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後悔ばかりの男の逆転人生  作者: れんれん


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52話 投資の結果と配信準備

最初の投資結果が出たのは、

兄が「まあ、様子見だな」と言った、その翌週だった。

数字は、嘘をつかない。

兄は通帳を何度も閉じて、また開いた。

計算し直して、電卓を叩いて、それでも首を傾げる。

「……増えすぎだろ」

ジャックは淡々としていた。

喜びもしないし、誇りもしない。

「最初はこんなもん。

 無理はしてないし、全部合法。税金も計算してる」

その“温度差”が、逆に怖かった。

この若い男は、

金を目的にしていない。

手段として完全に理解している。

兄はそこで、ふと別のことを思い出す。

――配信。

弟が、かつて必死にやっていたこと。

金にならなくても、喋り続けて、作り続けていた場所。

ジャックは、少し言いにくそうに切り出した。

「兄貴。

 ……俺が前に使ってた携帯、まだある?」

あの携帯。

遺品として引き出しにしまったままの、あれ。

「配信、再開したいんだ。

 最初はあの端末でいい」

兄が眉をひそめる。

「今の携帯でやらないのか?」

ジャックは首を少し傾げ、昔と同じ癖で答える。

「いきなり全部変えると、バレるから。

 まずは“戻ってきた”形で配信する」

・声は少し違う

・見た目は、もっと違う

だから最初は顔出ししない。

喋り方も、テンポも、あの頃に寄せる。

「そのうち、自分の携帯に

 新しいアカウントを作る」

そして――

「ちゃんと説明して、引っ越す。

 急に消えるより、ずっといい」

兄は、黙って頷いた。

それは金の話よりも、

よほど“弟らしい”選択だった。

逃げない。

誤魔化さない。

筋を通す。

投資の数字よりも、

その姿勢が決定打だった。

「……わかった。

 あの携帯、充電しとく」

そう言って立ち上がった兄の背中は、

少しだけ軽く見えた。

金が増えたからじゃない。

弟が、戻ってきたからだ。

そして――

再び世界に向けて、

あの声が流れる日が近づいていた

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