閑話:母親の心の声
ああ……本当に、元気になったのね。
目の前にいる娘を見ていると、胸の奥が温かくなる。
昨日までの苦しさ、痛み、心配……すべてが嘘みたい。
でも……どうして?
医学的には、あり得ないはずなのに。
カルテや検査結果を何度見ても、説明できることなんて何もない。
「奇跡……なの?」
小さく呟いてみる。
でも、奇跡なんて言葉で片付けていいのだろうか。
この子の命は、本当に救われたの……?
目の前で笑う娘の手を握ると、温もりが現実を確かにしてくれる。
触れるたびに、安心と喜びが溢れてくる。
でも……心のどこかで、怖さもある。
なぜ回復したのか、誰も説明できない。
何か大きな秘密があるのではないか、と頭の片隅で思ってしまう。
……いや、今は喜びを噛み締めよう。
この瞬間、娘が笑っている。それだけで十分。
明日になれば、また学校に行き、日常が戻る。
それでも、この奇跡の朝の温かさは、心に深く刻まれていく。
母親はそっと目を閉じ、感謝の気持ちを胸に込める。
「ありがとう……生きていてくれて」
喜びと戸惑いが混ざり合った感情――
それでも、確かに今、娘は元気で笑っている。
父親が駆けつける・意外な知らせ
仕事中の父親の携帯が震えた。
画面には、妻からの着信と短いメッセージ。
「すぐ病院に来て」
心臓が跳ねた。
余命宣告を受けた娘のことが、頭の中をぐるぐると駆け巡る。
――まさか、何かあったのか。
急いで仕事を抜け出し、車を飛ばす。
道中、頭の中では最悪のシナリオが浮かび続ける。
「お願い、何もないでくれ……」
病院に到着し、母親が駆け寄る。
「あ、来てくれてよかった……」
母親の顔には安堵の色もあるが、心配も隠せない。
父親は息を整えながら尋ねる。
「どうした? 本当に……大丈夫なのか?」
母親が少し笑みを浮かべ、手を差し出す。
「大丈夫……信じられないかもしれないけど、娘、元気になったの」
父親は一瞬、言葉を失う。
頭の中では、検査結果や余命宣告の数字が渦巻いていた。
「……どういうことだ?」
動揺を隠せず、声が震える。
母親は静かに頷く。
「医学的には説明できないけれど、昨日までの状態とは全く違うの。奇跡……って言えばいいのかしら」
父親は目の前の娘を見つめる。
昨夜まで、痛みに苦しむ姿しか見ていなかったはずなのに、今は笑顔で手を振る。
その現実に、胸の中の不安と心配が、信じられない安堵へと変わる。
父親は深呼吸を一つして、妻に向かって小さく笑った。
「……よかった。本当に、よかったな」
その瞬間、娘の回復を目の当たりにした家族の心には、説明できない感動と、少しの戸惑いが入り混じった。
それでも、今は確かに、娘は元気で生きているのだ――
後書きという名のお願い
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