表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
後悔ばかりの男の逆転人生  作者: れんれん


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

4/57

第4話 辺境伯の重責と役割

父――フォニアジーク・フォン・キルヒアイスは、辺境伯だ。

 その確認は、言葉ではなく“空気”から始まった。

 屋敷に出入りする人間の多さ。

 武装した兵の足音。

 交わされる会話の緊張感。

「国境付近で、小競り合いがあったそうだ」

「物資の流れが滞れば、冬が厳しくなる」

(……なるほど)

 ここは、マルーン王国の最前線。

 中央から遠く、敵国と接する土地。

 辺境伯とは、単なる貴族ではない。

 王の代わりに、国境を守る存在。

 領地の統治。

 軍の指揮。

 外交の最前線。

(重いな)

 ジルフォニアが背負う未来は、想像以上に過酷だ。

 ◆

 父の声は多くを語らないが、その一言一言は重い。

「力だけでは、辺境は守れん」

「判断を誤れば、国境は崩れる」

 誰に向けた言葉かはわからない。

 だが、その場にいた全員が背筋を伸ばしていた。

(……これが、辺境伯)

 前世で、責任から逃げ続けた俺には、眩しすぎる背中だった。

 ◆

 そんなある日、俺は気づいた。

 時空魔法は、単一の魔法ではない。

(止める、戻す、伸ばす……)

(どれも“時間”の操作に見えるが、本質は違う)

 世界を“切り取る”感覚。

 時間と空間を一体のものとして扱う――

 それが、この力の正体だ。

(つまり……)

 俺は、まだ言葉にならない思考を、必死に組み上げる。

(空間だけを切り取れば、転移になる)

 時間を操作せず、

 “場所”だけを移す。

 それは、時空魔法の一分岐。

 転移魔法。

(昇華、だな)

 理解した瞬間、世界が僅かに震えた。

 だが、発動はしない。

(当然か。座標も、距離も、何もわからない)

 だが方向性は、はっきりした。

 ◆

 そして、俺はもう一つの結論に辿り着く。

(時空を超える転移……)

 それは単なる瞬間移動ではない。

 世界そのものを越える移動。

 もし、それが可能なら――

(元の世界に、戻れる)

 配信者だった俺。

 後悔ばかりだった人生。

 そこに、未練がないと言えば嘘になる。

 だが、それ以上に――

(証明したい)

 逃げ続けた人生ではなかったと。

 やり直しが、意味を持ったのだと。

 ◆

 夜、揺りかごの中で、俺は静かに誓う。

(最終目標は、決まった)

 時空魔法を極め、

 転移魔法へと昇華し、

 世界を越える。

 辺境伯家の三男として生まれた理由。

 この力を授かった意味。

(すべて、そこへ繋がっている)

 今はまだ、赤子だ。

 だが時間は、味方だ。

 焦らず、積み上げる。

 ――ジャック・フォン・キルヒアイスは、

 静かに、しかし確かに、時空の彼方を見据えた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ