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雫から始まる物語  作者: あまやすずのり
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第12話

「へぇ、陸上部の選手なんですか」

「えぇ、短距離をやっているんだ」

 桜が逃げ帰った後、

 お邪魔したら悪いと思い席を外そうとした私に

 二人は同席を求めた。

 普通ならそれこそ遠慮する私だが、

 雫先輩と楓さんの関係が少々気になり

 お言葉に甘えることにした。

「楓はね、中学時代も優秀な選手でね、モテモテだったんだよ、主に女性にね」

 ニヤニヤと意地悪そうな笑顔で

 楓さんの事を話してくれる雫先輩。

 だが、その様子にもどこ吹く風と言わんばかりの表情で

 余裕たっぷりに楓さんは返答していた。

「ふふ、そうだったな、もっとも今の方が人気があるが、ね」

 片目をつむり、

 余裕たっぷりに答える仕草はまるで私のようで、

「なるほど、だから私も楓さんに惹かれるわけですね」

「ふむ、なら私のところに来るかい?」

 自然と差し出された指に思わず手が出そうになる。

 それを何とかこらえると楓さんが目で合図していた。

 その意図を瞬時に読み取った私は

 ニッコリと笑顔を向けその指を取り、

 二人顔を見合わせチラリと雫先輩へと視線を向けると

 予想通り慌てている雫先輩が声をあげる。

「ダメだよっ!五月ちゃんは私の後輩なんだから、ダメっ!」

 あまりに必死な様子に私も楓さんもこらえきれず

 声を上げて笑ってしまう。

「大丈夫ですよー、私は雫先輩だけの物ですからー」

「わぁっ!だからってこんな所で抱きつかないでーっ!」

 いつにもまして可愛い雫先輩へ耐えきれず抱きつくと

 バタバタと抵抗する雫先輩。

「ふふ、雫はいい後輩が出来たみたいね」

 漏れた言葉と共に私の視線の片隅には

 どこか羨ましそうに映る楓さんの横顔。

 その顔に疑問を感じる間もなく楓さんは立ち上がる。

「あれ?もう時間?」

「あぁ、すまないな」

 未だ残っているポテトを素早く雫先輩のトレーへ移しながら

 楓さんは背を向ける。

 その凛々しい立ち振る舞いは、

 なるほど、確かに女性にもてそうで

「カロリーには気をつけろ、雫」

「だったらちゃんと食べていってよっ!」

 最後まで雫先輩をからかう姿勢に好感しか持てなかった。


「ほんとにもう……なんでみんなして私をいじめるのか……」

 そんなの虐めがいがあるからに決まっている。

 とは口が裂けても言えず

 不満そうな顔で楓さんの分のポテトを

 律儀に食べている雫先輩を黙って観察する。

 カロリーの事もあるので止めようかと一瞬考えるが

 まるでリスのように口一杯に頬張る姿に愛らしさを覚える。

「それで雫先輩は楓さんに用事でもあったんですか?」

 結局その姿に負け制止を諦め、

 疑問に感じていた事を素直に聞いてみる。

 その問いかけにチラリと視線だけこちらへ流し、

 手に取ったポテトを弄びながら冷静に私へと答えた。

「うーん、ちょっと、ね」

 何かを含んだ物言いでどこか楽しそうにしている姿、

 雫先輩を散々茶化している私はそれで直ぐに直感する。

 雫先輩はなにか隠している。

 しかも幸か不幸かそれは私に対しての秘め事である、と。

 普段の私ならこの時点で雫先輩をからかいつつ、

 その内容を引き出そうとするところだが、

「ちょっと、ですか」

 私のつぶやきに静かに頷く雫先輩。

 どこか神妙でどこか楽しそうで。

 静かにポテトを再び食べ始める。

 結局その姿の雫先輩が可愛かったせいもあり

 この日は全ての事の答えが出ないまま終わるのだった。

段々と暑さが身にしみ始めたこの頃、

夜の寝つきも悪くなり気づくとカタカタ…

と、書ければいいんですがこれがなかなか(笑)

これから更に暑くなる中、いつ書くのが快適かちょっぴり思案しております。

……やっぱ朝、かな?


ここまでお読み頂きありがとうございます。


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