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メフィストの種―悪魔に別の星へ植えられた僕、拠点を守護する聖樹に転生し、 遥か彼方のこの星を開拓していく。  作者: 上部乱


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10/12

第10話 導き


僕は自分の苗木を中心に、円を描くように一周した。


飛行に慣れると、すぐに人の声がする方へと羽音を立てて飛んでいった。


話し相手が欲しかった。

自分の魂を狙う悪魔ではない、誰かが。


森の中の獣道で、

僕は一組の男女を見つけた。


【重要イベント達成:

 先住民(人間)との遭遇】


【重要イベント達成:

 先住民エルフとの遭遇】


イベント経験値 +60

経験値:69 / 256


一人は人間の男。

革鎧を纏い、狩猟弓を握っている。

肩には大きな荷物を担いでいた。


放浪の狩人 ??? 人間 Lv 8

HP 180 / 180 MP 25 / 25


もう一人はエルフの女。

軽装だが、

背中には多くの荷物を背負っている。

特徴的なのは、

その中に書物や薬瓶が混じっていることだ。


植物学者 ??? エルフ Lv 6

HP 90 / 90 MP 80 / 80


旅人にしては荷物が多すぎる。

その様子は旅というより、

逃避行とうひこうのようだった。


男の顔には決死の覚悟が刻まれ、

女の表情は後悔と不安に満ちている。


好奇心に駆られ、

詳しく観察しようと近づいた。

だが、鋭いエルフの女性に気づかれてしまう。


彼女は僕を指差し、

まるで希望の光を見たような顔をした。

「グバ ドイガ イガス ア ツッザ、ルクラオ ンア ビー トスマ」


男とエルフが低く言葉を交わし、

双方が膝をついて祈りを捧げ始めた。


言葉は分からない。

だがその行動から、

僕の化身である天導虫が、彼らの文化において間違いなくポジティブな意味を持っていることが伝わってきた。


……困ったな。

神託を伝える使者になるつもりなんて、

これっぽっちもなかったのに。


変な誤解を招きたくなくて、

僕は本体がある場所へと引き返した。


すると二人は、希望に満ちた表情で僕を追いかけてくるではないか。


天導虫はそれほど速くは飛べない。

彼らは僕が「あえて導いている」のだと思い込んだらしい。


「来るな! こっちには猛獣がいるし、

 魂を狙う悪魔だっているんだぞ!」


心の中で叫んでも、彼らには届かない。

届いたとしても、きっと通じないだろう。


本体の近くまで辿り着いた時、

彼らは真の意味で「神跡」を目撃することになった。


一頭の熊が小鹿に授乳し、

その傍らで深手を負ったドワーフが倒れている光景を。


「ンバーイワ!」

メフィストは二人を見るなり、

空を指差して聞き慣れない単語を呟いた。


男は即座に弓を構え、矢をつがえる。

緊張した面持ちで空を警戒し始めた。


エルフの女性は素早く治療薬を取り出し、

メフィストの傷を包帯で巻き始める。


「ンバーイワ ザ オブ トイファ アベ ザ! スア ドブイセ トッイ。」


メフィストが熊を指差して、

一気にまくし立てた。


男はそれを聞くと、

半信半疑ながらも警戒を解き、弓を収めた。


エルフの女性がメフィストの手当てを終えると、二人は小声でしばらく話し合った。


彼女は書物を取り出し、

頁をめくって呪文を唱え始める。


メフィストの体が、

治癒魔法と思われる光に包まれた。


メフィストは上体を起こすと、

ニヤニヤしながら僕の本体を見上げた。


「今、私が彼らに何と言ったのか、

 気になって仕方がないだろう?」


メフィストのその言動を目にし、

エルフの女性は不安そうに眉をひそめた。




☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


この物語を気に入っていただけましたら、

ぜひたくさんおすすめしてください。

そして、少しでも励ましの言葉をいただけたら嬉しいです。

この物語を書き続ける価値があるのだと、

実感させてください。

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