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メフィストの種―悪魔に別の星へ植えられた僕、拠点を守護する聖樹に転生し、 遥か彼方のこの星を開拓していく。  作者: 上部乱


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第7話 鹿の子


「まったく、無鉄砲にもほどがあるよ。」

熟睡しているノーザンサーチベアを指差し、

メフィストが言った。


悪魔の表情には、

嘲弄と期待が入り混じっている。


「これ以上、どんな惨劇が見たいんだい?

 赤ん坊の虐殺かな?」


不意に、

僕はこいつが心の底から憎くなった。


この小鹿には、血が通い、体温がある。

苗木だった時とは違う。

この体の中にいると、

より強く「生きている」と実感できるんだ。


「少し痛い思いをして、

いっそ食べられてしまいなよ。

たかが数ポイントのMPを無駄にするだけだ。

この天賦なら何度でもやり直せる。」


彼は狼を地面に放り出すと、

手にしていた弓をシャベルに変え、

自らの姿をがっしりとしたドワーフへと変えた。


「分身の数には限りがある。

 わざわざこんな弱い生物を

 選ぶ必要はないだろう?」


彼が指差したのは、

先ほど結実した僕の枝だ。


果実が落ちた跡のからは、

かすかな「霊魂の糸」が小鹿へと繋がっている。


どうやら、一本の枝につき一つの分身を管理できるらしい。


彼は土を掘り始めた。

狼を僕の根元に埋めるつもりらしい。


僕は何も言わず、彼が何をするのかを見守りながら、反論の言葉を探した。


僕の怒りを察したのか、

彼は少しだけ口調を和らげた。


「それに、

 自分の分身に何を食べさせるつもりだい?

 粉ミルクか? 忘れないことだね、

 君たちは哺乳類なんだよ。」


狼が埋められると、

その力が根を通じて僕の体へと流れ込んでくるのを感じた。


彼からの贈り物。


微かではあるが、僕はまた少し成長し、

三本目の枝が芽を出し始めていた。


経験値:85 / 128


「この子、とっても可愛いわね!

 飼ってもいいかしら?」

メフィストは、今度はくねくねと気取った少女の真似をして言った。


そして急に顔色を変える。

「……まさか、そんな幼稚なことを言うつもりじゃないだろうね?」


僕は苗木の中から小鹿を見つめる。


弱々しいけれど、必死に生きようとしている。

僕は小鹿の中から、現場のすべてを見つめる。


僕は今、全力で生き抜こうとしているんだ。


メフィストは極めて現実的だ。

時間を無駄にしたくない。


結末が決まっているのなら、痛みと損失を最小限に抑えるのが知恵だと考えている。


ステータスを確認する。


再生の苗 Lv 3

HP 200 / 200 MP 8 / 36


瞑想状態に入っていないため、

MPの回復速度が遅すぎる。

残りのMPでは、あと二回しかスキルを使えない。


悪魔が熊の傍へと歩み寄る。


眠れる猛獣を見下ろし、

邪悪な笑みを浮かべると、

力任せにその腹を蹴り上げた。


ノーザンサーチベアは怒り狂って飛び起き、

ドワーフの姿をした

メフィストの顔面に食らいついた。


顔面を血肉まみれにしてメフィストを地面に組み伏せると、熊は立ち上がり、

杭打ち機のような前脚で悪魔の胸を激しく踏みつけた。


声が途絶えた。

だが、彼がこれしきで死なないことは分かっている。


自分を叩き起こした不届き者を処理した熊が、こちらを向いた。

――産まれたばかりの小鹿、僕の方を。


何かをしなければ!

もう一頭、狼でも生み出すか?


「やめておきたまえ。

 たとえMPが足りたとしても、

 産まれてくるのは赤ん坊だ。

 どうやって戦うつもりだい?」


顔をぐちゃぐちゃにしたメフィストが立ち上がり、微笑みながら言った。


熊が振り返りざまに放った一撃で、

ドワーフの首が吹き飛んだ。


残された手段は「誘引香」か「刺激臭」だけだ。


「刺激臭」でこの熊を追い払うことはできるだろう。

熊の嗅覚は鋭い。

臭気で対抗するのは容易なはずだ。


だが、その後に別の問題が残る。

……この鹿は何を食べる?


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


この物語を気に入っていただけましたら、

ぜひたくさんおすすめしてください。

そして、少しでも励ましの言葉をいただけたら嬉しいです。

この物語を書き続ける価値があるのだと、

実感させてください。

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