45話 前世の自分が終わる直前
なぜ見に行くのか
20歳になった夜。
祝杯もない。
未来の準備も一旦止める。
主人公は、ふと思う。
「今の俺は、あいつより強いのか?」
比較する相手はもういないはずの存在。
だが、確かめない限り前には進めない。
未来予測の能力を使う。
見るのは「分岐点」ではない。
前世が、完全に終わる直前の数時間。
薄暗い部屋
場所は前世の自室。
カーテンは閉まりきっている
空気が重い
机の上には空のカップ麺
布団に座る「前世の自分」。
年齢はほぼ同じ。
顔も、声も、癖も同じ。
だが――
目が、死んでいる
前世の独白(聞こえない声)
前世の自分は、誰にも向けずに呟く。
「どうしてこうなったんだろうな」
誰かのせいにしない。
社会も、家族も、運も責めない。
それが逆に、痛い。
「もう、頑張れない」
「何をしても、遅い気がする」
未来の可能性が見えなくなった人間の声。
決定的な違い
ジャックは気づく。
前世の自分には――
「制度」も「助け」も、実は残っていた。
相談窓口も
働く道も
学び直す手段も
だが前世の自分は、
「使わなかった」
「使えないと思い込んだ」
そして一番の違い。
前世の自分は、“待っていた”
誰かが救ってくれるのを。
状況が変わるのを。
ジャックの気づき
ここで初めて、感情が動く。
怒りでも、悲しみでもない。
理解。
「ああ……俺は、あいつを責められない」
能力も、知識も、根性も――
当時の自分なりに、限界だった。
別れ(干渉しない)
前世の自分が横になる。
眠るのか、終わるのか
ジャックは声をかけない。
変えようともしない。
ただ、心の中で一言だけ。
「もう、大丈夫だ」
「俺は、あいつの続きだ」
「でも、同じ終わりには行かない」
「前世の俺が諦めた場所から、
今世の俺は、もう歩いている。」
ただ長く一緒に居た実の兄の現状が気になった
(どうしたら俺だと認められるのか?
不審者に気が触れている人に見られず
俺自身の生まれ変わりと信じてもらえるのか?
真摯に向き合うしかないな)
スッと静かに自分の家に転移するジャックであった。




