表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後悔ばかりの男の逆転人生  作者: れんれん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

67/181

63話 小次郎の視点

森は、いつも通りだった。

音は流れ、

匂いは重なり、

人は、遠くで消える。

――だが、この夜は違った。

境に立つ者がいた。

踏み込むべきでない場所に、

恐れもなく、

誇りもなく。

剣の匂いはある。

だが、抜く気はない。

力を持つが、

誇示しない。

奇妙な人間だ。

私は姿を現す。

逃げぬか。

構えぬか。

どちらでもない。

膝をついた。

下に出たのではない。

高さを、揃えたのだ。

――理由は?

言葉は不要だった。

意識が触れる。

この者の内側には、

“空”がある。

物を呑み、

距離を殺し、

時間を止める空。

世界を越えた痕跡。

人の形をしているが、

境界に足を掛けた存在。

問う。

――越えるのか?

答えは、

迷いなく返る。

「越えている」

嘘の響きはない。

誇張もない。

事実だけが、

静かに置かれた。

一歩、近づく。

威嚇ではない。

選別だ。

この者は、

支配を望まない。

「無理なら、断っていい」

人が、

こちらに選択を渡す。

久しい。

私は伏せる。

従うためではない。

拒むためでもない。

考えるためだ。

この者となら、

森は狭くなるか。

それとも、

広がるか。

名を問われた。

本来、

名は持っている。

だが、それは

この森の内だけのもの。

境を越えるなら、

別の名が要る。

人は、

考えた。

軽い名ではない。

飾る名でもない。

呼ばれた。

「小次郎」

孤高。

主を持たず、

己の技で立つ者。

――悪くない。

耳が動く。

否定しない。

もう一度、

呼ばれる。

名は、

胸の奥に落ちた。

完全な契約ではない。

まだ、縛りはない。

だが、

道は繋がった。

人は去る。

振り返らない。

それがいい。

私は、

低く声を返す。

返事だ。

名を受け取った者として。

森は、

また音を取り戻す。

だが、

境界はもう、

以前と同じではない。

次に会う時、

この人間は

越える方法を持ってくる。

そういう匂いがした。

私は待つ。

名は――

小次郎。

後書きという名のお願い 面白い、こんな展開もありと思った方は 下の★マークをタップ 感想やご意見お待ちしてます

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ