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メフィストの種―悪魔に別の星へ植えられた僕、拠点を守護する聖樹に転生し、 遥か彼方のこの星を開拓していく。  作者: 上部乱


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第16話 三人の子供


三人の子供たちは、まるで高台に登って降りられなくなったネズミのようだった。


僕たち二人と一頭は、

足場になるものを探して周囲を回った。


幸い、激流によって運ばれてきた建物の残骸や家具が至る所に散乱している。

アガサとチミダリは時間をかけて大きな衣類ダンスを運び出した。


チミダリがそれを支え、アガサが彼の背中を借りてタンスの上へ登る。

彼女は屋根の縁に立ち、

三人の子供たちへ手を伸ばした。


アガサと知り合いだったガディリは、

迷うことなく迅速に屋根を降りてきた。


地上で待つチミダリを見て一瞬たじろいだようだが、それでも彼の助けを受け入れた。


しかし、残りの二人は違った。

チミダリが人間であることに気づいた瞬間、

抑えきれないほどの恐怖で大声で泣き始めてしまった。


アガサもチミダリも狼狽した。

二人とも、子供をなだめた経験などなかったのだ。


下からガディリが優しく説得を試みるが、

怯えきった子供たちの耳には何も届かない。


誰もが途方に暮れていた。

ガディリを再び登らせるわけにもいかない。


今、直接あの子たちに触れられるのは――

俺の、あの金属光沢を帯びた緑色の小さな虫だけだ。


僕は姉弟と思われる二人の目の前へと飛んだ。

空中でゆらゆらと揺れ、

それから姉の腕にそっと止まる。


「ブーン」という翅の音と、

鮮やかなメタリックグリーンの色彩が彼らの注意を引きつけた。


子供たちの情緒が、

恐怖から好奇心へと移り変わる。


アガサがその変化を逃さず、

柔らかな声で尋ねた。


「……ねえ、

 天導虫の物語を知っているかしら?」


幼い弟が涙を溜めた瞳で頷く。

アガサは彼に語りかけた。


「この子たちはね、道に迷った子供をお家まで連れて帰ってくれるのよ」


その言葉を合図に、僕は再び飛び立ち、

チミダリの方へと向かって旋回した。


「見なさい、あの人間のお兄さんが、あなたたちをお家まで連れて行ってくれるわ……」


アガサの声には、

微かな罪悪感が混じっていた。


無理もない。

彼らの「家」は、

おそらくもう存在しないのだから。


「あなたたち二人の名前は何?

 この村では見たことがないけれど」

アガサが話題を逸らそうと試みる。


「……オシャティンです。弟はサファイ」

少女が震える声で答えた。


姉弟はしゃくり上げながらも、

アガサの手を取って地面へと降りた。


アガサが弟を抱き、

チミダリが姉を抱え、

彼らはガディリを連れて比較的乾いた場所へと移動した。


安全な場所に辿り着くと、

チミダリが先ほど持ってきたバナナ――

三日月の実を取り出した。


五人はそれを分け合って食べ始める。

僕は三人の子供たちが夢中でバナナを頬張る姿を見つめていた。


彼らは、生き延びたのだ。


【救出成功 x3】

【ガディリ、オシャティン、サファイ】

イベント経験値 +15

経験値:144 / 256


僕の果実を食べたことで、

彼らと僕の間に「繋がり」が生まれた。


だが、これはほんの始まりに過ぎない。

村にはまだ、助けを必要としている人々が溢れている。


「お兄さんの……チャルヴァハは、

 どこ……?」


アガサが剥いたバナナをガディリに手渡しながら尋ねた。


少女はもう、

物事の道理が分かる年頃だった。


彼女は水が流れていった方向を見つめ、

大粒の涙をぼろぼろとこぼした。


大人二人は、

それ以上何も聞くことができなかった。


「……お父さんとお母さんは?」

サファイが怯えながら尋ねる。


アガサはバナナの皮を剥きながら、

深く息を吸い込んだ。

その問いに答えるのは、

あまりにも残酷すぎる。


「……一緒に探しましょう」

チミダリが重苦しい口調で言った。


今の彼に約束できるのは、

それが限界だった。


その時、近くで狼の咆哮が響き渡った。

チミダリが瞬時に弓を握りしめる。


しかし、五人の予想に反して、

僕――

ハイランドスピアホーンは軽快な足取りで、

その狼の遠吠えが聞こえた方向へと駆け出していった。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


この物語を気に入っていただけましたら、

ぜひたくさんおすすめしてください。

そして、少しでも励ましの言葉をいただけたら嬉しいです。

この物語を書き続ける価値があるのだと、

実感させてください。

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