44話 20歳当日― 社会人としての自覚と責任
誕生日の朝
目覚ましは鳴らない
特別な演出はない
スマホの日付だけが変わっている
「今日から、未成年ではない」
それだけ。
ケーキも祝福もないが、
不安もないことに主人公自身が気がつく
役所
「保護」から「確認」へ
窓口の空気
名前を告げる
年齢を確認される
“保護者欄”が無言でスルーされる
職員の言葉が短い。
「こちらで大丈夫ですね」
「ご不明点があれば、また」
命令も、忠告も、助言もない。
主人公の内面
見下されてもいない
持ち上げられてもいない
ただの「一人の成人」
ここで初めて気づく。
「ああ、これが“普通”か」
銀行
“信用”が年齢ではなくなる瞬間
手続き
本人名義
制限なし
署名だけで進む
行員は丁寧だが、過剰ではない。
「ご職業、正社員でお間違いないですね」
過去との対比
未成年時代の
確認
待ち時間
曖昧な対応
がすべて消えている。
内面
金があるからでも
学歴があるからでもなく
「“自分で責任を取れる年齢”になっただけ」
社会(何気ない場所)
コンビニ、携帯ショップ、飲食店
年齢確認されない
説明が簡潔
対応が対等
誰も主人公を特別視しない。
だがそれが、
今までで一番の“承認”。
相談員との最後の会話
形式的な面談。
相談員はもう指導しない。
「これからは、ご自身で決めてください」
主人公は頷くだけ。
感謝も反発もない。
立場が完全に同じになった瞬間。
帰り道
夕暮れ。
主人公は立ち止まらない。
「勝った気はしない」
「でも、負けてはいない」
過去の自分を思い出す。
見下された日
説明されなかった日
可能性を“年齢”で切られた日
それらが、
今日で効力を失った。




