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後悔ばかりの男の逆転人生  作者: れんれん


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110話 ・涼香が“生活魔法士”として名付けられる

辺境伯邸の一角、使用人たちの控えの間。

昼の作業を終えた面々が、涼香の周りに自然と集まっていた。

「白石様、その……あの魔法、もう一度お願いできますか?」

「はい、洗濯場の帰りで汗だくでして……」

涼香は少し慌てながらも微笑む。

「ええ、大丈夫ですよ。そんなに難しい魔法じゃないので」

手を軽く掲げ、静かに唱える。

「――リフレッシュ」

淡い水色の光がふわりと広がり、

その場にいた全員の表情が一斉に緩んだ。

「おお……」

「服が濡れていないのに、さっぱりしている……」

「頭まで軽くなった感じがするぞ」

誰かがぽつりと言った。

「……これ、兵舎に欲しいな」

別の者が続ける。

「いや、街にだろ。夏場なんて、毎日使いたい」

涼香は少し困ったように笑う。

「そんな、大げさですよ」

その様子を少し離れた場所から見ていたジャックは、

腕を組んで、どこか感慨深げに頷いていた。

「……なあ、フェンリル」

「うむ」

「涼香の魔法、誰も“すごい攻撃だ”とは言わないだろ」

「そうだな。“助かる”としか言わん」

そのとき、年配の執事が一歩前に出た。

長年この領を支えてきた人物だ。

「白石様」

「は、はい」

「その魔法……いえ、あなたの在り方ですが」

執事は深く頭を下げる。

「これは、戦の魔法でも、儀式の魔法でもない。

我々の“生活”を支える力です」

周囲が静まり返る。

「この領では、魔法を使う者は多くおります。

ですが、暮らしのために魔法を“組み立てる”者は、ほとんどおりません」

執事は静かに言った。

「あなたは――生活魔法士とお呼びすべき方でしょう」

一瞬の沈黙。

次の瞬間、周囲から小さなざわめきが広がった。

「生活……魔法士」

「確かに、しっくりくるな」

「戦わずして、助ける魔法だ」

涼香は目を見開いたまま、言葉を失っていた。

「そ、そんな……称号だなんて……」

ジャックは歩み寄り、涼香の隣に立つ。

「いい名前だと思う」

「ジャック……」

「涼香は、戦場を変えるんじゃない。

“毎日”を変えてるんだ」

フェンリルも低く笑う。

「神々も、こういう力を好む。

人の営みを長く、強くする力だからな」

涼香は胸に手を当て、ゆっくりと息を吐いた。

少し恥ずかしくて、でも――誇らしかった。

「……生活魔法士、か」

その言葉を噛みしめるように、もう一度呟く。

「それなら……

私は、この世界を“暮らしやすくする魔法”を作り続けます」

控えの間に、穏やかな拍手が広がった。

誰も声高に称えはしなかったが、

そこには確かな信頼と期待があった。

こうして、

白石涼香はこの地で初めて――

戦わず、支える魔法を紡ぐ者

「生活魔法士」として名付けられたのだった。

後書きという名のお願い

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