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後悔ばかりの男の逆転人生  作者: れんれん


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35話 帰還と家族へのお土産

――文明の違いという名の壁

転移は、何度やっても慣れない。

だが今回は、

確かに「帰ってきた」という感覚があった。

石造りの床。

魔力の流れ。

屋敷の奥深くに漂う、懐かしい空気。

「……戻ったぞ」

ジャックは、小さく呟いた。

家族の反応

最初に気づいたのは、兄のロンドフェストだった。

「……なんだ、その服」

見慣れない素材。

縫製は単純だが、均一すぎる。

「向こうの世界の普段着だよ」

それだけで、

“違う文明”の匂いが立ち上った。

父フォニアジークは、

無言でジャックを見つめていた。

年齢。

立ち居振る舞い。

目の奥に宿るもの。

「……無事だったようだな」

それが、辺境伯としてではなく、

父としての第一声だった。

お土産の披露

ジャックは、

一つずつ、丁寧に箱を開けていく。

金属加工品

透明度の異常に高いガラス

紙より薄い金属板

そして、小さな道具類

どれも魔力は、ない。

だが——

精度が、異常だった。

「これは……魔道具ではないのか?」

「違う。

 “技術”だけで作られてる」

その言葉に、

部屋の空気が一段、重くなった。

文明の違い

「向こうでは、

 魔法を使えない者の方が圧倒的に多い」

「では、どうやってこれを?」

「積み重ねだよ。

 数百年、数千年の」

誰も、すぐには言葉を返せなかった。

魔法という“近道”に慣れた世界。

対して、

遠回りを極めた文明。

どちらが上かではない。

進み方が、違う。

母の視点

サリーシャは、

ガラス製品をそっと撫でながら言った。

「……脆いのに、美しいわね」

「割れる前提で、作られてる」

「割れる前提?」

「壊れたら、また作るから」

その思想に、

母は一瞬、言葉を失った。

薬について

最後に、

薬の話が出た。

効能は説明する。

だが、使い道は語らない。

「……これは」

父は、すぐに理解した。

「文明を壊す」

「うん」

短い肯定。

家族会議の結論

技術品は、研究用に一部保管

外部流出は禁止

薬は厳重封印

ジャックの体験は、記録として残す

それは、

異文明との最初の接触記録だった。

ジャックの独白

(向こうでは、

 これが“日常”だった)

(こっちでは、

 世界を揺るがす)

同じ人間。

同じ知性。

それでも、

積み重ねの違いが、

ここまで差を生む。

静かな余韻

夜。

一人になったジャックは、

窓から辺境の森を眺めていた。

剣と魔法の世界。

血と誓いの歴史。

そして、

別の世界で見た——

“当たり前に回る社会”。

(……まだ、橋は架けられないな)

だが、

架ける場所は、もう見えている。

そう思いながら、

ジャックは静かに目を閉じた

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