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ザ☆旅行記Ⅷ 愚劣かつ下劣な話  作者: 小宮登志子
第8章 ○○○に△△△を×××
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実行の日

 そして……、とうとう計画実行の日を迎えた(この日までの途中経過は省略しよう)。公園の片隅には、こっそりと、大きな檻が運び込まれ、その中には、傷だらけ、タンコブだらけになったツンドラ候が、猿ぐつわと目隠しと(後ろ手に)手錠をされ、押し込まれていた。一体、どんな目に遭わされたのやら。ガイウスに聞いてもクラウディアに聞いても、「ちょっとね……」という答えが返ってくるだけで、具体的な話は教えてくれない。ただ、鉄格子の隙間から棒で突っつくと、体を激しく揺すぶって暴れるので、大したダメージを負っていないことは、間違いない。


 やがて、日は西に傾き、辺りは薄暗くなってきた。夜間外出許可制度のせいか、この時間でも、人通りはなくなっている。公園の噴水のそばでは、ダーク・エルフが数人集まっていた。

「これくらい大がかりな魔法は久しぶりだということで、仲間も、結構、張り切ってます」

 クラウディアによると、これは、幻影のプレハブ小屋を出現させるための魔法とのこと。しかも、これは単なる「幻影」ではなく、あまねく五感に作用することにより、まるで本当にその場にプレハブ小屋があるような感覚(錯覚)にとらわれるとか。しばらくすると呪文の詠唱が終わり、噴水の脇の何もないところから、にわかに、お菓子の家のようにオシャレな小屋が出現した。

 ガイウスは、それを眺めながら、ウンウンとうなずき、

「さすが、幻術のエキスパート。知らされなければ、私でも気が付かないだろうね」

 そして、わたしの肩をポンとたたき、

「よくできているだろう。この機会だから、中をのぞいてみないか?」

 わたしはガイウスに促され、小屋の入り口のドアに手をかけた。不思議なことに、見た目だけではなく、手触りなども、本物のドアと全然変わりがない。さらに、中に入ってみて、ビックリ、小屋の中は、昼間のように暖かな太陽の光で満ち、オシャレな家具や調度が並べられていた。とても幻影とは思えないが……

「驚いたかい。感触や質感も本物に近づけてあるんだ。その分、魔法のレベルも高いけどね。だから、仲間のうちで幻術のエキスパートを連れてきたのさ。でも、驚くのは、まだ早いよ」

 ガイウスは右手を上げ、合図を送った。すると、あ~ら、不思議、確かに存在したはずのオシャレな小屋は一瞬にして消失し、目の前には、普段の公園の風景が広がっていた。


「そういえば、ゴリラに媚薬を飲まさなければならなかったんだっけ?」

 ガイウスが言った。すると、クラウディアが、横から割り込むように、

「その役目なら、ぜひ、わたしに。ゴリラを誘惑するなんて、初めてだわ」

 いつになく積極的な態度だ。ちょっぴり変な感じ。それに、そもそもこの作戦がうまくいっても、得をするのはわたしで、ダーク・エルフにとってはタダ働きではないか。

 しかし、クラウディアは本当に楽しそうに笑い、

「こういう誰が見てもナンセンスな悪戯は、大好きなの。わたしたちの特徴かしら」

 ガイウスもうなずき、同意した。エルフとは、面白ければなんでもあり、という種族でもあるらしい。

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