34話 お金を得たジャック
――そして、返すという選択
ジャックは、回り道をやめた。
(……時間がない)
お土産を用意し、
約束を果たし、
異世界へ戻る。
そのための資金を、
一番早く、確実に得る方法を選んだ。
公営という選択
合法。
記録が残る。
説明がつく。
未来予測は、
ほんの“数分先”だけを見る。
大勝ちは狙わない。
外れない組み合わせだけを拾う。
結果は——
淡々と積み上がった。
驚くほどではない。
だが、必要な額には、確実に届く。
(これで十分だ)
それ以上は、やらない。
お土産代
彼が選んだのは、
異世界では存在しない、
加工技術と発想の塊のような品だった。
高価すぎず、
だが“価値”がわかる者にはわかる。
(これなら、納得してもらえる)
それが、
彼なりの“証明”だった。
相談員との再会
ジャックは、
最初に声をかけてくれた女性のもとを訪れた。
封筒を差し出す。
「……これは?」
「お借りした分です。
遅くなりましたが」
中身を確認した彼女は、
一瞬、言葉を失った。
「……増えてるわね」
「はい」
理由は、言わない。
聞かれても、言わない。
彼女は、
それ以上踏み込まなかった。
相談員の言葉
「あなた、不思議な人ね」
責めるでもなく、
疑うでもなく。
「助けられる側に見えたのに、
もう、自分で立ってる」
ジャックは、少しだけ笑った。
「立ってる、というより……
戻る途中です」
意味は、伝えなかった。
だが、彼女は追わなかった。
別れ際
「これから、どうするの?」
「……少し、遠くへ」
それだけで、十分だった。
彼女は封筒を受け取り、
静かに言った。
「生きてれば、また会うわ」
「はい」
その言葉を、
ジャックは大切に胸にしまった。
ジャックの独白
(金も、時間も、揃った)
(あとは……戻るだけだ)
国籍の問題は、保留。
約束も、守る。
だがこの世界で得たものは、
決して無駄ではない。
“助けられる側で終わらなかった”
その事実こそが、
彼にとって最大の成果だった。




