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メフィストの種―悪魔に別の星へ植えられた僕、拠点を守護する聖樹に転生し、 遥か彼方のこの星を開拓していく。  作者: 上部乱


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第1話 萌芽

痛い!

何が起こったんだ?

どうして僕の足が、あんなに遠くにあるんだ……?


陰から美しい声が聞こえてきた。

「――新しい仕事だ。

もう一つ、終わるべきではなかった命だ。」

その声は、過剰なほどに優しかった。


意識がどんどん薄れていく。


「もう喋る力もないだろう。」彼は気遣うように言った。

「森川樹君、君が欲しているものを当ててやろう……生きたいんだろう?」


僕はあまりにも弱っていて、返事すらできなかった。


「じゃあ、生きたいってことにしておこう。これから君は無尽蔵の生命力を得るのだ。」


「お前は誰だ?」突然、声が出た。

「我が名はメフィスト。」

「有名な悪魔……なのか?」

「本を読んでるとは、意外と教養あるじゃないか。」


「その“無尽蔵の生命力”ってやつ……代償があるはずだ! この契約には同意していない、いらない!」

「焦るな、これは試供品だ。無料でね。」


「お前の約束は言うほど素晴らしくない!」

「ほう? そう思うのか。ならば、その通りにしてやろう。」


僕はみるみる小さくなっていく。

指二本でつまめるくらいに小さくなるまで、縮んで、縮んで、縮み続けた。

彼は僕を目の前に持ち上げ、細めた目で眺める。

「ルールは、この前ファウストと遊んだ時と同じでどうだ?」


彼の姿が変わり、白い羽と鳥の嘴が生えた。

彼は僕を攫い、舞い上がる。事故に遭った街路から遠ざかっていく。


――眼下に、自分の肉体が見えた。

バスの車輪に轢かれ、四散していた。

惜しいような、そうでもないような人生だった。


やがて地上を離れ、大気を抜け、宇宙へ。

……宇宙は本当に美しい。


言ってはいけないと分かっている。

『時よ止まれ、お前は美しい!』

――そう口にした瞬間、魂は彼のものになるのだ。


月、火星、木星……銀河、星雲。

やがて別の恒星系。三つの月、大気。

高原、森林……そして黒焦げの倒木。


「ここで、もう一度生きてみるがいい!」


メフィストは倒木の傍らに大穴を掘り、僕を放り込んだ。

頭上から土砂が降り注ぐ。これは生かすのではない――生き埋めだ!


「これを、一時的に貸してやろう。」

彼は自らの左目を抉り取り、土と一緒に投げ込んだ。

眼球は僕と融合し、視界に文字が走る。


メフィストフェレス Lv ∞

HP ??? / ∞ MP ??? / ∞


「どうだ、私の眼で見るのは面白いだろう?」

さらに集中すると、詳細が開く。


メフィストフェレス Lv ∞

HP ??? / ∞ MP ??? / ∞

腕力:∞

魔力:∞

敏捷:∞

防御:∞

幸運:0

『求知心に溢れたヨハン・ファウストを誘惑した、著名な悪魔……』


「もういい。今は眠れ。数日後には忙しくなるぞ。」

最後の土が降り、闇に沈む。


温かく、静かな闇。僕は眠った。


どれほど経っただろう。圧迫感で目が覚める。

メフィストの魔法が薄れていく。――元に戻れるのか?

期待しながら、背中を突き上げた。


上の土は固いが、どうにもならないほどではない。

力を込める。足元は沈み、上方は少しずつ割れていく。

ついに、背中がふっと軽くなった。

黄金色の月光が影に差し込んだ。


体を伸ばしきる。

水を湛えたように輝く黄金の満月を仰ぎながら、両腕――いや、若葉を高く掲げ、夜露を伝わせた。


☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆


この物語を気に入っていただけましたら、

ぜひたくさんおすすめしてください。

そして、少しでも励ましの言葉をいただけたら嬉しいです。

この物語を書き続ける価値があるのだと、

実感させてください。


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