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後悔ばかりの男の逆転人生  作者: れんれん


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最終話 陽(はる)との再会 ― 静かな家庭

官邸に、信じがたい報告が届いたのは朝だった。

――ジャック・フォン・キルヒアイス、回復。

昏睡状態。

全身衰弱。

魔力枯渇。

どの記録を見ても、回復などあり得ない状態だったはずの青年が、

目を覚まし、自力で立ち、医師の制止を振り切るようにこう言ったという。

「もう大丈夫です。退院します」

理由も、説明もない。

官邸は騒然としたが、

彼はすでに病院を去ったあとだった。

誰も、追えなかった。

誰も、引き止められなかった。

――彼は、もう「国家が扱える存在」ではない。

その事実だけが、静かに共有された。

転移

一瞬の浮遊感。

世界が折り畳まれ、

穏やかな住宅街の一角が現れる。

夕方の光。

生活の匂い。

風に揺れる洗濯物。

ジャックは、涼香と並んで立っていた。

何も言わず、

ただ、深く息を吸う。

生きている。

ここにいる。

それだけで、胸がいっぱいだった。

「……帰ろうか」

涼香の声に、ジャックは頷く。

家の中

鍵を開ける音が、やけに大きく響く。

靴を脱ぎ、廊下を進むと、

奥の部屋から小さな声が聞こえた。

「あー……」

泣いてはいない。

笑ってもいない。

ただ、生きている音。

ジャックの足が、自然と早まる。

はる

ベビーベッドの中で、

陽は天井を見つめていた。

丸い頬。

小さな手。

規則正しい呼吸。

その視線が、

ゆっくりと動く。

ジャックを捉えた瞬間――

陽の口元が、ふわりと緩んだ。

理由も、意味もない笑顔。

ジャックの胸が、強く締め付けられる。

「……ただいま」

声は、かすれていた。

世界を救った喉から出る言葉は、

それだけだった。

涼香が、そっと陽を抱き上げ、

ジャックの腕に渡す。

軽い。

信じられないほど。

胸に伝わる温もり。

小さな心臓の鼓動。

守るべきものが、

ここにある。

使命でも、選択でもない。

ただの、家族。

静かな思い

ジャックは、陽を胸に抱いたまま、動かなかった。

未来のことは、分からない。

また力が必要になる日が来るかもしれない。

それでも。

今、この瞬間だけは――

何も救わなくていい。

何も決断しなくていい。

この温もりを、

この静けさを、

この幸せを。

噛み締めていたい。

ジャックは

心からそう思った。

世界を救った男は、今、

小さな家の中で、

父として、夫として、

確かに生きていた。

もうこちらの世界では魔法は使わない。

普通のちちおやとしていきていくよ


涼香の目には涙が溢れる。

ジャックは「後悔ばかりの人生だったが、

今世ではもう後悔したことがない。

だからもうやり残したことと言えば、

君とお互いが白髪になって老いて

共に眠ることくらいしか

思いつかないんだ。


ジャックの長い旅路はここで終わりを迎える

後悔ばかりの男の逆転人生

いかがでしたか?


END

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