90話 驚き ――「ジャックが同僚に」
午前中の業務を終え、涼香が自席に戻ると、隣の席にジャックが座っている。
パソコンの画面を前に、書類の整理をしている様子はとても自然だ。
涼香:(……え、ジャックが……同じ会社に、同僚として……!?)
胸の奥が小さく跳ねるような感覚を覚え、涼香は思わず口元に手をあてる。
ジャックは気づかずに書類をまとめ、軽く笑みを浮かべて涼香に声をかける。
ジャック:「涼香さん、おはよう。今日はよろしくね」
涼香は慌てて笑顔を作る。
涼香:「あ……おはようございます……よろしくお願いします」
心の中ではまだ信じられない気持ちと、嬉しさが入り混じっている。
同僚たちもジャックの存在に少しざわつく。
同僚A:「あれ……ジャックさん? もしかして……今日から入社?」
ジャックは自然に答える。
ジャック:「はい、今日からお世話になります」
涼香は心の中で小さくため息をつく。
(本当に……隣にいる……しかも普通に働いている……なんだか信じられない)
でも、同時に胸の奥には温かい気持ちも芽生える。
(こんな日が来るなんて……これから、一緒に仕事できるんだ……)
ジャックは涼香の微妙な表情に気づかず、手元の作業に集中している。
涼香はその背中を見つめながら、自然に笑みを浮かべる。
(これからの毎日が、少し楽しみかもしれない……)
入社して数日が過ぎた。
ジャックはまだ会社の全体像や業務の流れに慣れる途中だったが、焦らず一つひとつ覚えていく姿勢を崩さなかった。
涼香は隣で丁寧に手順を確認しながら、ジャックの質問に答える。
涼香:「ここで入力するとシステムに反映されます。もしわからなければ、この手順書を見ながらやってください」
ジャック:「なるほど……ありがとう。涼香さん、こういうの得意だよね」
涼香は軽く笑う。
涼香:「ええ、でもジャックさんも飲み込みが早いから、すぐ慣れると思います」
同僚たちも少しずつジャックに声をかけ始める。
同僚B:「ジャックさん、この件の書類、僕と一緒に確認してもらえますか?」
ジャック:「もちろん、やってみよう」
一緒に確認作業を進めるうちに、自然な会話が生まれる。仕事のちょっとした冗談や確認の声掛けで、ジャックは周囲と少しずつ距離を縮めていった。
ランチタイムには涼香と二人で食事をしながら、会社や趣味の話を交わす。
涼香:「最近ハマってることとかありますか?」
ジャック:「うーん……そうだな、配信とか、あと趣味でちょっとした工作も」
涼香:「へえ、面白そう。今度見せてもらえる?」
ジャックは微笑む。
ジャック:「もちろん。涼香さんにも楽しんでもらえるかも」
午後の業務も順調に進み、ジャックは自分の作業を少しずつこなせるようになってきた。
涼香の目も自然と温かい光を帯びる。
涼香:(最初は驚いたけど……今は普通に、一緒に仕事できるって嬉しい……)
ジャックもまた、自分のペースで学びながら、少しずつ会社の空気に馴染んでいく。
(こうして自然に溶け込んでいくのも悪くないな……涼香さんの隣で仕事できるのは、やっぱり嬉しい)
夕方、窓の外に沈む夕日を見ながら、二人は静かに日常のひとときを感じる。
忙しい中でも、少しずつ距離が近づいていく――そんな、穏やかで温かい日常が始まったばかりだった。
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