第6話 胎生苗
通常の腐敗プロセスではない。
あまりにも早すぎる。
根から、
濃厚な力が吸収されていくのを感じた。
レベルアップ!
再生の苗 Lv 3
HP 200 / 200 MP 36 / 36
経験値:1 / 128
腕力:4
魔力:9
敏捷:0
防御:4
幸運:3
【種族天賦が発動:転生の胎生苗】
『人間の魂から錬成された種子。
悪魔メフィストによってケプラー452bに植えられた。
アブラムシを放牧し、天導虫を従える。
この樹の下に埋められた死者は、
意外な形で再生すると伝えられている。』
茎が少し太くなり、左右の双葉の柄が長くなった。
いや、もはや葉柄ではなく、枝と呼ぶべきか。
【新規スキルを選択してください:
誘引香 Lv2 / 刺激臭 / 成長加速】
「刺激臭」にしよう。
今後どんな生物が近づいてくるか分からない。自分を守る手段が必要だ。
意識をその選択肢に集中させる。
【スキル選択:刺激臭】
体が光を放ち、ステータスが更新された。
再生の苗 Lv 3
【習得済みスキル:
誘引香 Lv 1/8、刺激臭 Lv 1/8】
詳細を確認する。
『刺激臭 Lv 1:忌避性の臭気を放つ。
レベルアップで毒効果。』
これでアブラムシを追い払える!
そう思ったが……。
経験値:3 / 128
天導虫とアブラムシの間には、
良好なサイクルができつつある。
焦って「金の卵を産むガチョウ」を殺す必要はないだろう。
背後の倒木を見つめる。
命を養う自覚が、わずかな樹液くらいは大目に見ろと僕を諭した。
さて、スキルの処理は終わったが、
さっきの凄そうなメッセージを読み返そう。
【種族天賦:転生の胎生苗】
胎生苗……マングローブのように、
親の木の上で次の木が育つあれか?
では「転生」とは?
考えても分からない、実験してみよう。
「種族天賦発動:『転生の胎生苗』!」
再生の苗 Lv 3
HP 200 / 200 MP 0 / 36
な、なんだ!? 一瞬でMPがゼロになったぞ!
見ると、右側の枝に小さな果実が結実していた。
その形はまるで……哺乳類の胎盤のようだ。
その果実、
あるいは胎児は、みるみると育っていく。
成長に伴い、僕の意識が枝分かれし始めた。
二つの思考が同時に存在する感覚。
PCとスマホを同時に操作しているような感じだ。
どちらも「僕」だが、
注意力の多くは片方に偏っている。
そして今、僕が注視しているのは、
もちろんあの胎児だ。
もしこれを育てきれば、
再び「移動能力」を手に入れられるのではないか?
意識を胎盤に集中し、
すべてのエネルギーを注ぎ込むイメージを描く。
やがて、果実は熟した。
熟して落ちる、その時!
胎盤が地面に落ち、
中から何かが這い出してきた。
僕は血生臭い薄膜を突き破り、
鼻で新鮮な空気を吸い込んだ。
視線の先に、自分自身が見えた。
僕は今――一頭の、頼りなげな小鹿になっていた。
初生のハイランドスピアホーン Lv 1
HP 25 / 25 MP 8 / 8
腕力:1
魔力:3
敏捷:8
防御:1
幸運:5
『ケプラー452bの大型草食動物。
完全に成長した個体には、
天敵はほとんど存在しない。』
どうやら、あの熊が埋めたのは成獣ではなかったらしい。
四肢に力を込め、立ち上がろうとする。
だが、得たばかりの肉体は思うように動かず、震える足で立つのが精一杯だった。
「おやおや。そんな風にスキルを使うなんて、思慮が足りないねぇ、友よ。」
メフィストの声だ。
僕には「聞こえた」!
歓喜して振り向くと、
そこにはエルフの姿をした悪魔がいた。
左手には弓を持ち、
右肩には一頭の狼を担いでいる。
狼の心臓には、一本の矢が突き刺さっていた。
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