第22話 種まき
朝の霧気がまだ地面に張りついていた。
マヒラは空き地の縁にしゃがみ込み、
既に乾いた土壌の小さな一角を掘り返した。
山津波は上流から肥沃な表土を運んできた。
今なら何を植えても、
きっと豊作になるだろう。
彼女の動きは手慣れたものだった。
土をひと掴みし、指先でこね、香りを嗅ぎ、
そしてわずかに舌で味を確かめる。
「水はだいぶ引いたわね。」
彼女は少し嬉しそうだった。
「今の土の状態はいい。
耕せばすぐに種まきできる。」
私は仔鹿にチミダリを苗木の傍らへ連れてこさせた。
困惑顔の彼も、
すぐに私が何をしようとしているか分かった。
私は意識を枝に沈め、
枝先に次々と小さな種を生成させた。
一度にMPを使い切り、
速成できる農作物の種を大量に生み出した。
それぞれの種は形も色も外殻の硬さも違う。
砂粒のように細かいもの、
真珠のように丸いもの、
穂毛や硬い殻を持つものもある。
私はこれらが大豆、ほうれん草、キャベツ、大根、えんどう豆、トウモロコシ、小麦だと知っている。
だが彼らはこれが何か分からないだろう。
育ててもどう食べればいいかも知らないかもしれない。
私は仔鹿を見た。
彼の仕事はまだまだ多い。
もし私の分身の中に、
話せる人間がいればいいのに。
私は様々な種を地面に落とした。
子供たちがすぐに集まってきた。
「これ、全部植えられるの?」
ガディリが尋ねた。
マヒラは急いで答えなかった。
彼女は種を一つ一つ拾い上げ、
布の上に並べた。
「植えられるかどうかは、
試してみないと分からないわ。」
彼女は顔を上げて私を見た。
その眼差しには感謝だけでなく、
疑問も満ちていた。
「この不思議な木は何度も私たちを助けてくれた。
無駄にこんな種を落とすはずがない。」
アガサは敬虔な面持ちで言った。
マヒラは懐から小さな布包みを取り出した。
中には彼女が元々保存していた種が入っていた。
粒の外見は、
私が知るどの種とも違っていた。
「これは去年残しておいたもの。」
と彼女は言った。
「まだ種を蒔く前に、
洪水が来るのが早すぎて……」
彼女はそれ以上言葉を続けなかった。
明るい彼女でさえ、
言葉にできない時がある。
マヒラは私の隣の広い空き地を指差した。
「作物の種類がこんなに多いんだから、
ちゃんと計画しないと。」
彼女は私の種を外見で分類し、
それぞれ異なる区域に埋めるつもりだ。
「短期間で発芽するものを優先的に残す。
成長が遅いものは、
ゆっくり観察しましょう。」
アガサは傍らに座り、
各列の位置を平らに削った木片に記録した。
彼女はナイフで簡単な記号を刻んだ。
「左側第一列、丸い殻。
第二列、細粒。
第三列、長い穂……」
彼女はマヒラを見た。
「毎日一回、変化を記録しましょう。」
マヒラは頷き、
鍬を持ってさらに何区画か整地しに行った。
子供たちは後ろに従い、土の中の石や木の根を取り除く役目を担った。
そして小さな指で土に穴を次々と開け、
種を入れていく。
小さな手のひらで土を一つ一つ押し固めた。
チミダリとチャルヴァハも別の区画を耕し始めた。
この数日、
子供たちは森で食べられる根茎類をいくつか見つけていた。
彼らは森で見つけた塊茎や塊根も試しに植えてみるつもりだ。
アガサとマヒラは、彼らが持ち帰った根茎類を一つずつ検査した。
表皮が粗い球形の根、
指のように細長い軸根がある。
食用の根茎を畑に埋め、位置を記録した。
午後、小さな仮の畑が形になった。
範囲は大きくないが、
いくつかの区画に分かれている。
短期試験栽培区。
種子保存区。
塊根実験区。
マヒラは畑の縁に立ち、両手を腰に当てた。
彼女は額の汗をしっかりと拭った。
「数日中に発芽の様子を見て、
それから葉の色と生育状況を観察する。」
アガサは頷いた。
「一歩ずつ進みましょう。
まずお腹を満たして、
その後、
薬用植物を植える場所も計画しないと。」
「できれば、家畜も手に入れないとな。」
チャルヴァハも未来の構想を語り始めた。
「そうだな、ずっと肉も乳も食べないわけにはいかないだろ?」
シャヒドは斧を研ぎながら笑顔になった。
最初の仕事を完成させた後、
皆が少しずつ夢を見るようになった。
太陽がゆっくりと西に傾いた。
一同は小屋の下に戻って休んだ。
チミダリは粗末な屋根を見上げた。
いくつかの隙間からまだ光が漏れている。
「こんな小屋じゃ、
大風や大雨には耐えられない。」
チャルヴァハは柱を撫でた。
「柱の根元がまだ浅すぎる。」
シャヒドはしばらく考えた。
「ほぞ接ぎを使って、
さらに横梁で固定すれば……」
彼は回収した鉄器を見た。
「道具をもう少し修理できたら、
もっと頑丈な構造を試せる。」
彼は建築の職人ではないが、
この一行の中では、
こういう方向で最も考えられる一人だった。
マヒラは土を払い落とした。
「畑には時間がかかる。
家にも時間がかかる。」
彼女は空き地の中央にいる私を見た。
「忙しくすることを探せば、
みんな心が落ち着くわ。」
風が林の間を吹き抜けた。
枝葉がかすかに揺れる。
私は地下で根系を伸ばしていた。
畑はまだ発芽していない。
家はまだ完成していない。
だが生き延びるために、
皆は既に次の一歩を計画し始めていた。
私はレベルアップしてまだ選択していない新しい能力を見つめた。
どの能力を覚醒させるべきか、
もう答えは出ているはずだ。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
この物語を気に入っていただけましたら、
ぜひたくさんおすすめしてください。
そして、少しでも励ましの言葉をいただけたら嬉しいです。
この物語を書き続ける価値があるのだと、
実感させてください。




