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後悔ばかりの男の逆転人生  作者: れんれん


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139話 国のトップと“接触してしまう”瞬間

深夜。

 官邸は眠っていた。

 警備は万全。

 本来、誰一人として踏み込めないはずの執務室――

 空気が、歪んだ。

 音も前兆もなく、

 首相の机の前に、人影が現れる。

「……っ!?」

 椅子がわずかに軋む。

 警報は鳴らない。

 警護も来ない。

「誰だ……?」

「呼んでも、来ない」

 落ち着いた声。

 敵意はないが、拒否も許さない距離。

「今、この部屋には」 「俺と、あなたしかいない」

 首相は、無意識に机の端を掴んだ。

「……どうやって入った」

「転移だ」

 即答だった。

「説明に時間は使わない」 「結論から言う」

 ジャックは、一歩前に出る。

「地震が起きる」

 淡々とした口調。

「2ヶ月後」 「6月24日」 「午後13時40分」

 秒単位で、言い切る。

「震源は海域」 「連動して、津波が来る」 「関東沿岸部に到達する」

 首相の顔色が、はっきりと変わった。

「……根拠は?」

「未来を見た」

 一切、濁さない。

「信じなくていい」 「だが、確認はできる」

 次の瞬間――

 映像が、直接流れ込む。

 揺れる都心。

 崩れる高架。

 湾岸に押し寄せる黒い壁。

 時刻表示。

 13:40。

 人の波。

 悲鳴。

 途切れる通信。

 首相は、息を詰めた。

「……これは……」

「俺が見ている未来の断片だ」

「要求は?」

 声が、かすれる。

「協力だ」

 即答。

「13時40分までに」 「人を、減らす」

「段階的な避難」 「物流の前倒し」 「非常食の確保」

「表向きの理由は、あなたたちで作ればいい」

 一拍。

「もし」 「あなたが理解しなくても」

 ジャックは、視線を逸らさない。

「俺は、13時40分に向けて動く」

「手段は選ばない」 「法も、制度も、越える」

「それでも止めなければ」 「この国は、壊滅的な被害を受ける」

 首相は、長い沈黙の末に問う。

「……君は」 「脅しているのか?」

 ジャックは、首を横に振る。

「警告だ」

「脅しなら」 「もっと酷い未来を見せる」

 時計の針が、静かに進む。

 やがて、首相は低く言った。

「……6月24日」 「13時40分」

 その時刻を、繰り返す。

「もし」 「何も起きなかったら?」

 ジャックは、迷わなかった。

「その時は」 「俺を、拘束すればいい」

 そして、付け加える。

「だが」 「13時40分は、来る」

 次の瞬間、空気が揺らぐ。

 ジャックの姿は、消えていた。

 執務室には、静寂だけが残る。

 机の上には、

 見たはずのない被害想定と、赤く記された時刻――13:40。

 その夜、

 日本は、秒単位で刻まれた未来と接触してしまった。

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