致命的なスキャンダル
パークは、しばらくの間、下を向いて考えていたが、
「あの、本当に、アイアンホースを説得して下さるのですね」
「本当よ。あなたも知ってると思うけど、今回の選挙はアイアンホースが負けそうな展開でしょ。だから、選挙に勝てるのであれば、そのくらいの願いは聞き届けてくれるはずよ」
パークは「おお!」と力のこもった声を上げた。なお、アイアンホースが本当に「そのくらいの願いは聞き届けてくれる」という保障はどこにもない。後になって「そんな約束は知らん」と、利用されるだけで終わりそうな気がするが、わたしには不利益も被害もない。「恋は盲目」とも言う。パークには、最後に泣いてもらおう。
ただ、彼が今まで仕えていたブライアンを簡単に裏切れるものかどうか、ちょっぴり疑問もある。その点については、
「問題ありません。パトリシアのためです。私がブライアンのもとにいる理由はアイアンホースに嫌がらせをしてやろうと思ったからで、ブライアン個人に対して忠誠心はなく、何よりもパトリシアのことが最優先ですから」
なんとも、分かりやすい理屈だこと。
肝心の「致命的なスキャンダル」については、
「実は、ブライアンは『稀代の女嫌い』であるだけではなく、『ほとんど尋常では有り得ない男好き』なのです」
「男好きなら、早い話がゲイでしょ。有り得ない話じゃないと思うけど……」
「いえ、程度が、その……、とてもこの世のものとは思えないと言いますか…… とにかくすごい、ものすごいのです」
話によると…… いや、やめておこう。わたしには、彼の発言を的確にまとめる自信がない。そこで、彼の言葉をそのまま(ただし、一部は伏せ字にして)掲載すると、
「実は、ブライアンはウケ専門で、特に、ゴリラのようにたくましい男の巨大な△△△により、肛門を激しく×××されることに無上の喜びを感じるのです。しかも×××の前には、必ずと言っていいほど、巨大注射器による浣腸プレイを楽しみ、汚物を辺りにぶち撒きます。『ウォッ、ウォッ、ウォッ』と、まるでイボイノシシのような声を上げながら、その行為に及ぶ光景は、身の毛もよだつほどで……」
彼の話は、とても聞くに堪えられるものではなかったが、とにかく、ブライアンがとんでもない男ということだけは、分かった。
パークは心細そうな顔でわたしを見つめ、
「このようなことでよろしいのでしょうか。これは、その……、我々秘書の間だけの、絶対に外に出してはならない秘密なのですが……」
それはそうだろう。少数者の人権の問題はあるが、一般常識あるいは社会通念上は、公になったら非常にマズイと思う。わたしは、「アイアンホースにはよく言っておくから」と、パークを帰し、残りの白い羽根帽子の連中も(金縛りも解いて)放免した。
プチドラは、わたしを見上げ、
「せっかく犯罪の証拠をつかんだのに、いいの?」
「いいのよ。とりあえず、ゴリラのようにたくましい男には、心当たりがないこともないから」




