59話 里帰りと社長へのお願い
家族のもとに帰る為に社長に有給休暇のお願いをする
社長には一週間の有給の申請だ
ただし家族とか何のためとかは言わずに
ただ有給休暇の申請だ
社長はこれまでのジャックの仕事ぶりに
満足している
たまには休暇も必要と
申請を許可してくれた。
辺境伯の三男としての顔。
それは、東京の夜に慣れきった自分とは
少し噛み合わない仮面だった。
ネオンと終電、
コンビニの明かりと湿ったアスファルト。
そんな夜を何度も越えて、
ジャックはようやく“こちら側”の暮らしに順応していた。
それでも――
家族の顔を思い浮かべると、
体は自然と別の動きを選ぶ。
買い込んだのは、
派手な装飾品でも、流行の衣服でもない。
大量の小麦。
痩せた土地でも育つ品種、
病に強いよう改良された種。
袋の重みが、
この世界とあの辺境を
確かにつないでいる気がした。
酒も選ぶ。
保存の利くもの、
祝いの席で皆が口をつけられるもの。
強すぎないが、雑でもない――
父が好みそうな味を思い出しながら。
「相変わらず、地味だな」
そう思いながらも、
それでいいと分かっていた。
辺境伯の三男としての役割は、
目立つことじゃない。
確実に、次の季節を連れて帰ることだ。
両手いっぱいの荷と引き換えに、
東京の夜は、静かに背後へ遠ざかっていった。
後書きという名のお願い
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