡頻度について思い浮かべるする。
ぼくと彼女は3日に一度程度しか連絡を取り合っていない。それも付き合う当初からだ。
「ぼくは彼女と毎日連絡とったことはほとんどないな」と笑いながら伝える。