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後悔ばかりの男の逆転人生  作者: れんれん


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第23話 檻の中の一万五千

最初は、違和感だった。

空が――歪んだ。

進軍中、突如として視界の端が揺らぎ、次の瞬間には周囲の景色が“閉じた”。

「止まれ!」

誰かが叫ぶ。

だが、もう遅い。

地平線が、存在しなかった。

どこまで歩いても、見えない壁に阻まれる。

「結界……だと?」

魔導師が震える声で呟く。

兵士が剣を振るい、槍を突き立てる。

魔法が放たれる。

しかし――

何一つ、外へ届かない。

「外部遮断型……しかも、空間そのものが固定されている……?」

魔導師の顔色が青くなる。

「こんな規模、軍勢どころか、国家魔導陣でも……」

時間が経つにつれ、混乱は恐怖へと変わっていった。

水袋が減る。

食料が底をつき始める。

夜になっても、星は見えない。

昼になっても、太陽の位置が変わらない。

時間すら、管理されている。

「……誰が、こんなことを」

その問いに答える者はいなかった。

やがて、結界の中央に“気配”が生まれる。

何もない空間に、ひびが入るように。

そして――少年が現れた。

金髪。

十歳前後。

武器はない。

防具もない。

ただ、静かに立っている。

「……子供?」

誰かが笑いかけ、言葉を失った。

少年の周囲だけ、空気が違った。

「大丈夫ですか?」

少年は穏やかな声で言った。

「このままだと、三日以内に脱水で死にますよ」

指先が動く。

すると、地面に清水が湧き出た。

「食料も必要ですよね」

次の瞬間、保存の効く乾パンと干し肉が積み上がる。

兵たちは理解できなかった。

――敵なのか? 神なのか?

「安心してください」

少年は淡々と言う。

「出られないだけで、殺すつもりはありません」

魔導師が震えながら問いかける。

「……貴様は、何者だ」

少年は少し考え、答えた。

「辺境伯の三男です」

あまりにも、釣り合わない言葉。

「あと、侵攻はやめてください」

それだけ言うと、少年の姿は消えた。

次の瞬間、兵たちは気づく。

結界が、わずかに“縮んでいる”ことに。

逃げ場は、さらに狭まっていた。

誰かが呟いた。

「……神話だ」

「俺たちは、怪物の領域に足を踏み入れたんだ」

一万五千の軍勢は、理解した。

これは戦争ではない。

裁定だ。

そして彼らは、祈ることしかできなかった。

――少年が、気まぐれで世界を滅ぼさないことを。

後書きという名のお願い 面白い、こんな展開もありと思った方は 下の★マークをタップ 感想やご意見お待ちしてます

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