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後悔ばかりの男の逆転人生  作者: れんれん


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141話 官邸が「彼に触れない」と決めた、決定的理由

その会議は、感情論を一切排した。

 超常。

 奇跡。

 予言。

 そうした言葉は、最初から使われなかった。

地震予測は「不可能」である、という決断

「まず確認する」

 防災担当の専門官が、はっきりと言った。

「地震の正確な日時予測は不可能です」

 学会見解。

 国際基準。

 これまでのすべての失敗例。

「13時40分」 「という時刻を指定できる手法は」 「この世界に存在しません」

 これは、断定だった。

 つまり――

 彼の情報は、科学の外側にある。

それでも、痕跡が残らない

 次に提示されたのは、監視記録。

「彼が“消えた”瞬間」

 だが。

 映像は、存在しなかった。

「転移した瞬間も」 「その前後も」 「何も残っていません」

 通信。

 磁場。

 電波。

 振動。

 すべて、異常なし。

「観測できない、ということは」 「対抗手段も、存在しない」

 それが、次の結論。

日常は、あまりにも普通

 続いて、行動分析。

 通勤。

 買い物。

 家庭。

「彼は」 「極めて常識的な青年です」

 暴力性なし。

 過激思想なし。

 他者への支配欲も見られない。

「国家転覆を狙う兆候は」 「一切、ありません」

 普通すぎる。

 それが、かえって異様だった。

ただ一つの異常――資産と“立場”

「ただし」

 財務担当が、資料をめくる。

「彼の資産形成」 「そして、株主としての影響力」

 数字が、並ぶ。

「規模が」 「個人として、あり得ません」

 しかも。

「表に出ない」 「だが、確実に“効く位置”を押さえている」

 議決権。

 拒否権。

 発言力。

 見えない場所で、国家と同じ高さにいる。

対抗は「不可能に近い」

 結論は、重かった。

「彼を拘束する?」 「不可能です」

「説得する?」 「未来が変わる可能性がある」

「排除する?」 「手段がありません」

 詰んでいる。

 どこを取っても、

 こちらが先に壊れる。

 その沈黙を破ったのは、

 ずっと黙っていた一人の男だった。

「……正直に言う」

 静かな声。

「信じても地獄だ」

 一拍。

「信じなくても地獄だ」

 誰も、反論できなかった。

最終判断

 首相は、深く息を吸い、言った。

「ならば」 「最も被害の少ない地獄を選ぶ」

 それが。

「彼に、触れない」

 という結論だった。

 圧力をかけない。

 命令しない。

 味方にも、敵にも、しない。

 ただ――

 彼の言葉を“事実として扱う”。

 こうして、日本の地震対策は、

地盤ではなく

断層でもなく

 23才の、国籍を持たない青年を基準に始まった。

 6月24日。

 13時40分。

 その時刻は、

 もはや予測ではなく、前提条件になっていた。

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