49話 再びやって来た自称弟
――理から外れた存在――
認めない。
それが、
俺の出した結論だった。
理屈の整理
生まれ変わり。
異世界。
魔法。
どれも、
世界の理から外れている。
そんな存在を認めて、
俺は何をしたい?
亡くなった弟を
取り戻した気になる?
それとも、
都合のいい救いに
縋りたいだけか?
……馬鹿馬鹿しい。
なのに、気になる
忘れようとすればするほど、
思い出す。
首を傾げる癖。
饒舌になる瞬間。
遺品との一致。
信じられない。
当然だ。
インターホンが鳴る
夕方。
二度目のチャイム。
嫌な予感がして、
それでもモニターを見る。
――あの青年だった。
自称弟。
今度は、
やけに明るい表情をしている。
開けた理由
開けたのは、
理屈じゃない。
ただ――
「終わらせたかった」。
第一声
「やあ」
軽い。
あまりにも。
怒鳴ろうとしたが、
声が出なかった。
魔法を見せるという
青年は、
玄関先で立ち止まり、
穏やかに言った。
「今回はね、
見せるだけ」
「信じなくていい」
「ただ、見て」
現実の歪み
彼は、
何もない空間に
指を伸ばした。
一瞬、
空気が揺れた。
いや、
揺れたように見えた。
次の瞬間。
――指先に、
淡い光が灯った。
照明ではない。
反射でもない。
そこに“在った”。
言葉が出ない
錯覚だ。
トリックだ。
そう思おうとしても、
説明が追いつかない。
光は、
ゆっくりと消えた。
若返りの薬
青年は、
小さな瓶を差し出した。
透明な液体。
「若返りの薬」
「試してみて」
「……無理なら、捨てていい」
冗談めかした口調。
人懐っこい笑顔。
あまりにも、
軽すぎる。
兄の反応
「帰れ」
やっと、
それだけ言えた。
青年は、
少しだけ残念そうに笑った。
「うん」
「じゃあ、
また来る」
残されたもの
ドアが閉まる。
玄関に残ったのは、
瓶ひとつ。
拾い上げる。
軽い。
普通のガラスだ。
終わりに
兄は、
それを棚の奥にしまう。
飲まない。
信じない。
……なのに。
捨てなかった。




