21話 まぁ出来たものは仕方ないw
ドラゴン素材を前にして、俺は完全に研究者モードに入っていた。
鱗、血、骨、心核。
どれも生命エネルギーの塊だ。
回復薬だけで終わらせるのは、もったいない。
そう直感が告げていた。
まずは、基本から。
再生。
魔力回復。
状態異常の除去。
ここまでは想定通りだ。
だが、鑑定を深く重ねていくうちに、
一つの可能性が浮かび上がってきた。
「……若返り、いけるな」
老化とは、生命情報の劣化。
ならば、回復魔法と同じ理屈で、
正常だった過去の状態へ戻せばいい。
問題は、どこまで戻すか。
「極端すぎるのは危険だな」
赤子に戻るのは論外。
肉体と精神の乖離が起きる。
そこで、考えた。
「五才刻みでどうだ?」
三十才若返りまで。
五才、十才、十五才、二十才、二十五才、三十才。
これなら身体への負担も少ない。
精神年齢との乖離も最小限で済む。
「よし、これでいこう」
若返りの薬。
効果は段階式。
選択式投与。
……普通に考えて、頭がおかしい代物だが、
俺は気にしなかった。
次に作ったのは、
いわゆる「簡単な回復薬」。
致命傷以外なら即回復。
骨折、内臓損傷、出血、ほぼ即座に再生。
魔力消費はほぼゼロ。
副作用なし。
「うん、簡単だな」
本人の認識は、あくまでこれだ。
念のため、量産することにした。
簡単な回復薬。
中級回復薬。
完全再生薬。
若返り薬。
棚が、どんどん埋まっていく。
「……あ、これ普通に国宝級だな」
今さら気づく。
だが、作ってしまったものは仕方がない。
必要な人に、必要なだけ渡せばいい。
それで問題は起きない。
……たぶん。
俺は瓶を並べながら、満足そうに頷いた。
戦争を止め、
命を救い、
時間すら巻き戻す薬。
十才の少年が、
そんなものを大量生産しているとは、
誰も想像していない。
この日、
世界の寿命と価値観は、
また少しだけ狂った。




