表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ザ☆旅行記Ⅷ 愚劣かつ下劣な話  作者: 小宮登志子
第8章 ○○○に△△△を×××
68/82

ないものを生じさせるには

 わたしが隻眼の黒龍の背中から降りると、パターソンはおもむろにわたしに近づき、

「カトリーナ様、お疲れでしょう。とりあえずは屋敷の中へ」

「ありがとう。でも、ゆっくりしているヒマはないのよ。ツンドラ候を捕まえないと」

「ツンドラ候ですか、あの人は……、ははは……」

 パターソンからは失笑が漏れた。他の駐在武官も皆、口元を抑えている。話によれば、ツンドラ候は、毎日のように疲れた顔で、「ウェルシー伯は、まだ戻らないのか」と、やって来るとのこと(次期皇帝選出委員会の委員に選ばれ、大変な毎日を送っているらしい)。でも、それなら好都合、こちらから捜す手間が省けた。ツンドラ候のことだから、「たまには仕事をサボって史上最凶最悪のゲテモンを食べに行こう」と誘えば、喜んで乗ってくるだろう。連れ出すのは簡単。問題は、ツンドラ候が男色に興味があるかどうか。常識的に考えれば、興味を示すとは考えにくい。だとすれば、ないものを生じさせなければならないが、それは、通常の方法では不可能で……

 うつむいて、じっと考えていると、パターソンは不思議そうにわたしの顔を覗き込み、

「カトリーナ様、何か、お考えでしょうか」

「なんでもないわ」


 わたしは、子犬サイズに体を縮めたプチドラを抱き上げ、パターソンに先導されて屋敷に入った。そして、部屋に荷物を置き、とりあえず応接間で一服。パターソンたちが通常業務に戻り部屋に誰もいなくなると、プチドラを抱き、こっそりと「開かずの間」を通って地下室に。

 地下室では、例によって、ガイウスとクラウディアが紅茶を飲みながら談笑していた。一応、「すべてのエルフの母」の奪還を目指す秘密結社のはずだけど、のんびりとしたところはエルフの性分だろう。

 クラウディアは、わたしの姿を認めると、椅子から立ち上がり、

「まあ、カトリーナさん! 今まで、どこに? 急に姿が見えなくなったから、心配で心配で!」

 と、わたしに抱きつき、声を上げて泣き出した(クラウディアたちには、留守にすると言ってなかったっけ……)。

「ごめんね。すぐに済むと思った用がなかなか済まなくて…… 実は、その用もまだ片付いてないの」

「『用』というと……、難しい話しかね? 我々にできることなら手伝うよ」

 ガイウスが言った。こういう人が好いところもエルフの特徴だ。本来なら、あまり借りを作りたくないところだけど、今回ばかりは仕方がない。

「実はね、なんというか…… 非常に言いにくいんだけど、要するに、超強力な媚薬みたいな……、その気がなくても関係なしみたいなのは、ないかしら」

 わたしは要点をかいつまんで説明した。男に全然興味がない男でさえその気にさせて、男の○○○に自分の△△△を×××してしまう(直接口に出すのがはばかられたので)くらいに強力な、媚薬とか魔法はないかと。しかし、これには、さすがのガイウスもクラウディアも唖然として、本当に、目が点に……

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ