第13話 創造神との再会
神託の儀式のため、俺は教会へ入った。
白い石で組まれた回廊。
高い天井。
静謐という言葉そのものの空間。
順番を待つ子供たちは、皆、緊張した面持ちで座っている。
俺はというと――
(……でかいな)
通された先は、神々の像が並ぶ荘厳な広間だった。
戦神。
知識神。
豊穣神。
治癒神。
無数の神々が、石となってこちらを見下ろしている。
(色んな神様、いるんだな)
思わず、内心で笑った。
(……で、あのじいさんはどれなんだ?)
そもそも、像があるのかすら怪しい。
創造神なんて、そんなに前に出る存在じゃなさそうだ。
(まぁ、神様だしな。元気とかそういう次元じゃないか)
そんなことを考えながら、静かに順番を待つ。
「――ジャック・フォン・キルヒアイス」
名を呼ばれた。
俺は立ち上がり、神々の像の前へ進む。
神官が、厳かな声で告げた。
「祈りなさい」
跪き、目を閉じる。
形式ばった祈りはしない。
向ける先は、ただ一つ。
(……あのじいさん)
心の中で、語りかける。
(ありがとう。元気にしてるよ)
それだけだった。
気づくと――
白い。
音も、重さもない。
(……ああ)
懐かしい感覚。
そして、そこにいた。
「オッフォフォフォフォ」
特徴的な笑い声。
白い空間の中央で、あのじいさんが立っていた。
(……やっぱり、あんただったか)
その瞬間、確信する。
この存在が――創造神だ。
「相変わらず、妙に落ち着いとるのう」
じいさん――いや、創造神は、楽しそうに俺を見る。
「お前は、実に面白いやつだ」
褒め言葉なのかどうかは分からないが、
悪意は感じない。
「そうじゃな……」
創造神は、少し考える素振りを見せると、
突然、手を振りかざした。
「加護をやろう」
次の瞬間。
黄金の粉が舞い始めた。
光の粒が、空間を満たし、
やがて俺の体へと溶け込んでいく。
温かくも、重くもない。
ただ、確かに“何か”が刻まれた感覚。
(……これは)
理解する前に、創造神が言った。
「また会えるじゃろ」
いつもの、軽い口調で。
瞬間。
白い空間が、遠のく。
音が戻る。
時間が、動き出す。
俺は再び、神々の像の前にいた。
神官が、息を呑む。
周囲が、ざわつく。
だが俺は、静かに立ち上がる。
(……本当に、会えたな)
創造神の加護が、何を意味するのか。
それは、まだ分からない。
だが一つだけ、確かなことがある。
この世界での俺は――
神々に認識された存在になった。
それが祝福か、試練か。
答えが出るのは、もう少し先の話だ。




